グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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老犬とともに暮らしながら子犬を迎えるときに注意したいこと

 多頭飼育をされるご家庭が増えてきたようです。どのような状況でも、新しく子犬を迎えるということにはいろいろな配慮が必要です。中でも特に注意してあげたいのは、一緒に暮らしている犬が10歳を超える年齢に達する老犬になっているときです。
 10歳といえばまだまだ若く老犬と呼ぶには早すぎますが、若年寄くらいの年齢には達しています。先住犬が10歳を超えてから子犬を迎えるときには、いろんなことを細かく配慮してあげたいものです。


●子犬中心の生活にならないように
 どの年齢でも先住犬がいるときには、子犬中心の生活にならないように配慮してあげる必要があります。子犬は人との生活をはじめたばかりです。排泄に行く時間を細かく定めてトイレトレーニングを行ったり、クレートに一時的に休憩させるクレートトレーニングの時間があったり、庭で過ごす時間など生活のタイムスケジュールと、生活空間の使い方に慣れるために、しばらくはつきっきりでのお世話が必要になります。
 この子犬の生活の世話によって飼い主の動きが多くなってしまうため、つい子犬中心の生活になってしまうことがあります。今まで先住犬と過ごしていた時間を変えずに子犬のお世話も増やしてしまうと、とても時間がないと感じられるかもしれません。つい先住犬が老犬であれば、リビングでゆっくり昼寝やひなたぼっこ、飼い主さんとゆっくりと過ごす夜の時間だったひとときの間にも、子犬のお世話で飼い主が動いてしまうたびに老犬も落ち着かなくなってしまうかもしれません。それまでの犬と飼い主の関係性によって反応はさまざまですが、もし老犬が落ち着かない様子になるときには家族が交代で子犬のお世話に当たるなどの配慮が必要です。もし家族がおらずひとりで2頭の犬の世話をする必要があるなら、犬たちのお世話にかかる時間をたくさんとれるように仕事や他の用事を少し減らして時間調整をする必要性もあります。
 老犬の中には子犬の世話をするたびに鼻を鳴らしたり後追いをするような状態になることも考えられます。かといって老犬を必要以上になでたり触ったりしてなだめようとするとそれも逆効果になります。子犬に必要な時間については、老犬には「ちょっと待ってね。」ときちんと区別をつけてあげることで、老犬も次第に落ち着きを取り戻します。


●老犬が子犬を受け入れないのはよくあること
 子犬はお母さん犬から離されたばかりです。当然ですが、お母さん犬の代わりになってくれる存在を捜しています。そのため、成犬を見ると寄っていって自分の世話を受け入れさせるような行動をします。舌をペロペロと出して成犬の口元をなめたり、ついて回ったり、腹部を見せたりします。現在の成犬の多くは子犬をなかなか受け入れませんので、無視をしたり相手にしません。子犬から逃げる成犬もいます。
 成犬に受け入れを拒否されてしまうと、子犬はますます興奮してきます。とびあがったり、相手をされないと飛びついたり、手をかけたり、甘噛みをしたりします。成犬はとてもうっとうしくなり、吠えたり唸ったり軽く牙を当てることもあるかもしれません。子犬の方は世話を拒否されて居場所を獲得できず、部屋の中を走り回るなどの興奮した行動をしてしまうことがあります。
 成犬が吠えたり唸ったりするのを子犬に対する教育だと勘違いされていることがありますが、よく観察とその多くは拒否行動になっています。子犬の要求や興奮を抑える行動とは多少違いがありますので慎重に観察してください。
 こうした成犬、特に老犬が子犬を受け入れない行動をするとガッカリされることがあります。しかし、これは仕方のないことです。特に老犬については子犬の面倒を見ることを期待してはいけません。子犬にこのことを理解させることは難しいことですが、子犬が興奮しすぎて老犬に激しくアクションするのはのちのお互いの関係性を難しくしてしまいます。子犬の面倒を見るのは人であることを時間をかけて教える必要があります。


●生活のスペースをゆっくりと子犬に提供していくこと
 子犬をゆっくりと老犬の生活の中に入れていくためには、スペースをゆっくりと子犬に提供してくことです。老犬が子犬を受け入れしない限り、老犬のテリトリーの中に子犬が入ることを老犬は不快に感じます。ストレスの行動を出したり、隅っこにいったり鼻をならしたりすることもあるかもしれません。
 子犬を室内に慣らすときには子犬の本拠地であるクレートを老犬のメインスペースとは別の部屋に設置します。その上で、子犬の遊び場も子犬のクレート近くにつくるようにして老犬のくつろぎスペースを邪魔しないように配慮します。一日のうちの少しの時間を老犬といっしょに過ごすようにスペースの区切りを解放します。しかし、部屋のつくりなどで老犬の居場所に排泄をするようなことがあれば、その時間配分も工夫してあげる必要があります。自分の居場所を子犬の排泄で汚されるのは老犬にとってとても強いストレスになることを理解してあげましょう。
 大型犬であれば早い時期に庭で排泄ができるようになります。管理の方法ひとつですぐに子犬は庭に排泄場所を獲得するでしょう。老犬はこれだけでもひとつのストレスをクリアできます。また子犬はひとりで休めるようにクレートトレーニングを休息や睡眠、留守番のときに活用して練習を行います。子犬が人のそばでないと落ち着けないようになってしまうと、老犬はますます子犬との関係が難しくなってしまいます。

 こうした子犬の管理を続けながら時間をかけて老犬の生活に子犬が入ってこれるように配慮してあげてほしいのです。特にずっとひとりで過ごしてきた老犬にとって子犬の登場は大きな壁です。年をとるほどに環境を変えたくないと感じるのは、人でも同じことではないでしょうか。孫はとてもかわいいけど、お世話をするのはときどきでいいと感じられることもあるでしょう。老犬にとってエネルギーの高い子犬は、時に疲れる存在にもなるのです。老犬のペースを維持しながら子犬を家族として迎え入れ、お互いに時間をかけて関係をつくっていくことと、子犬をきちんと物理的にも管理をすることは、老犬の家庭に子犬を迎えるときにぜひ気をつけてあげてほしいことです。


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猟師さんから聞いた猟犬の実情:「日本の猟犬」の復活を考える

 鹿肉ジャーキーヤクトの猟師さんとの話で、今回また猟犬の話で盛り上がりました。そしてついに今回すごい話を聞いたので、みなさんと共有して日本の動物について考える機会とします。


●猟犬と聞いてどんな犬をイメージしますか

 猟犬といってもいろんな種類の犬が猟に使われています。日本の鹿猟や猪猟をしている猟犬と聞いたとき、どのような形や色の犬をイメージしますか?

ハウンド系の耳が垂れていて白っぽくてぶちがある犬、茶色の犬とか、ビーグル系の同じく耳が垂れていて白っぽい下地に茶色や黒のブチのあるこんな洋犬を想像するでしょうか?

hound
ハウンド犬


それとも、毛の色が虎柄で耳の立っている日本の甲斐犬や四国犬を想像しますか?


甲斐

四国犬

ラブラドルリトリバーなどのリトリーブ犬を想像される方もいるかもしれませんね。

ラブラドールリトリバー

●国内の鹿(シカ)・猪(イノシシ)猟に伴われる犬たちについて

 現在、国内の鹿猟や猪猟に伴われている犬の種類は、大きくふたつのグループに分かれています。そのふたつは洋犬グループ、和犬グループです。

 洋犬グループの方は前述したハウンド系やポインター系、セッター系の犬たちです。すべての使役犬にいえることですが、犬は使役の目的にあわせた能力によって分けられていました。そのため、ハウンド系といっても形も色もさまざまですが、よく見かける形として耳が垂れていて、尾が少し曲がりながらもまっすぐとあがり、色は白地にブチや、茶色で鼻部分が黒いような形態を持つ犬たちが多いようです。

 実際に、山をウロウロとしている猟犬を見かけたり、車のケイジに乗せられて移動中の猟犬もよく見かけられます。佐賀地域では3月の猟期の終わり時期になるとこれらの猟犬が山に捨てられることがあるので、自治体の保健所には猟犬風の犬が収容されているという事実もあります。

 ところが猟の歴史をよく調べてみると、こうした洋犬の猟犬たちは西洋式猟の普及のときに猟銃や猟の道具といっしょに販売され普及を広めていったようです。猟という仕事はそもそも山奥深くに住む日本の「マタギ」といわれる人たちの仕事であったところから、西洋文化の侵入によってそれまでマタギではなかった人たちが仕事として猟を始めるようになったのかもしれません。

 これらの西洋式猟とは別なスタイルで日本古来の猟を支えていたのが和犬の猟犬たちです。和犬の猟犬も必ずしも純血種ではありません。地域によってサイズが違いますが、毛色が茶色ベースで立ち耳に立尾、犬によっては巻き尾の犬の写真も残っています。四国犬、柴犬、秋田犬、北海道犬、甲斐犬などの雑種や全くの雑種も猟としての能力があれば猟犬として猟に伴われていたようです。


●猟犬でも違う猟のスタイル

 こうした猟犬の種類の違いはただ形や色が違うだけではありません。猟の仕方そのものに違いがあります。今までに鹿猟や猪猟の話を聞いたときに、いつも不思議に思っていたことがありました。たとえば、ポインターやビーグル風の洋犬たちは、猟のときにワンワンと吠えながらとても興奮して走り出していくらしいのです。こうした光景については猟師に話を聞いたこともあるし動画で見たこともあります。ですが、これはとても不思議な行動に思えたのです。なぜなら、ワンワン吠えて追い立てれば獲物となる鹿や猪を興奮させてしまい、追いかける側に危険が及ぶ恐れもあるからです。西洋の犬だけがこうした行動を取るのだと思っていたのですが、その後に和犬の猟犬も獲物を見ると走り出しワンワンと吠えて追い立てるという話を聞いたときには、やはり猟犬とはそんなものなのだろうかととても複雑な気持ちになりました。

 ところが今回ヤクトの猟師さんから「とても猟が上手い猟犬」の話しを聞きました。つまり、獲物を見ても走り出したりしないということだったのです。これを聞いて本当にうれしかったです。やっぱりそうだ、そんな猟犬がまだ日本にいたのだと知った瞬間でした。実際に鉄砲をかついで犬のサポートで猟をしている猟師さんの話なのでワクワクしました。

 ヤクトさんが一緒に猟をした猟犬は、犬は獲物を見つけても走り出したりしない、ゆっくりと静かな足取りで獲物を後をつけていく、けれど後ろからついてくる猟師を置いていかないように距離をはかりながら追跡を続けるとのことです。そして尾根の方向に向かって獲物を押し上げるように追跡する、その後、位置をかえて上に待っているとガサガサと足音が聞こえてくるので獲物が来たとわかりゆっくりと構えることができるということでした。ガサガサという音については「犬がそんなに足音を立てないので獲物だとわかりやすい」といわれたのです。その犬って茶色で日本犬風だけど鼻先が少しすっとしているニホンオオカミみたいな犬じゃないでしょうかと尋ねるとその通りだといわれていました。GPSがいりませんよねと尋ねると、こうした犬にはGPSは使っていないということです。猟師から離れないので必要ないのです。

 以前、ヤクトさんから別の猟犬の話しを聞いたときは、犬たちはワンワンと吠えながら興奮して獲物を追うため、獲物はすごい勢いで走ってきてそれに対して犬たちもすごい勢いで走ってくるということでしたが、この犬たちは西洋の猟犬たちでした。西洋の犬と和犬で違うということでもないと思います。和犬の中にも吠えながら獲物を興奮して追いかけていく犬の話も聞いたことがあります。この違いは、人側が犬の猟をどう捕らえるのかという問題であると思います。

●猟という仕事をする犬の立場にたって

 使役をする場合、人の合図や人がつくった道具に頼るように仕事をする犬と、自らの犬の習性に基づいてナチュラルな形態で仕事をする犬がいます。前者の犬は人の指示のとおり動くことを要求され、後者の犬は自律して行動しながら人と協力する質を求められます。
 獲物を見てワンワンと吠えながら追い立てていく猟スタイルはどちらかというとスポーツドッグの印象が強いですね。西洋の貴族たちがたくさんの犬を伴って猟に出かける絵画をよく見かけることがありますが、あれはひとつの狩りというスポーツの姿です。先日このブログで紹介したDVD「狩人と犬」の中にも主人公が猟に出かけるシーンがあります。1頭の犬を伴って猟に出るのですが新米犬のやや不安定な行動で獲物に気づかれてしまいます。この猟でもやはり少ない犬を気配を消してというスタイルでした。

 気配を消して獲物を追跡してじっくりと追い詰めていくスタイルはまさにオオカミそのものです。野山に暮らす野犬であれば、同じようなスタイルで獲物を仕留めていくでしょう。人はそのイヌ科動物の習性にのっとった狩りのスタイルを尊重し、これに人の方が同伴する形での猟の姿というのは美しいものだと感じます。そしてなにより犬と人にとっては安全であり、捉えられる獲物にも不要なストレスを与えない行為です。逆に、犬たちを興奮させて獲物を追いかけさせるタイプの猟では、犬も人も危険にさらされます。

 こうした猟のスタイルで猟犬を育てると人によって動物の行動を操作しようとする力が強く働きます。その力は繁殖にも及びます。犬の興奮度を繁殖に頼ろうとする傾向が出てしまいます。異常に興奮して攻撃性の高い犬を選択繁殖するわけですから、一歩間違えばとても危険な犬を繁殖してしまうことになります。こうした危険性の高い猟犬は、山近くで動いているものを見ると攻撃をしかけるので、里山での犬や住人とのトラブルにも発展してしまう恐れも十分あります。現にこうしたトラブルは発生しています。

 使役犬については、人の作用を少なくして犬が本来もっている習性に基づく範囲内にとどめるのが動物の福祉に見合った態度であり、犬を尊重する姿勢ではないかと思うのです。とにかく今回は、日本古来の猟犬の姿がまだ残っていることを現場の猟師さんの体験談として聞くことができたので、それだけでも小さな光だと感じとてもうれしくなりました。



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鹿肉ジャーキーのヤクトさんの試作品ができました:骨を与えるときに注意してほしいこと

大分の竹田市でつくっている鹿肉ジャーキー「やまごち」を販売しているヤクトさんから、試作中の商品をいただいたのでご紹介します。


●骨シリーズ

ときどき譲ってほしいといわれることがあるからということで準備されている骨シリーズが2個でした。

ひとつめは肩の部分です。
手の平くらいのサイズです。全部食べられそうにみえるのですが、実はしゃもじのようになっている形の周りが軟骨になっているだけで、中心部はしゃぶるくらいです。全部食べてしまう犬はいないらしいです。

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次は脚の骨です。
中心に骨の髄がはいっているので、ここが大好物なんですよね。
でも骨自体はとても硬いです。サイズは手の平くらいの長さです。

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●内臓シリーズ

ひとつめは肺です。
空気がはいっているのでパフパフしていますね。
とても人気があるとのことでした。

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こんどは心臓です。やはり色が濃い、血液成分が多いということです。

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●鹿の角

角の片方で30センチくらいの長さがあります。
犬が少しずつ食べることもあります。捕る時期によって中が空洞になっているとのことでした。
とてもきれいですね。このサイズで2500円くらいになるそうです。

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 いただいた命は全部役立てたいいうヤクトさんの商品作りは、少しずつ新しい商品に変わっていくようです。骨はサイズによって多少金額が違うそうです。内臓関係は試作段階ですが、犬たちの食べ具合によっては商品化も近そうです。試作品はグッドボーイハートで犬たちに食べてもらっています。


●骨を与えるときの注意点

 ここからは硬い骨類を与えるときに注意してほしいことです。まず骨を与えるときは十分に注意して与えてください。骨を与えることによる事故やトラブルはたくさん発生しているからです。注意して与えてくださいという文言はどんな骨商品にも記載されています。ところが、何を注意していいのかわからないので与えるのはなかなか難しいでしょう。犬は動物だから食べないものは食べない、食べるものは食べるだろうと犬に判断させるとトラブルになってしまいます。

 そのトラブルはこんな理由から起きます。
1 犬は遺伝的に顎の強さが変化しており、すべての犬が顎が上部なわけではない。

2 犬はストレスがかかるとかじる行動が多発し、硬い骨でも無理をして噛むため歯を欠損する恐れがある。

3 かじる行動は少しずつ起こるためわかりにくいが、年齢をたってみると歯が磨耗してなくなっていることがある。

4 途中で取り上げるつもりの骨の一部を飲み込んでしまい喉につからせる危険性がある。

トラブルとしてはこんなことがあります。
 特にストレスが強い犬はかじる行動が強いため、どうしても骨をかじらせたくなります。そうしないと家具をかじったり、自分の手足をなめたり、吠えたりするストレス行動が出るからです。とはいえ、骨をかじる行動がストレスの回避行動であれば、犬は必要以上に、また自分の能力を超えて骨をかじるためトラブルが発生する可能性は高くなってしまいます。

 犬はかじることで満足感を得やすいので骨を与えたいという気持ちになってしまいますが、犬が少しでもストレスがかかっていると感じられる状態のときは、大きな骨を与えるのは控えてください。また遺伝的にストップ(鼻先までの長さ)が短い純血種、マズルの細すぎる純血種、歯のかみ合わせの悪い純血種の犬たちには硬い骨は危険性が高いので、選ぶときには慎重にお願いします。


 硬い骨が食べられない犬にも、いろんな部位のジャーキーは与えられます。安心して与えられるものをオヤツやフードのトッピングとして使ってください。ヤクトさんの商品はまた新しい展開があるようです。今からとても楽しみです。

サンプルもたくさんいただきました。
お友達の犬たちにプレゼントしたい方にもお渡ししていますので「サンプル下さい!」とお声かけください。

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アナグマと犬が遭遇したら:山の中で野生動物を見たときの犬の反応でわかること

 お天気続きでつい山に脚が向いてしまいます。梅雨時期になるとさすがにトレッキングも難しくなるので、暖かなこの季節はトレッキングクラスでステップアップをはかる短いチャンスでもあるのです。

●アナグマとの遭遇

 そんな気持ちよいトレッキングクラスのときに、珍しくアナグマと遭遇しました。
トレッキングクラスでよく出会う野生動物といえば、鳥とかヘビとか、うさぎくらいまでは比較的多いのですが、四つ足の哺乳動物にはめったに出くわすことはありません。見晴らしの良いトレッキングコースでは人の声や犬の動く気配も伝わりやすいため、警戒心が高い四つ足の哺乳動物の方も接近しないように気をつけているのでしょう。

 出会う可能性のある四つ足の哺乳動物の具体的な動物名は、タヌキ、キツネ、イタチ、アナグマといったところです。このうち、タヌキとキツネがイヌ科動物で、イタチとアナグマがイタチ科動物です。それでこの2つのグループは大きく違います。
 イヌ科動物は警戒心が高いためなかなか姿を現しません。それと比較するとイタチとアナグマは活動が活発なのかよく目にします。野生動物を見る機会がない人でもペットのフェレットは見たことがあるかもしれませんが、フェレットはヨーロッパのイタチ科動物で家畜化されたペットです。イタチはフェレットによく似ています。アナグマはフェレットというよりはタヌキの方に少しにている形をしています。

 このアナグマですが、このあたりの福岡、佐賀周辺の山々では日中でもわりと見かけることがあります。七山のグッドボーイハートの裏側にはよく昆虫の幼虫をとりにきているようで、穴を掘っては何か食べているのを見かけることもあります。地面に落ちたサクランボを食べているのも見たことがあります。梅雨前になったら野イチゴを食べにくるので日中の接触率はぐんとあがります。


●アナグマは怖い動物なのか

 アナグマを凶暴と思われているようですが、人間ほど凶暴ではありません。どんな動物も恐怖を感じて逃げることができないとなると、その行動は逃走行動から闘争行動へと変化してしまいます。アナグマを追いかけたり追い詰めてしまい、アナグマが逃げることができないという判断を下すとその瞬間に攻撃に転じることがあるでしょう。攻撃といっても最初は唸ったり牙を見せたり口を開けたりする威嚇行動です。威嚇行動は犬と同じように、「そっちが攻撃するならこっちだって戦うぞ」という戦いの意志を表現するもので、動物の表情をよく見れるようになれば、ここまでは怖くありません。威嚇行動は相手に分かりやすく伝えるために表現方法がオーバーになっています。歌舞伎のようなものですね。特に相手が異種間の場合や距離がある場合には、はっきりと伝えて相手を遠ざけるためにその表現方法はわかりやすいものになります。人から見るとそれが「こわい」という印象を受けるのかもしれません。


●アナグマに遭遇したときどうするの

 動物たちだったらアナグマに遭遇したときにどのようにすればいいのかといったことを考えて練習したりはしませんね。若い年齢の動物は衝動に負けてしまい動物に向かって走り出し大ケガをすることがあるかもしれません。ただ、きちんとした社会的関係を持つグループに所属していれば、衝動に負けて少し走り出しても途中で停止することができます。それは、走りすぎることでグループ=群れを離れすぎてしまうというゴムのようなストッパーがかかっているからです。群れから離れることは自分を最も危険にさらすことでもあるし、群れそのものを危険にさらしてしまうことでもあります。社会的な力というのは、自己利益だけでなく、自己にとって有益なという理由であっても群れの利益になるように、一定の行動のルールができあがっています。
 こうした行動は、考えて行われてないというのが不思議なところです。走り出したら飼い主さんに怒られるとかそんなことを犬は一切考えていません。社会性が未熟な時期には野生動物との遭遇には十分に注意をする必要があります。お互いのテリトリーを侵さず、脅かさず、安全と安心を保っていられるようにするための距離感を身につけることは、動物としてとても大切で利益のあることです。実は犬がこの社会的距離感を一番学習してるのは、対人間に対してなのです。人との関係や距離が近すぎると、一定の距離を他者ととりながら関係性をつくることはとても苦手です。特定の人には甘え、他の人には遠ざかるという傾向がどうしても強くなってしまいまうようです。

 動物との距離感は野生動物との距離にも現れるのです。いろんな体験から犬を知り、自分を知り、そして世界を知ることができます。山の環境はやはりすごいなと感じる一日でした。


dav

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犬と日向ぼっこ:最古の健康療法「日向ぼっこ」が犬を元気にしてくれる

 七山では暖かなで心地よい日差しも福岡では暑く厳しく感じてしまうのは、単に標高の違いだけでもないようです。この時期下から車で上がってこられる生徒さんは「外気温が2度も急に下がるんですよ。」と驚いています。そんな梅雨前のこの時期にどうしてもやっておきたいことがある、それが「日向ぼっこ」です。


●日向ぼっこは、ただ気持ちがいい

 犬は日向ぼっこが好き、というよりも、犬は日向ぼっこを必要としています。
 この季節に犬が日向ぼっこをしている姿は、とても気持ちが落ち着きます。テラスで、庭で、土の上で、車のそばで、犬舎の前でと外空間でひなたぼっこを楽しんでいる犬たちもいるでしょう。庭のない家やマンションの中では、ベランダで、部屋の窓側のかすかに日のあたるところで少しでも太陽の光をあびようと日向ぼっこをしている犬の姿をみるかもしれません。
 中には、多少具合が悪いような状態で日向ぼっこをしようとすることもあります。少しグッタリしているような感じのときにも日向ぼっこをしている姿を見ると、少しでも太陽の力で癒されてほしいと思ってしまうのです。
 老犬たちも日向ぼっこをしています。人間も年をとるとよく日向ぼっこをするようです。家の外の椅子に座ってジーっと太陽にあたっているおばあちゃんを見かけることがあります。高齢犬たちもよく日向に寝ているのを見かけます。高齢犬は若い犬よりももっと日向ぼっこを求めているのでしょう。
 この時期にというのは多少理由があります。3月から日が長くなり始めると動物たちは日を求め始めます。冬の間に冷え切った体を温めるために春に日差しを浴びる日向ぼっこをしています。梅雨が開けると気温が高くになり過ぎてしまいます。こうなると今度は太陽をさけて土に穴を掘ってもぐりこんだりしてしまいますね。


●どんな日向ぼっこをさせたらいいのか

 森林に囲まれるような山空間では、梅雨前のこの季節は日向ぼっこには最適の時期です。ところが都市部のコンクリートに囲まれた場所では、地表の気温が高くなりすぎて思うようにひなたぼっこができません。それでも犬は太陽に当たろうとしますので、少しだけ空間を工夫してあげてください。
 たとえば、庭で飼っている犬や庭への出入りが比較的自由な犬たちのために、庭には一定の日陰ができるようにシェードを配置しておきます。犬が自分で日陰と日向を行ったりきたりできるようにしあげます。つなぎ飼いの場合には、その距離を測ってください。太陽は時間に応じて移動しますので途中でシェードの長さや向きを変えてあげる必要がありますが、この程度のことはやってあげたいものです。

 ひなたぼっこのときには暑さを調整するために風の力も必要です。しかし、マンションや室内に閉じ込められた状態で日中を送っている犬の場合は、ガラス越しの日向ぼっこになってしまいます。それでも日向ぼっこをさせる価値があるのかと質問されたこともありますが、犬が実際にガラス戸の内側に寝ているのですから、ガラス越しであってもその機会はあった方がいいのです。もし人がそばにいるなら網戸にしてあげてください。マンションの方は、日中ゆっくりとできる公園や広場やお気に入りの場所にいってじっとしているという方法もあります。お友達が良いお庭を盛っていたら、ランチでも作ってあげてお庭だけでも貸してもらいましょう。もちろん、お友達の犬には配慮することと、できれば犬を飼っていないご家庭を捜すのがベストです。

 日中はずっと留守番しているし留守番練習の途中なのでケイジから出すことができないという犬たちはちょっと時間が必要ですね。そして、ガラス戸をあけて外が見えてしまうと落ち着かなくなってしまうのでカーテンを開けることができないという犬もいるでしょう。それなら、塀の高さを調整して外の人からは中が見えないようにしっかりと目隠しをしましょう。カーテンは日差しを通すレースでも以外と目隠し効果があります。留守番練習途中の犬たちは、飼い主さんが毎日しっかりとがんばれば、ケイジから出して安心して留守番をさせることもできるようになります。早い犬だと数ヶ月でできるようになりますが、何もしなければいつまでたってもケイジ犬のままです。犬の生活は飼い主次第なので、犬が安心して日向ぼっこを楽しめるように、犬のためにがんばってあげてください。


●科学的な日向ぼっこ

 日向ぼっこは実は医療現場でも使われていました。この太陽の光を利用した太陽療法は「ヘリオセラピー」という名前で知られています。スイスの意志であるオーギュスト・ロリエ(1874年~1954年)が、患者に対して用いた治療法で、古い資料ながら文献も残されています。科学的なことも知りたいと思う方はぜひ読んでみてください。人間では、日向ぼっこに最適な気温は18度くらいで25度を超えると避けた方がいいとあります。ただしこの実験の被験者は白人なので、わたしたち黄色人種では少し違いがあります。
 文献によると食事にふくまれるビタミンやミネラルは太陽光線に対する皮膚の感受性を左右することがあるということで、オーギュスト・ロリエ医師も食事の指導を行っていたそうです。同医師が推奨した食材は未精製で未加工の食材だということです。ビタミンやミネラルが破壊されていない食材ということですね。そして脂肪には注意するようにとありますが、犬はより肉食中心なのでこのあたりも多少違いがあります。


 犬は科学的に理解はしていなくても日向ぼっこをよくします。純血種の繁殖が進みすぎて大切な情報が遺伝的に伝わっていないこともありますが、犬が日向ぼっこをしているときにはそっとしておいてあげましょう。



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Posted in 犬のこと, 自然のこと

おすすめのDVD:映画「狩人と犬、最後の旅」

グッドボーイハートおすすめの映画の紹介をします。

 この映画「狩人と犬、最後の旅」ですが、最初に入手したときは「最後の狩人」という題名でした。
フランス語の原題のLe Dernier Trappeurをそのまま訳したものでしたが、「犬」という検索キーワードでアピールしたかったからでしょうか、いつの間にか題名が変わっていました。


[c]Copyrights 2004 MC4/TF1 International/National Film Board of Canada/Pandora/JMH/Mikado

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●映画のあらすじ

 主人公はロッキー山脈で狩りをして暮らす最後の狩人です。生態系の変化で動物たちの数が減り生計を立てることが難しくなってきたため、山を下りることを決意しようと悩むなか、ある事故を通して若いメス犬を連れて変えることになります。そのメス犬はソリ犬にはなりそうにないのですが、奥さんの力添えなどがあり少しずつ変化していきます。風景には狩人が森の中で活き活きと暮らす姿や、犬ソリの力をかりての谷超えやログハウスを自力で作る事等、実際の狩人の生活の一部を見ることができます。


●映画の中の犬たち
 
 映画の中には何頭もの魅力のある犬たちが登場してきます。それは他の動物映画とは少しことなる行動で演出もほとんどありませんので、行動はとてもナチュラルです。ソリ犬に向かないと連れてこられた若いメス犬の表情は行動の変化は実際のもののように見て取ることができますし、他の犬たちとのコミュニケーションについても発達していく過程が見られます。この犬は映画を通して成長したのだろうなと感じさせれてくれます。実はこの若いメス犬は保護施設から保護した犬で、監督が飼っているということでした。

 主人公のノーマンウインターは実生活では電動のソリを使っているとのことですが、犬ソリを使っていたこともあったとはなしています。彼の動物たちとのさまざまな関係性を見ていても、すべての動物に対する尊敬の念を感じることができました。映画の中では、犬ソリが氷の上を渡るときに割れてしまうという事故がおきるというシーンがあります。一部の犬たちも氷水につかってしまうので、ちょっと冷や冷やとするシーンですが、その後の体を温めるシーンを見ていると以外に早く快復していることに、犬の底力も感じるのです。

 犬ソリの使い手であるノーマンは、本当に犬ソリのリーダーである一体感を感じられます。それは厳しい自然の中で生きていた人としての力の強さでもあるのでしょうが、もう同じ生活をできる人はいないでしょう。ソリ犬たちはほとんどがミックス犬です。新人の犬が少しハスキーが入ったミックスなのかなという感じがします。ハスキー犬がそり犬だと勘違いされていますが、古くから人のそばで働いている犬たちは本当はミックス(雑種)犬なのです。

●ディレクターズエディションは見てほしい!

 本当に見ていただきたいのは、映画といっしょに販売されている監督の裏話が盛り込まれたディレクターズエディションの方です。画面は全くもとの映画と同じなのですが、その映画の場面にあわせて監督が情景やその他を語っています。主人公のノーマンウィンターは、本当にカナダの山の奥深くで半世紀に渡って狩人を生業として生きてきた正真正銘の狩人です。この映画は脚本がありながら、実際の体験に基づいてできるだけそれを再現するように作られています。
 犬そりのシーンでは、犬たちが興奮しており実際の映像をとるまでに何キロも走らせなければいけないという話もあり、映画を見るだけでは知りえない情報がたくさんです。ディレクターズエディションは見逃してほしくないので、ぜひご覧ください。


 驚くのは、人の生き方だけでなく犬の生き方が全く違うということでうす。動物にとっての、犬にとっての幸せとはなんだろうか、ということを考えさせられる映画です。


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Posted in 本の紹介, 犬のこと

インターホンに吠える犬“インターホンダッシュ”に対応する:インターホンに吠えるを解決するためのヒント

 昨日のブログ「インターホンに吠える犬“インターホンダッシュ”に対応する:なぜ犬はインターホンに吠えるのか」で、犬がインターホンに吠える理由と吠え方による違い、吠えるようになる年齢(時期)についてお話ししました。
 では、インターホンに吠えたときにどのように対応するばいいのかということについて説明していきます。


●インターホンは警戒吠えであるという事実

 インターホンに対する反応が通常の警戒吠えである場合の対応については簡単です。まず、通常の警戒吠えというのは落ち着いたコミュニケーションであり犬はそれほど興奮状態に陥っていないという状態です。犬が落ち着いていれば、コミュニケーションなので普通に話しかければそれで通じます。
 まず、犬が落ち着いた警戒吠えをしているかどうかの行動チェックが必要ですので、以下でチェックしましょう。

 □ 四つ脚で立っている
 □ 飛びあがらない
 □ 走り出さない
 □ くるくる回らない
 □ 低くて少しだけ長い声を出す「ウォン、ウォン」という感じ
 (※ 犬種によっては出す声が少し違いますので他の行動を参考にしてください。)
 □ 高い声を出さない
 □ 遠吠えではない
 □ ドアに飛びついたりジャンプしたりしない

上記にすべてチェックがはいれば、犬は興奮状態には陥っていない状態です。はっきりと声をかければ吠えていることを止められる状態にあります。

 声を出して犬の行動を制止させる場合は、「もういいよ」「ちょっと待って」などの声を出します。犬に言葉の意味を理解させる必要はありません。声質をはっきりと出すことで犬の行動を抑えます。犬に声をかけた直後に次の行動をします。。犬に声をかけたらすぐにインターホンの受話器をとって応答し玄関に、もしくは直接玄関に行ってください。このときに、犬は一緒には連れていきません。ココで待っててなどといって部屋の中においていきます。

 すべての行動には意味があります。正確には脳の構造が破壊されていない正常行動の場合には必ず意味や目的があるといった方がいいかもしれません。犬は警戒吠えをする「ウォンウォン→テリトリーに誰かが入ってきます!」といいます。飼い主は「わかりました。では私が対応しますのであなたはここで待っていてください。」ということを、声と行動で伝えます。役割を引き継いだので、犬はもう吠える理由もありませんし、来客が入ってきても興奮することはありません。

 しかし、こういう風に単純な対応にならない場合があります。上記のチェック表にあてはまらないむしろ逆の行動になっているとき、つまり興奮しているときには声をかけても全く吠えることをやめません。マンションなどの密室空間や、庭のない限られたスペースで生活している犬(特に日本の犬は欧米の犬よりも部屋の面積は極端に小さいのです)、周囲が密集した住宅地の犬、防衛の高い傾向のあるテリア種、牧羊犬、牧畜犬を飼っている場合には興奮の度合いが高いため、別の対応が必要になります。


●インターホンの吠えが、警戒吠えプラスアルファになってしまっていたら

 インターホンがなったときに犬が以下のような行動をしているときには、すでに犬は興奮状態にあります。もう一度行動チェックを行ってみましょう。
 
 □ 走り回る
 □ ウロウロする
 □ 左右に行ったりきたりする
 □ 飛びあがる・ジャンプ
 □ 走り出す
 □ くるくるる
 □ 連続してワンワン吠える
 □ キャンキャン吠える
 □ キーという奇声を発する
 □ 高い声で吠える
 □ 遠吠えする
 □ ガウガウいっている
 □ 声を出しながらウロウロしている
 □ ドアに飛びつく
 □ 飼い主に飛びつく
 □ 飼い主にマウンティング
 □ 飼い主にまとわりつく
 □ ソファは椅子などの高い場所に飛びあがる

行動のタイプはさまざまですが、行動の意味をいくつかにわけるととこのような状態です。

1 警戒+興奮 状態
2 警戒+威嚇(攻撃態勢) 状態
3 警戒+興奮+不安(依存) 状態

 なぜ犬の行動がこのように複雑になるかというと、インターホンで来客を予測するために、来客という社会的な対象に対する興奮や不安、飼い主が犬から離れて他者と接触することで起きる分離不安傾向の興奮が入ってしまうからです。

 インターホンにすごく吠えて興奮する犬の飼い主の中には「うちの犬は他人には大人しいので興奮する理由がない」と思われるかもしれません。実際これだけ興奮している犬も、人が室内に入ってきてしまうと全く別の行動をとるようになるのです。たとえば、飼い主の後ろをついて回ったり、飼い主をじっと見ていたり、来客の膝にのったり口をなめたり、だまって部屋の中をうろうろとしていたり床をなめていたりすることもあります。

 来客がテリトリーの外、そしてテリトリーの中にいるというちょっとした環境の違いでも犬の行動はどんどん変化していきます。飼い主さんがわかりにくいと感じることも十分理解できます。飼い主から離されると興奮したり、逆に飼い主が不在になると極端におとなしくなってしまう犬は社会的にとても落ち着いているとはいえませんが、ほとんどの室内犬は飼い主への依存がとても強い状態で生活しているため、これは多少は仕方のないことでもあります。犬の人に対する社会性の話しは一旦ここで打ち切ります。次に実際のインターホンの対応に入っていきます。


●苦情の多いマンションでの室内飼育での対応(動画あり)

 上記のとても興奮していてるので声をかけたくらいでは静かにさせることができない犬たちの行動にも、すべてに「警戒」という共通した項目があることに注目してください。この「警戒吠え」はテリトリーに来客が入ってくる警告から実際にテリトリーに来客が侵入する(ドアを開ける)緊張感によって高まっていきます。
 このテリトリーへの来客の侵入について安心感を持たせ理解を深めるためには、一旦犬をひとつ後ろのテリトリーに下がらせる必要があります。その下がったスペースとは、犬の隠れ場所として使っているスペースのいわゆるハウスです。道具の名前でいうと「クレート」や「ソフトケイジ」になります。

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 インターホンがなったときに「ハウス」といって一旦犬をハウスに戻して少しだけ待たせるだけで十分です。

 タイミングはこんな感じです。

 1 インターホンがなる
 2 犬が吠える
 3 すぐさまハウスといいながらハウスに犬を誘導(食べものは使わない)
 4 ハウス(クレートなど)の入り口を閉めて、マテという
 5 来客対応へ
 6 対応が終わったらハウスからふたたび出す

 これだけです。とても簡単です。

 実際に生徒さんに協力してもらい動画を撮影してみましたのでイメージとして確認してみてください。


[youtube]https://youtu.be/udm4Ga1Yfbo[/youtube]
インターホンがなったらハウスへのハウストレーニング動画


●「インターホンがなったらハウスへのハウストレーニング」は対処法なのか

 このインターホンがなったときにハウスに犬を誘導するハウストレーニングは、ある面では対処法になります。いわゆる根治療法ではないということです。なぜかというと、変えるべきは犬ではなく、犬が不安をかかえやすく緊張しやすい環境にあるからです。変えるべき環境であっても、変えられない環境もあります。たとえば、庭がないマンション、空間の狭い部屋、密集した住宅地、といった住居環境を変えることはできません。さらに、変えることのできないもののなかには、遺伝的性質というのもあります。興奮しやすいとか、刺激に反応しやすいとか、認知が発達しにくいといった質は、なかなか変えることはできません。
 この厳しい環境の中で、対処法としてインターホンがなったらハウスに誘導するトレーニングを行うことは、犬を安定させるためには今のところ最善の方法だと思っています。ただ、このハウストレーニングですがステップアップさせていくこともできます。しかしステップアップをあせる必要もありません。
 インターホンがなったらハウスに誘導できれば、それだけで犬はずい分人を信頼していることになります。もし人との関係が曖昧で甘え優先の依存的なものになっていれば、それは犬の状態に不安定差をもたらし、犬の行動は不安定になります。ハウスといってもハウスには入ってくれないでしょう。依存関係はとても不安定で、犬が危機的状態のときに飼い主は頼りにならず、結局のところ犬を不安にさせてしまい、犬はいつも興奮しているようになります。

 どのような環境であっても最後まで環境を整えることに対する努力は忘れてはいけません。その上で、犬と人はお互いの関係性がどちらの行動にも反映してしまう、おもしろい動物です。インターホンでハウスのトレーニングにぜひチャレンジしてみてください。

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インターホンに吠える犬“インターホンダッシュ”に対応する:なぜ犬はインターホンに吠えるのか

 犬の吠えは苦情のナンバーワンにあがっています。自宅にいるときには静かにリラックスして過ごしたいと思っているところに、近所や同じマンションの部屋から犬のワンワンという声が聞こえてくるとイライラしてしまします。苦情につながりご近所トラブルにも発展しかねません。


●犬がインターホンに吠えることは問題である理由

 室内で犬が吠えることで近隣からも苦情が多く、また飼い主さんも困っているのが「インターホンがなったら犬が吠えること」です。インターホンがなると吠えるだけでなく、部屋の中を走り回ったりジャンプしたりして大騒ぎになることがあります。
 問題解決のはなしをする前に、整理しておきたいことがあります。それは、犬が吠えるという事実は犬として通常の行動だということです。そして同時に、過剰に吠えて興奮するという事実は、犬がとても高いストレスを抱えている状態を表しているのです。インターホンに吠えるだけでなく、ドアの方向に向かってダッシュしていく犬、ドアの前でクルクルと回る犬、飼い主のズボンに咬みつく犬、ドアの前でジャンプする犬、ドアにとびつく犬、ドアの前やサークルの中でジャンプする犬、など吠える以外の行動もさまざまですが、どれもとても興奮している状態です。
 犬はとても興奮しやすい動物だと誤解されているのでこれらの行動を放置されているのでしょうが、実際には犬はとても静かな動物です。犬が活発に動くことができるということと、犬がいつも興奮しているというのは全く違うことなのです。犬がこんなに興奮することを毎日くり返してしまったら、脳の病気や破損につながることもあります。


●犬がインターホンに吠えるのはなぜか

 犬がインターホンに吠えるのはなぜだと思いますか?これはほとんどの方が答えられます。そうです。インターホンという音が、来客が来るということを予測させるからです。この連想はひとつの学習です。学習をしない犬はいつまでもインターホンと来客を結びつけることができませんが、犬の学習能力は高いので、すぐにこのことを学習します。
 来客に対する犬の吠えは、警戒吠えです。「だれかくるぞ!!!!」という吠えですね。犬は人と同じようにテリトリーを持ちそれを守る動物です。インターホンシステムも人が自分のテリトリーを守るために開発された道具です。警戒吠えをして誰か来るよ!と犬が単純に吠えることは正常な行為であってこれを叱ることはできません。ところが、テリトリーに人が入ってくると分かっているのに飼い主が犬に対して何の指示もしなければ、犬の生活環境によってはますます犬を興奮させてしまいます。
 現実的に、たくさんの犬たちが警戒態勢だけで収まりがつかなくなってしまっているようです。「警戒吠え+威嚇吠え」になったり、「警戒吠え+興奮吠え」になったり、もしくは「警戒吠え+甘えなき」になったりして、犬によってはとても複雑な吠え方をするようになっています。これらの吠えの中に、犬の飼育環境の難しさと犬と飼い主の関係を読み取ることができ、同時にこうした複雑な吠え方や、吠えながら興奮する姿を見るとき、犬は本当に大変なのだなと感じてしまいます。


●小さいころは吠えてなかったのになぜ吠えるようになったの?

 犬には年齢によってインターホンには吠えない時期というのがあります。たとえば「うちの犬は生後5ヶ月まで全く吠えなかったのに急に吠えるようになったんです」というのは一般的なことです。犬の正常な成長の過程にあてはまっていて、どこもおかしいところはありませんが、飼い主さんの方は犬が急に性格が変わって吠えるようになったと勘違いされるようです。犬は急に吠えるようになったのではなくて、成長して吠えることができるようになったのです。
 警戒吠えという吠えは、テリトリーを守るために出すコミュニケーションです。テリトリーを守る働きをする年齢に達しないとこれらの吠えは出ないのです。小型犬の方が体の成長が早いため早く警戒吠えが出ます。大型犬は体の成長に時間がかるため生後8ヶ月をすぎたくらいから警戒吠えをするようになります。

●中には全くインターホンに吠えない犬もいる
 飼い主が特に犬を管理していなくても、インターホンに全く関心のない犬がたまにいます。これらの犬たちはテリトリーを守ることに関心がなく人の出入りにも関心を示しません。同時に自分に利益のない人にもあまり関心を示しません。関心を示さないということは、急に近づくとか愛想を振りまくなどのことがなく距離を保っていることができますので、お互いに危険性もなく犬も興奮することが少ないという利点もあります。別のケースでは、人に対して消極的な場合です。どちらかというと飼い主の後ろにすぐに隠れてしまったり、飼い主といっしょにいることだけが生活の中心になりがちな犬は、他者との関わりに対して消極的になる場合があります。これらの犬についてもインターホンに関心を示さなくなることがあります。
 前者の飼い主や人と距離を保つ犬の場合は、テリトリーから離れてしまって別のテリトリーで生活することも苦にならないため、犬のリードを放したりすることについては注意が必要です。後者の飼い主に依存タイプの犬の場合は、飼い主がいないと不安を抱えやすいので管理をしっかりとしてください。これらのインターホンに無反応の犬については、個体の性質(個性)としてこの傾向があることもあるし、生活スタイルや飼い主の性格や飼い主との関係などの環境によって生じることもあります。インターホンに吠えないのはうらやましいと思われるかもしれませんが、吠えないのではなく吠えられない犬もいますので一概にそれがいいとはいえません。飼い主が代わると犬の行動はビックリするほど激変してしまうので、犬と人の関係性というのはつくづく深いものだなと感じるのです。


 さて、ここまで読まれて「インターホンに吠えたらどうすればいいの?」と思われた方のために、明日はちょっとだけインターホンダッシュ反応についてのヒントをお伝えしますのでお楽しみに。



dav



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犬語セミナー開催のお知らせ<福岡校>&<七山校>

近日中に開催される犬語セミナーの日程をお知らせします。

・グッドボーイハート七山校開催 (佐賀県唐津市七山)
2017年5月28日(日)14時~16時

・グッドボーイハート福岡校開催 (福岡市博多区住吉)
2017年6月4日(日)14時~16時
※あと数名で定員になります。
追記 福岡校開催は定員に達しました。福岡校での平日クラス(金曜日夕方)の参加者を募集していますのでお気軽にお問い合わせください。(2017年5月15日)

どちらも事前予約が必要です。
始めてご参加の方は、お手数ですがグッドボーイハートホームページお問い合わせフォームよりご連絡ください。

犬語セミナーは犬のコミュニケーションを自分で読み取る力をつけるためのクラスです。
2時間の短い時間ですが、毎回参加者のみなさんと真剣に深く読み込んでいます。

どうぞお気軽にご連絡ください。


dav


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グッドボーイハートおすすめのアイテム:スチールのバッテリーチェーンソー

 今日のおすすめアイテムはペット用品ではありません。
もしかしたらみなさんがいつか犬とのスローライフを楽しませることになるかもしれないと思い、前もってお伝えするおすすめアイテムです。

そのアイテムとはこれです。

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ドイツのメーカーSTIHL(スチール)のバッテリー式のチェーンソーです。

 チェーンソーなんて一生縁がないはずという方が多いとは思いますが、それでも人生には何が起きるのかわからないので、あえてここで紹介しておきます。

●薪ストーブの薪あつめに必須のチェーンソー

 チェーンソーがなぜ必要なのかというと、薪ストーブのための薪をとってくるために必須であるからです。山暮らしはおしゃれにいうとスローライフという言い方になりますが、実際には自然のスローなリズムの中で人は忙しくよく働く「自然健康ライフ」といった方が適切かもしれません。とにかく、山中での生活できっといつか欲しくなるのが薪ストーブなのです。

 もちろん、薪ストーブ用の薪は購入することもできます。国内産のよい薪を購入することは、日本の林業を支えるひとつの方法でもありますので、余裕のある方はぜひ国内産の薪を買ってください。薪をとってくるにしてものこぎりを使うという手があります。もちろんこれも大賛成です。人力のエネルギーでエコですし体は鍛えられます。古来からやってきた方法なのでこれも選択肢のひとつです。でもチェーンソーもあった方がいいなというときには、初心者向けのこのスチールのチェーンソーはおすすめです。

●スチールのチェーンソーの特徴

 国産でもすぐれたチェーンソーメーカーはあります。マキタとか日立とかをお使いの方もいらっしゃると思います。ですがどちらも重いのです。そして軽いものを選ぶとパワー不足で小枝くらいしか切れません。スチールのこの型式のものはまず軽いです。3キロ未満しかありません。女性でも軽々と片手で持てます。そしてバッテリー式なのでパワーは小さいですが臭いませんし簡単にエンジンがかかります。

 安全については初心者が使う可能性のあるものなので、他のチェーンソーよりもしっかりしています。まずは安全装置がついているので手を離すとすぐに停止します。キックバッグしても自動停止してしまうのです。簡単で安全もある程度確保できるので、エンジンチェーンソーのように防具をつける必要がありません。防具は前掛けみたいなもので女性用のサイズはあまりなく重たく動きにくいこともあって緊張します。

 手入れがとても楽です。工具がなくても分解できます。目をとぐのは回数がいりそうですが、掃除の手順はとても簡単になっています。そしてなによりもいいのはバッテリー式のこのタイプの価格がかなり下がったということです。

●チェーンソーの目的はもっと別のところにある!

 このスチールのバッテリーチェーンソーを入手した理由は薪入手以外にもあります。それは、竹を切ることができるという利点があるからです。竹は他の木と比べても硬く構造が違うため、通常のチェーンソーの刃では切れないため刃のつけかえをする必要があります。ところがスチールの多くのチェーンソーは刃が鋭く竹を切ることに対応できるものがたくさんあります。今回入手したチェーンソーもそのひとつです。

 日本の山林には孟宗竹が猛威を振るっています。山中で食べるものものなく獣をとって食べる習慣もなかった日本人にとって、春になるとぼこぼこと土の中に芽を出すこの大量の炭水化物の食品は必須であったと思います。タケノコは保存もできるしすばらしい食材です。ですが、山に外来の植物を植えるということは丹念に増えすぎないように手入れをすることが原則です。とろこが山の手入れをする人手がなくなり、今や日本のあちこちの山で孟宗竹はひろがっているのです。その根は地面深くを通って他の広葉樹が育つのを妨げてしまいます。

 実はグッドボーイハートの尾歩山の境界線からもこの孟宗竹が勢いよく広がってくるので、この季節は竹が育たないように見張ることがひとつの作業になっています。見逃したものは切り倒すのですが、これがとても労力のかかることなのです。きっとこのスチールのチェーンソーが竹を切るお手伝いをしてくれると今から楽しみにしています。



 山から不要な木を拾ったり切ったりして薪をとることにしても、増えすぎた竹を切ることにしても里山の手入れなのです。薪ストーブを導入したのも、山を利用することについて考えたいという気持ちがあったからです。山を利用しなければ里山ではないのです。その山を利用ということがどういうことなのか、できることからやってみたいというだけの単純なはなしです。生態系の保護などと崇高なことは考えていません。里山が元気になったら里山犬たちが生きる場所ができるのではないかという、ただそれだけのことなのです。



dav

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