グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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令和八年の秋、イノシシ追い犬になる犬のジェイ

●栗拾いの時期に栗はなし

秋雨がちらつくようになった山の学校オポハウスは少しざわついています。この時期のイベントである栗拾いに、今年もまたあの強敵が現れたからです。

裏山の入口付近にある数本の栗の木の実が毎日ぽとぽとと音を立てて落ちているのですが、栗拾いにいっても残っているのは栗のイガだけ。ぱっくりときれいに開いたイガの中にあるはずの大きな栗の実はなく、残っているのは栗の皮ばかりです。

イノシシに食べられた栗の残骸



ここ数週間になんどかアナグマとも出会うことがあったのでアナグマかなとも想像しましたが、食べている栗の数が多すぎるのと斜面がぼこぼこになってかなりの大型動物が移動した痕跡が見られます。これは間違いなくイノシシの仕業です。

イノシシ除けにとヤギのアールとゼットをこの近くに係留して様子を見ましたが、もう数年もここに暮らしているヤギの姿にイノシシの方も慣れてきたようで効果はありません。

緑の間に縦線のようにはいったイノシシの道


●イノシシを追って夫婦と犬で走り出す

そんなある朝、洗面所で歯磨きをしていると窓の外に見える斜面の上に茶色の動物がいるのが見えました。イノシシ!と叫んで走り出し、ダンナのおぽあきも「武器がない、ジェイ連れて行こう」といって玄関へ、ふたりがダッシュするのといっしょにジェイもそれに同行しました。

イノシシの姿をちゃんと確認したかったのとジェイの安全のためにジェイを私の後ろ側に配備しておぽあき、私、ジェイの順番で近づくはずだったのですが、山暮らしが私よりもまだまだ未熟なおぽあきが進みながらたじろいでいたため、おぽあきを押しのける感じで私が先頭へ出ました。

目の前の栗林にイノシシの姿を確認してジェイを私よりも前に出して「ジェイ、GO」で私ももちろん走り出します。最近はイノシシとの遭遇は限られていたため、イノシシの方もまったく無防備だったようで最初のダッシュはかなりゆっくりと、しかし数歩進むと向こうも猛ダッシュで山の中へ走りました。

ジェイは追いながら一旦立ち止まったものの、今度は私を追い越して走り出したおぽあきがその場に到着するとさらに上へと上がっていきました。そのときはおぽあきも一緒です。トレッキングコースを少し入ったところで、山歩きの道は右へイノシシの道は左へと分かれる起点があります。ジェイはそのあたりでうろついたあとにイノシシの道の方へ上がりその先を見つめていました。おぽあきもイノシシの道を確認して納得したようでその日はそこまでとなりました。

イノシシを追うジェイ


●イノシシを再び追う三頭

その日の日暮れにおぽあきがお預かり犬ちゃんのお迎えから戻ってきたときに、普段は念には念をいれるタイプではない私の方がなぜか嫌な予感がして、栗林の夜回りに出かけました。懐中電灯を上げて林になっている高台をみるとやっぱりいた、朝来ていたイノシシがまた栗を食べています。まだ小屋に戻っていないヤギのアールとゼットもすぐそばにいて、普段なら私の気配でメエーとなくヤギたちが警戒しているようでじっと佇んでいます。

懐中電灯の明かりにイノシシが反応しなかったのでそのままいったん部屋に戻り、朝と同じようにおぽあきとジェイを連れて二人と一頭のあわせて三頭でチームとなって向かいました。

朝の追い立てで自信を得たのはジェイではなくおぽあきの方だったようで、イノシシの姿を確認すると「今度はオレが、ジェイ!行くぞ~。オリャー」といって走り出しました。もちろんジェイの方が早いためイノシシを山に追いやる場まで先に走り、そこに立ち止まっておぽあきの到着を待っていました。イノシシは同じように左側のルートを戻ったようでジェイは鼻を高く上げてその方向を示していました。

その後は山の全く逆側にも掘り返しが見られるようになり、イノシシとの攻防はまだ続いていますが、昨日は警戒するイノシシが取り残した栗を少しだけ拾うことができました。

ジェイも大好きな栗。



普段から山の中でその匂いを嗅ぎイノシシの気配は知っていたジェイが、あの匂いと本体を結びつけることができた特別の体験でした。

栗林は人と動物の境界線。この境界線を守り切れなければオポハウスを守ることもできません。人が守っている境界線を犬も共に守ります。そうはいっても、街中で山を全く知らずに育ったジェイの山暮らしが始まってからまだ一年半、そのジェイといっしょにイノシシを追うようになることは期待していなかっただけに感慨深いものがありました。

イノシシを追った翌日の朝もまた、庭の上から降りてくる匂いをキャッチして普段は上がらない急坂を駆け上がっていきました。いつもふんわりとしていて“おとぼけジェイ”という感じのジェイがイキイキと環境を管理しようとする姿がちょっとだけ頼もしく見えました。

イノシシ追いについては行動として少し補足したいこともあるので、また後日追記します。