最近の小型犬たちの歩き方を見ていると、どうしても気になってしまうことがあります。
気になる歩き方とは、後ろ脚の運び方です。
犬の前脚と後ろ脚では長さが違います。
前脚はまっすぐな印象で、後ろ脚は曲がっていることをご存知だと思います。
もともと山がお里の動物ですから、山の斜面を長時間歩くのに発達した体型なのです。
前脚も後脚も上にあげては下に降ろすという運び方で歩くのが犬の歩き方です。
ところが、最近の犬たちは前脚も後脚もあまり上にあげずに歩いています。
前脚は棒のように前に出るのですが、後脚の方は長くてまっすぐに前には出せないため、横から出すような歩き方になります。
武士の姿で裾の長いハカマを履いて歩く感じです。
右後ろ脚と左後ろ脚を交互に横に出しては前に運ばなければ、裾が長くて歩けません。
犬もそんな歩き方をしているのです。
同じような歩き方を人がするのは、アイススケートでも見ることができます。
足を滑らせながら歩くために、足を横に蹴るようにしてすべるため、左右の足が横に出ています。
脚を上にあげて歩かずに、横に出すようにして歩く犬は、小さいころ滑りやすい床面にいたのかもしれません。
サークルなどに入れられている環境でも、滑りやすい床面になっていることもあります。
また、サークルの中での立ち上がり行動や、飛びあがり行動も脚を湾曲させていきます。
様々な悪影響で後脚は次第に湾曲してきます。
後ろから見るとO脚になってしまうのです。
こうした後脚になってしまった犬は、坂道を歩くのが苦手です。
脚を上に持ち上げなければ、山歩きはできないからです。
山をあまり歩かない人も、山歩きをするといつも使わない筋肉が痛みを生じた経験を持たれた方もいるでしょう。
山歩きのように足を上にあげて歩く行動は、平な地面では必要ありませんから、足の筋肉も一部は使われずに退化してしまうのです。
坂道を歩けずにしゃがんでしまう犬ですが、そのうちにだんだん脚を上に持ち上げて歩けるようになります。
がに股になっている犬の脚がしっかりと上がっているのを見ることは、毎回感動します。
脚の筋力を鍛えて健康な体をつくるには、やっぱり山歩きが一番です。
飼い主さんの筋力作りにもおすすめします!
Author Archives: miyatake
<犬のこと>犬の後ろ脚の運び方がとても気になること
<クラス>山登りに犬を連れていってもいいんですか?
先日はじめてのトレッキングクラスに参加してくださった飼い主さんと犬くんがいます。
今までは家庭訪問トレーニングクラスで犬の行動や習性について学んでいただきました。
ご家庭での環境作りや接し方の注意や、普段の生活の中で行動の変化を促すトレーニングをすすめます。
そして、家庭環境の整備がある程度すすまれてきたので、そろそろと思い体験のトレッキングクラスをお誘いしたのです。
グッドボーイハートの尾歩山トレッキングに参加される方がよくこんな風にいわれます。
「こんなに山だとは思わなかった。もっと普通かと思っていました。」と。
トレッキングクラスをお誘いしたのですが、普通な感じとはどんな感じなのでしょうか。
自分にとっては長靴でうろつくような庭になっている山が、都会暮らしの方にとっては「こんなに山」と受け取られているギャップがあるのですが、犬の方は大丈夫のようです。
だって、彼らは4つの脚をつかっているうえに、足裏にはパットというゴムもついています。
さらに、左右上下前後にバランスのとれる尾も本来は持っているはずなのです。
そして、低い姿勢で環境を把握できる、犬が最も誇る「鼻」を一番前に突き出しながら歩きます。
あしを出すたびに「気をつけて」と犬に声をかける飼い主さんもいますが、犬からしてみれば「気をつけるのはそっちの方だよ」とバランスの悪い人間の姿に目を覆いたくなっていることだろうと察します。
このはじめての犬との山歩き中に「トレッキングシューズをはいてくればよかった~」とおっしゃったので「えー、山登りされるんですか?どんな山だと思われましたか?」とお尋ねしました。
なんでもご家族で山登りに行くのを趣味にされているとのことでした。
しかも、その山登りですが犬は留守番させていかれるとの事です。
「えー。。。飼い主さんが山で犬が留守番ですか?それはうちにいた犬が聞いたら相当ビックリしますよ。」
ですが実際はよく「犬を山登りに連れていってもいいんですか?」と聞かれることがあります。
山のにおいをつけて飼い主が戻ってくるのに犬だけお留守番とは拷問みたいなものですね。
ごくまれに、保護地区や遺産地区では犬の排泄が環境汚染につながるという理由で許可されていない場合もありますが、それは特殊なケースです。
むしろ、山登りに行くのに犬を連れていかない理由がほとんど思い当らないばかりか、犬の最も大切な仕事は、山歩き中に飼い主が無事に戻って来れる様に飼い主を守ることなのです。
犬が一番やらなくてはいけない仕事を取り上げてしまい、お家の中で何もしなくていいのよといわれても、犬はさびしくやりがいのない毎日を送るしかありません。
犬も冒険していいではありませんか。
いや、むしろ犬は冒険する動物です。
しかも、飼い主といっしょに冒険する動物なのです。
グッドボーイハートのトレッキングクラスが犬との山登りのきっかけになれば、ものすごくうれしいです。
<犬のしつけ方>犬を迎えるならメンテパックも予算に入れよう!
グッドボーイハートでお預かりしている犬ちゃんのクレートカバーがこの季節の七山では心もとなかったので、簡単なものを作ることにしました。
手元にある布とミジンコを取り出し、完成したクレートのイメージに向かって創作を開始しました。
ところが、完成したものは始めに妄想のなかで見たものとはかなり違うのです。
もっと素敵で可愛いものが出来たはずなのに、皆さんきれいに作ってあるのに何故うまくいかなかったのだろう。
選んだ布に問題があったのか、もしくは、ミシンが安すぎたのだろうかと、思うのもほんの数秒のこと、
イメージ通りにいかなかったののは、自分の力不足、技量不足、経験不足、ただそれだけなのです。
犬を家族として迎えた方のほとんどは、これから迎える犬と家族の楽しい暮らしを思い描いていたはずです。
ところが、実際に犬を迎えてみると思い描いていたイメージとは違って、いろいろと問題が起きてしまうこともあります。
犬との暮らしに問題を抱えている飼い主さんの多くが、「なぜ、うちの犬だけがこんなになったのでしょうか?」とお尋ねになります。
私が道具が問題ではないかと疑ったように、犬の個体そのものが問題ではないのかと疑いをかけられてしまいます。
ドッグスクールへの犬のしつけ方の相談には、吠える、咬みつく、散歩ができない、留守番できないなど、犬の困った問題があります。
問題とされる犬たちはみんな、はじめから問題があったということはありません。
飼育の過程や繁殖の過程によって問題となる行動を取らざるを得なくなってしまった犬たちの言葉を飼い主にお伝えしするのが家庭犬インストラクターとしての仕事です。
現在の犬の環境や育て方、しつけ方、接し方をより良い方向へ変えていくことで、犬が健全に成長することができるよう飼い主さんにサポートをお願いしていきます。
そのための、犬への理解、共感と飼い主としての自覚なのです。
みんな何も知らなくて犬を飼っているのに問題があるのはうちだけではないかという不満をお持ちかもしれませんが、問題があったからこそ犬のことを理解するチャンスができたと思っていただければと思うのです。
犬を高い金額で購入してしまい、トレーニングや犬のしつけ方を習うための資金を準備されていないことが、この大切な機会を逃してしまうこともあるでしょう。
せっかくお気に入りの車を買ったのに、その車を大切に維持していくためのプロの力を必要とするメンテナンス料金を準備できなかったら、車はボロボロで使い古しとなり結局は車の良さを発揮することもなく、愛されなくなってしまいます。
犬を迎える予算のうちから、まず犬のしつけ方や犬について学ぶ料金を差し引いた金額で考えていただきたいですし、すでに犬を迎えてしまったご家庭なら、予算には入っていなかったけどこれはどうしても大切な犬との関係作りのための準備として、犬の学校で学ぶ資金作りをお願いします。
ネットで検索すれば無料の情報はたくさんあるかもしれませんが、自分のように専門家としてお金をいただきながら犬について飼い主さんに指導する立場にある人間は、そのことに対する努力と体力、気力を注いで自らも学び続けています。
十分に学んだつもりでも、まだ力不足であることを感じることもあるのですが、みなさんの学びも自分の学びのひとつとして真剣にこれからも学んでいきます。
犬は育てるものです。大切に育てていきましょう。
<お知らせ>鹿肉ジャーキー「ヤマゴチ」の新製品は麹と鹿肉のコラボです。
グッドボーイハートのお知り合いのヤクトさんが丹精こめて作っている、犬たちのための鹿肉ジャーキーに新しい商品が登場するらしいのです。
昨日、イベント帰りということでグッドボーイハートに立ち寄って下さったヤクトさんから、詳しくお話しを聞きました。
その商品とは、ヤクトさんの鹿肉ジャーキーに大分県佐伯市の麹やさんの「麹」を混ぜ込んで作った発酵食品だということでした。
まず違うのは「におい」です。
人が嗅いでも明らかに麹の甘い香りが漂うジャーキーになっています。
麹は扱いが難しいらしく、温度管理や乾燥の度合いなどを入念に計算した上で試作作りを重ねた結果、来月の11月11日に発売できそうだということでした。
同日開催される大分県佐伯市で行われる「犬祭り」には出店されるらしいので、お近くの方はのぞいてみてください。
グッドボーイハートでも注文を受け付けていいということだったので、関心のある方はお声かけ下さいね。
料金は800円~1000円くらいになりそうだということです。
グッドボーイハートの生徒さんたちには、いつも通り特別価格でお渡しできるようにがんばります。
さらに、ヤクトさんから犬たちのための試食品をいただきました。
今週から試食品を持ってレッスンに向いますので、一口ずつ試食してもらい犬たちの反応をみせていただければと思います。
ヤクトさんは、大分で猟師をして鹿肉をとりながら、犬たちが喜びかつ健康になれる犬用のフードやジャーキー作りに全く手を抜く事なく取組んでいらっしゃいます。
その姿に共感したため、グッドボーイハートでは特別にみなさんにお分けしたいという思いを込めて希望される方のところに持参しています。
うちの犬にあげてみたいという方はお気軽にお声かけください。
麹入りチップスですが、麹は鹿肉に対して10%くらい入っているとのことでした。
腸内環境がより良い状態になり犬たちも喜んで食べてくれるジャーキーで、さらに安心して食べさせられるものならうれしいですね。
試食会が楽しみです。
<犬のしつけ方>犬の分離不安症という赤ちゃん病も他の犬には通じないこと
犬の分離不安症や分離不安傾向などの行動や問題については、このブログでも数回にわたって取り上げてお話ししてきました。
犬の分離不安は複雑化する飼育環境と飼い主と犬の関係性、犬の繁殖や販売などの受け渡し方法など、いくつもの要因が絡まりあって起こる症状です。
分離不安を病気と位置づけて話を進めるつもりはありませんが、ここで症状という言葉を使わせていただくのは、あくまで分離不安傾向の高い行動は、犬の個体に定着してしまう行動とは別に考えていただきたいという意図を含みます。
この分離不安という言葉は、以前もご説明したとおり、児童心理学の分野から発生した言葉です。
飼い主が犬から離れることで犬がひとりになると不安定な行動を示すことが、赤ちゃんの生育時に母親に対して見せる行動と同じであること、さらにその行動を引き起こしている脳内の状態を同じであることが科学的にも明らかにされつつあるため、分離不安という言葉が犬にも用いられるようになりました。
犬の分離不安を取り上げる記事や情報は増え続けており、ペット化した犬という動物の行動やその脳の発達がますます不安定な状態を強いられていることを痛感しています。
犬の分離不安をご存知のない方のために簡単にご説明しますが、分離不安傾向の強い犬は、飼い主が自分の元を離れると奇声をあげるように泣き叫ぶ、まさにキーというような音を出すのが特徴です。
それらの泣き叫ぶ声を聞いた人の多くは、最初は子供が奇声を発しているのか、もしくは何か特別な動物が絞め殺されているのかとビックリするような声です。
犬が飼い主を呼び戻すときや要求するときに使う「ワンワン」といった犬らしい声とは違う声で、喉を締め上げるようにして出す声を聞くと、明らかに分離不安の状態に陥っていることがわかります。
その奇声を発している犬は、単純に叱ったりすることで吠え止むことができません。
なぜなら、行動修正を求められているということは、人側の反応に対し犬なりの反応を示すための感性(センサー)というが必要なのですが、このセンサーが若干壊れかけている状態だからです。
犬は本来集団で行動する動物で、子犬のときの待機(留守番)にしても複数でする習性を持つため、幼少期(生後3ヶ月)までにひとりで待機(留守番)できるようにするための環境作りには、入念な環境整備が必要です。
この環境整備が不十分な状態となり、その上犬を迎えた飼い主が犬の行動についての理解が不足した状態となると、子犬はコミュニケーションに不安を抱えることになり一気に分離不安状態へと突入していきます。
この分離不安傾向のある犬の場合は何才になっても、つまり老犬になっても赤ちゃん行動をくり返します。成熟しないというのも特徴のひとつです。
抑制がうまく働かない、つまり抑制が効きすぎたり効かなかったりする状態になります。
ストレスに弱く脳に混乱を生じやすいため、てんかんのような症状を併発することもあります。
分離不安傾向の犬は、飼い主以外の人にも赤ちゃん行動を伴って接触します。
手をかけたり甘噛みしたりとびついたり、お腹を見せて寝転がったりお腹を触ってとひっくり返ったりします。
犬によっては人見知りの状態となり、飼い主以外の人には近付かなくなる他人に不安を抱える行動をすることもあります。この場合は他人が近付こうとすると逃げる行動が見られます。
分離不安の犬は社会不安も高いため、他の犬と対等に接することもできません。たいていは逃げる、逃げられなければ牙を見せたり空咬みという咬み付き行動をします。
騒いで飼い主に抱き上げられることを覚えてしまう犬も多いようです。
人は犬が赤ちゃん的な行動をとると「かわいいわね~」とどちらかというと好意的に反応することが高いのです。
唸ったり吠え立てたりされることよりも、お腹を見せたりオシッコをしかぶる「失禁」行動をすることの方が弱々しい印象を与えるので歓迎されるのでしょう。
人はそもそも動物が怖いのですから(だから人社会を構築してきたのですから)、動物が赤ようにちゃんの振舞うことを歓迎する傾向は強いのです。
ところが、他の犬たちを騙すことはできません。
子犬には子犬特有の臭いがあります。その子犬の臭いがなくなったとき、子犬はもう子犬ではないのです。
犬たちは分離不安の犬の臭いを十分に嗅いだあと「お前は子犬じゃないな」と受け取ります。
それなのに犬が逃げる行動を取れば、当然のことですが攻撃されます。
「逃げるものは攻撃する」という行動の習性は、犬だけでなく非常に多くの動物のもつ習性です。
同じ習性を人も持っているのですが、心当たりはないでしょうか。
攻撃されているものを攻撃するのです。ワイドショーなどで、誰かが攻撃のターゲットになると一成にみんなでかかっていくのは、動物の行動習性を見るようなもので、当たり前のこととはいえ人も弱い動物であることを確信してしまいます。
分離不安行動の犬の赤ちゃん行動は、他の犬を騙すことはできません。
分離不安となる犬は社会的に他の犬と関わることができなくなってしまいます。
複雑かつ時間のかかる、犬の分離不安行動の解決について、飼い主とその周辺の人々を含めて、みんなで考え行動する必要がありそうです。
<おすすめのアイテム>私が犬なら絶対におねだりするベッド:LLビーンの犬用ベッドがお買い得!
室内犬の落ち着けるスペースとして必要な犬用のベッド。
グッドボーイハートで一押しのLL(エルエル)ビーンのベッドがセールになっています。
本日、家庭訪問レッスン中に、いつものように犬用ベッドの説明をしました。
「少しお高いのですが、一押しのベッドがあるんです。
LLビーンというアウトドアメーカーのものなんですけど…」
と、毎度のことながらとても言いづらい感じでご紹介しました。
物としては一押しなのですが、価格が一押しできない高額のペット用品です。
LLビーンをご存知だったので、早速ネットで検索していただきました。
「セールになってます!」
という事実が、偶然わかりました。
毎回、セールになるたびに完売してしまうLLビーンの、あの一押しの犬用ベッド、カウチ型がまだ全色残っているのです。
それだけではありません。
犬用ベッドのカバーのみ、インサートのみもセールになっています。
カバーの色を変えて楽しみたい方、インサートにヘタリが出てきたなと感じているみなさん。
セールなので今ならお買い得です。
いつも申し上げるのですが、私はLLビーンからマージンももらっていませんし、紹介料もいただいていません。
ただ、犬が安心して快適に暮らすために役立つグッズとして単純にお薦めしています。
私も犬なら買って欲しい一品。
LLビーンの犬用ベッド、買われるならカウチ型のプレミアムドッグベッドでお願いします。
<犬のこと>ドッグカフェという名の犬を触る場所とは?
先日、生徒さんとお話しているときに、地域に犬を触れる「ドッグカフェ」というものが誕生したことを聞きました。
ドッグカフェという名前から想像するものは、犬といっしょに行くことのできる、つまり犬OKのカフェというイメージでしたが、そのカフェは違うらしいのです。
最近はやりの「猫カフェ」のように、カフェの中にどのようなスペースかはわからないのだけど、犬がウロウロとしており、その犬たちを「触る」ことを目的としたカフェだというのです。
ここからは、個人的な価値観の入るところなので、あくまでも私はこう感じるという立場で述べさせていただきます。
カフェの目的としては犬を触ることで癒される癒しのカフェを売りにされているようです。
個人的には猫カフェに行って猫をさわりたいとも見たいとも思わないし、猫を触って癒されるという感覚もありません。
ただ、猫という動物の習性について犬のように専門的な知識がないため、自分は関心はないがそれ以上のコメントはできませんというスタンスでいます。
ただ、犬に触ることで癒されようとするドッグカフェとなると、少し立場が違います。
犬という動物の習性やそのカフェで日々を過ごす犬たちにかかるストレスを考えるとき、人はどこまで動物に負担を強いれば気がすむのだろうと思うのです。
もし、そのカフェにいて来客者たちに触られる犬が自分の犬であったとするなら、どうでしょうか。
自分の家族である犬をカフェの中のメイド犬として働かせたいと思うでしょうか?
もしそう思うならなぜでしょう。
もしそう思わないのならそれもなぜでしょうか。
もう少し、いろんな意見を交わせる場所があればいいのでしょうが、これらお互いに意見の合わないもの同志が交わる機会もないのです。
お話してくれた生徒さんは、絶対に行きたくないし気分が悪いとおっしゃいました。
グッドボーイハートで学ばれる生徒さんの多くは、同じような感覚になられるのではないでしょうか。
なぜなら、いつも犬の立場にたって考えることを学んでいるからです。
ドッグカフェには閉口しましたが、生徒さんの言葉には共感を得られました。
その都心にできたドッグカフェは行列ができるほどの人気だそうです。
みなさんはどう思いますか?
犬たちはどう思うのだろう。
<犬のこと>犬の健康寿命を考える:犬に自然死はあるのか?
子供のころからテレビで活躍されている俳優さんが亡くなると、いつも思うことがあります。
メディアで有名な人は、その病気や死に方にまで世間の注目を浴びる大変なお仕事なのだろうな、ということです。
先日、俳優の樹木希林さんが亡くなったことでも、その生き方だけでなく死に方について考えさせられるものがありました。
マスコミの報道でしか知りえないので、真実はどうなのかとは思いますが、癌を患いながら確かに人生のできるだけ最期まで仕事をして生活をするという日常を大切にされた死に方であったように思えるからです。
実は、犬も医療が発達しているため、癌や脳の病気など老齢病を患うようになりました。
もしくは、本来そうした病気で老齢でなくなる犬は老衰という自然死を受け取られていたものが、動物医療の発達により病気の原因が分かるようになり、人と同じ老齢の病が増えているように感じられるのかもしれません。
さらに、老齢によって生じる犬の病気に対する治療の選択肢も広がっていきます。
犬に対する医療行為をどこまで行えばいいのか、そのことで犬の生活がどのように変化してしまうのか、
日常生活を維持することができるのかなど、まだ始まったばかりのこの老犬に対する医療については、答えが見えていないというのが現状ではないでしょうか。
犬を自然に死なせてあげたい、だけど犬と一日でも長くいっしょに過ごしていたいという両方の希望がかなえばいいのですが、病気をかかえながら長生きする犬と向き合うことの中には、想像を超えることも多々あります。
そのときが来なければ選択はできないというのもあるでしょうが、樹木希林さんは病気のケアはしながらも、病気を受け入れる覚悟というがあったからこそ日常生活を大切にすることができたのではないでしょうか。
病気を悪いものとして、病気を消してしまわなければいけないと思ってしまうと、治療は激しくその反動も動物にかえっていきます。
病気を悪いものだとせずにある程度の受け入れの気持ちがあれば、治療や老犬の過ごし方にもまた別の選択肢があるはずです。
犬は人が飼っている動物なので、野生動物のような自然な死は訪れないとしても、動物として尊厳のある死を望んでいるのではないかと思います。
自分もまた動物として、どこかで折り合いをつけて死を迎えていくことができるのか、それは今をいかに生きていくか、結局生き方につながっていく問題です。
となると、犬の場合も、犬の尊厳のある死は、犬がどのように生きていくのかという今につながっています。
そんなことを考えていると、ふと山を歩いている犬の姿が思い浮かびます。
いっしょに山を歩けてよかった、そんな気持ちが沸いてくるからこそ、犬との山歩きの時間を大切にしたいのです。
<犬のしつけ方>犬の遊び「ひっぱりっこ」で犬が攻撃的になる?わけない理由
いろんな犬のしつけ本やインターネット情報が溢れる中、それ絶対違うでしょうと声をあげたくなることがあります。
犬のしつけの方法として、ほめたり叱ったりすることについてはやり方や価値観の問題などで、間違っていると名言することはできません。
あくまで、犬とどのような関係を築いていきたいのかを中心に考えて選択していただきたいと思うだけです。
声を大にして言いたいのは、犬が犬として行動していることに対する理解の違いです。
もちろんこの犬の行動の見方に関しても、そう思うとかそう思わないという味方があるはずなので、自分なりに判断していくしかありません。
今日ここで声を大にして言いたいのは、犬のひっぱりっこ遊びについてです。
本やネットの情報の中には、犬のひっぱりっこ遊びは犬が攻撃的になって噛みつくようになることにつながるためさせない方がいいということを書いてあるらしいのです。
私の意見を結論から言えば、犬のひっぱりっこ遊びで犬が攻撃的になったり噛みつくことはありません。
もしそうなっているのであれば、それはひっぱりっこ遊びのやり方が間違っているか、ひっぱりっこ遊びの解釈がそもそも違っているということです。
一つのもの、例えばひとつのオモチャの両端を2者で持ち、お互いに後ろに体重をかけて引っ張る行動をするひっぱりっこは、見たところ綱引きのような作業になります。
ひっぱりっこ遊びを重要だとしたいのは、犬と犬がする遊び行動だからです。
犬と犬がする遊びの中でも、犬と人が同じようにできる遊び方には限りがあります。
その中で、ひっぱりっこ遊びは犬と人ができ、その遊びの中で協調性、自制、興奮のコントロールなどの学習事項が含まれているすばらしい遊びなのです。
犬と犬のひっぱりっこ遊びは、同じような年齢では頻繁にやるようになるし、年齢やサイズの違う犬であってもお互いに力をセーブしながら上手にやるようになります。
以前このブログでもご紹介した犬と犬のひっぱりっこ遊びの動画を参考にご覧になってください。
過去ブログ→ブランとマーゴの引っ張りっこ遊び:犬の引っ張りっこ遊びは勝たないとダメ?と思っていませんか?
ひっぱりっこ遊びが攻撃性を育ててしまう危険な行動だと誤解されてしまうのは、ひっぱりっこ中に犬が唸り声を上げるからでしょうか。
ひっぱりっこ遊びを人側がものを取り合う遊びだという認識でやってしまうと、犬も同じようにものを取る遊びだと思ってしまいます。
またひっぱりっこは緊張感の伴う遊びなので、社会的に人や他の犬に緊張しやすい犬は声を出してしまうことがあります。
遊びはコミュニケーションなので応答の仕方を工夫すると、少しずつですが引っ張りっこ遊びができるようになります。
ひっぱりっこが得意ではないけれど練習中の犬の動画を掲載しておきます。
以下がその動画です。
フレンチブルドッグ福太くんのひっぱりっこ練習風景
オモチャについてきてしまったり、ひっくりかえったりしてしまいますね。
少しずつひっぱりっこの体勢になるように上手に導いてあげることで、ひっぱりっこ遊びが出来るようになります。
ひっぱりっこは大切なコミュニケーションの機会です。
ひっぱりっこ遊びで犬が噛み付くようになることはありません。
<犬のしつけ方>犬の視覚を使う:犬も二度見をするのか?
犬と関わっているといつも思うのが、犬はどのように物事を理解するのだろうかということです。
どのように理解するのかという過程は、犬がどのように知覚を使っているのかということに注目します。
知覚とは、視覚とは嗅覚など刺激の入り口にあたる部分です。
特に視覚の受け取り方についてはとても気になるところです。
なぜなら、わたしたちヒトという動物は視覚を中心として環境を把握していきます。
人の嗅覚はほとんど使われなくなってしまい、犬からすれば人は鼻のない動物になるでしょう。
逆に人からすると、私達が見えているように犬が同じものを見ていない、視覚を中心として学ぶ私達が得るように情報を得ていないということは、犬とのコミュニケーションギャップにつながる理由にもなります。
視覚の使い方にはいろいろありますが、人は視覚を通して情報を得るため、自分の気になるものや焦点を当てたいものに注目します。
その対象に対して視覚を向けるのです。
犬の中でも特に室内犬はいつも人の行動を観察していますので、人が見ている方向を気にするようになります。
犬は飼い主の行動を予測しながら自分の行動を決めていくことがあります。
そのため、飼い主が見ている方向で飼い主の行動が決まるため、いち早く飼い主の視線の先を見るようになるのです。
ところが、そうでない犬たちもいます。
このことについては以前「ナショナルジェオグラフィック」という雑誌に紹介されていたことがあります。
同誌の中では、Animal Behaviourという雑誌に掲載された記事として、犬の視線の先を見る行動について次のような実験結果が紹介されていました。
~引用ここから「ナショナルジェオグラフィック」から~
ワリス氏らが行った最新の実験は、訓練レベルと年齢が異なる145匹のボーダーコリーを対象に行われた。目的は、年齢、習慣、訓練が、犬の視線追尾に与える影響を知ることである。
ワリス氏は、自分がドアを見たときの犬の反応を調査した。すると、なんと訓練を受けていないボーダーコリーのみが、彼女の視線を追ったのだ。訓練を受けた犬は、それを無視した。訓練を受けた犬は、人の視線の先ではなく、顔に注目することを学んでいるからかもしれない。
訓練を受けていない犬に対し、ワリス氏の顔を見るように5分間訓練したところ、視線を追うという本能を無視するようになった。
さらに驚くことに、訓練を受けていない犬は、困惑した様子で、ワリス氏の顔とドアを交互に見ていたという。この行動は、それまで人間とチンパンジーでしか観測されたことがなかった、「チェックバック」(いわゆる「二度見」)と呼ばれるものである。
~引用ここまで~
要するに、訓練を受けていない犬ほど人の視線の先を見ることができるのに、訓練を受けている犬は人の顔しか見ないということです。
当たり前のことですが、こうやって実験結果として記事になると納得される方も多いのではないでしょうか。
トレーニングの方法にもよりますが、トレーニングは単純に合図に反応させることを中心にしてしまうと、犬は飼い主の言うとおりに行動するが自分では考えて行動しなくなってしまうことがあります。
つまり飼い主に依存することが行動の中心となりますので、自分で環境を把握する必要もないし、犬なりの行動をする必要性もなくなってくるのです。
よくあるトレーニングですが、散歩中に他の犬に吠えないようにするために飼い主に注目(アイコンタクト)をとらせるという方法があります。
飼い主に依存させる行動で安定を図ることで、他の犬を環境の一部として受け取らないように教えていくためです。
この行動や教えやすく他の犬に吠えるという行動を止めさせるという目的では達成が早いのですが、同時に環境を把握して適切に反応するという本来の社会化を発達させません。
本質的な社会化学習には時間と手間と環境が必要なので、ほとんど家の中ですごし少ししか散歩に出ないような生活をする中で生まれた人に都合の良いトレーニング法です。
犬の本質的な社会性を発達させることは諦めるけれど、人に迷惑をかけずに犬を飼うという目標は達成されますので、短い期間で結果を出したいためによく使われています。
こうした飼い主に依存させるトレーニングをすすめていくと、犬は自ら環境を把握することがなくなっていくのです。
犬はますます不安になり飼い主への注目度が高まるため、自分に注目させたいというトレーニングとしては成功を重ねていきますが、犬の行動としては異質ではあります。
犬が人の視線の先を見る能力があり、しかも二度見するということなどは、日常的に犬を観察していれば自然に見ることができます。
犬が視線の先を見ていたからといって、犬が視覚的にその対象を認識しているのではないかもしれません。
視線を向けると同時に顔についている知覚器官は全てその対象に向けられます。
つまり、犬の鼻先もその方向に向けられるわけですから、犬は視覚と同時にご自慢の嗅覚も使ってその対象を認識するでしょう。
そして今まさに飼い主であるあなたが何をしようとしているのかを、知覚の全てを受け取っているのです。
オヤツを食べようとおもって冷蔵庫に近付いたら、自分よりも早く犬の方が冷蔵庫に到着しているということもあるかもしれません。
犬にしつけやトレーニングを行うのであれば、犬が本来持っている能力を伸ばす方法を取り入れたいものです。
犬は人の指先を見るのかという過去ブログもありますので、あわせてご覧ください。
ブログ記事:<犬のしつけ方>人の指差しに変わる、物を差し示す犬のコミュニケーション