グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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犬を飼ったら暮らしが変わる

ここ数日、枕元でゴーゴーと鳴り響く雨の音がやっと落ち着いてきました。

都市のマンションの中では気にならない強い雨音も、山と川に挟まれた谷に位置する山の家では不安を感じる音になります。特に四年前の線状降水帯で家の裏山が崩れた記憶がまだ新しく、今年はどうかなと工事した斜面や水路の流れが気になります。

その雨もやっと上がったようでようやく梅雨明けとなりそうです。明日からは毎年必ずやってきてくれる強い太陽の日差しのもとでの活動が始まります。梅雨やいやだけど夏はもっと厳しく、嫌なものが過ぎ去ったなと思ったらもっと苦手なものがやってくる、自然の中とはいえ決して楽しいことばかりではありません。

そんな、ドキドキとワクワクがたくさんつまったこの山の家に住むことになったのも、先代犬のオポがきっかけでした。いや、きっかけというには軽すぎてオポという犬との暮らしが私の暮らしを大きく変えることになったというのが本当のところです。私の人生プランの中には絶対になかった山暮らしをすることになったのは、オポという犬を飼ったからです。

実は、現在お預かりクラスに来ている犬くんはこのお預かりの帰宅後は別宅へ移動することになっています。この犬くんの飼い主さんも犬を飼ったことで暮らしが変わり、マンションから庭付きの戸建ての家に引っ越すことになったグッドボーイハート生のひとりです。

初回のカウンセリングは二年前くらいだったかなと記憶しています。飼い主さんとの対立関係が強くなっていたのですが、同時に環境の変化に適応する能力、社会化が十分にできておらず、いろんな動くものに衝動的に反応してしまう厳しい状態でした。

飼い主が犬を管理するまでには相当の努力が必要でしたが逃げることなく忍耐強く向き合って下さったお蔭でやっと犬の方も逃げるのを止め、人と向きあうようになりました。散歩行動などもかなり落ち着いてきて、当校での預かり時にみなさんが見られた感じでは、どこに問題があるのかと思えるほどに変化したのです。

すでに購入されたマンションにお住まいで仕事を含める日々の活動でも過ごしやすい環境でいらしたようで、当初は引っ越すという選択肢はなかったのではないかと感じました。お仕事で延長に出張されるときだけ短期の預かりをしながら定期的に様子を伺いながら当校に通学していました。ところが、昨年「やはり庭付きの家に引っ越そうと思うのですがどう思われますか」という連絡を受けたのです。もちろん大賛成だと即答しました。

庭のある家で犬を飼った経験がありマンションでも犬を飼った経験のある方なら、庭のある家が犬にとってどんなに過ごしやすい空間であるかは理解できるはずです。そもそも山がお里の動物である犬が、室内から出ることできないというのはとても厳しいことです。

「犬の立場になって考える」ことを学ぶのが当校の目的です。マンションで犬を飼っているとしても、使えるテラスやベランダを活用する、できるだけ良い環境に長い時間散歩に行く、休日にはもっと時間と空間を求めて自然の中で過ごしてほしい、そんなことを提案しています。私から飼い主側に要求することはできませんが、犬の立場になって考えれば自然とそのような選択肢が生まれるのではないでしょうか。その究極の選択肢が、庭付きの家に引っ越すことです。

この究極の選択をした生徒さんたちがこれまでに何人もいらっしゃいました。覚えているだけで指の数には収まらないほどです。しかし、これほど大きく暮らしを変えることはそう簡単にできることではありません。犬の寿命は約十年です。私がオポと都会から山暮らしへと暮らしを変えたときにオポは7歳を超していました。そのとき体調を崩していたオポがもう何年もいや数カ月も生きるかわからないような状態でした。そうであっても、犬にとって最善の選択をしたいと引っ越しを決めたのは犬のためではなくあくまで自分のためなのです。

今回の犬くんとは別に来年早々には新築の庭付きの家に引っ越しを予定している犬ちゃんの飼い主さんが、「犬のために仕事を変えるとか家を飼うとかクレージーですよね」といって笑っていました。人から見ればクレージーなことかもしれませんが、犬のことを大切にして愛してやまないという気持ちが行動に移されたということです。

庭付きの家に引っ越したことで、毎日犬が庭に出て土の上に排泄をして、太陽を浴びて、土の上で昼寝して、風を感じて、雨を受けてぶるぶるして、草のにおいをかぎ、花をいっしょに楽しむそんな姿を見ることができるのです。私が引っ越したのが犬のためではなく自分のためだと言ったのは、犬が安心して豊かさを感じる環境で犬と一緒に暮らすことが私自身の願いであったからです。

犬の方は飼い主が引っ越す決意をしてそれを実行するためにどれほど大変だったかと思うこともありません。ここから帰ったら全く違う家になっていることに最初は戸惑い、落ち着かない様子を見せることもあるでしょう。でもすぐに庭を散策するようになり、今までとは違う姿を見せてくれるようになるでしょう。

一年位前に、福岡の中心部からかなりの山の中に引っ越してきた生徒さんも引っ越し後に「もうあの場所には犬を連れては戻れない」と言ったのが印象に残っています。その言葉と同じことを私も感じたし今でもそう思っているからです。

だからといってすべての飼い主さんがマンションから戸建てに引っ越すことができるとは思ってはいません。これは本当にすごく大きな決断でありチャレンジでもあります。私にはそんなことはできないと落ち込む必要もありません。その分は先に述べたようないろんな工夫を生活の中に取り入れていけば良いのです。

そういえば、山を一年借りるというシステムがあって私が覚えている限りでは2件のご家庭がこの山レンタルを利用していました。別の生徒さんは自然空間の中にある別荘を購入されました。別荘というと高級なイメージがありますが、田舎には空き家が増えていますから古い家を買ったり借りたり、アイデアはいろいろとあります。

どちらにしてもそのために時間とお金を使うという意味では同じことです。それが犬のためとなると不具合が生じますので、あくまで犬の豊かな暮らしが自分が一番望んでいるものだと思える人にだけこの道を選んでいただきたいのです。自分にはもっと別にしたいことがあったのに犬のためにこんなことになってと後悔することになるなら、その選択に犬も賛同しません。

山暮らしの動機となったオポ亡きあとにずいぶんと時間が流れ、今はジェイド(愛称)はジェイ)という黒ラブと暮らしています。朝起きてジェイと顔を合わせると、ものすごく長い伸びをしたあとにジェイがこう言っているように聞こえます。「それで、今日は何をする?」。

どんな暮らしであれ飼い主との暮らしが犬の暮らしです。犬はどこまでも飼い主に付き合う素晴らしい家族です。そんな犬と人の暮らしが豊かなものでありますように、皆で知恵を絞りましょう。

どんな暮らしが始まるかな