室内に長い時間拘束されがちな犬は、暇で仕方ありません。
動物は一日をゆるりと過ごすものですが、室内という人工的空間の中に閉じ込められている犬のストレスは計り知れないものがあります。
自然環境の中で散策したり、危険を回避しながら一日をゆっくりと過ごす野生動物とは時間の使い方が違うのです。
室内ではたくさんの家庭犬たちが時間をもてあましており、そのうち家具をかじったり、自分をなめる自虐行動を始めます。
中には、不安な状態が継続しすぎて飼い主さんの存在を確認できないと、排泄の失敗をしたり家具をかじったり、食べ物を盗みとったりと様々な飼い主を呼び戻す行動を継続してしまうこともあります。
そこで、室内で多少夢中になり時間がつぶせるペット用品をある程度は活用したいものです。
そのひとつに「トリートボール」という道具があります。
名前のとおり、オモチャの中に食べ物を入れて犬に与えるオモチャです。
オモチャを転がしたり噛んだりして、フードを取り出していくことにほとんどの犬は夢中になります。
トリートボールにはいろんな形状のものがあります。
犬の関心と噛み具合によって最適なものを選んでいただきたいのですが、最初の導入ならペットボトルで代用できます。
空のペットボトルの中にフードを少しいれて与えるだけです。
ペットボトルのカラカラといった音も含めて夢中になっています。
以下の動画ははじめてペットボトルのトリートボールで遊ぶ犬くんの様子です。
ペットボトルの中が濡れていたため、フードが出にくくなってしまったのですが、諦めずに取り組んでいます。
ペットボトルは薄い素材なので、簡単に破損してしまいます。
使用の際には飼い主さんが監視できる範囲内で行ってください。
特に中型犬以上のサイズの犬の場合には、破壊行動のスピードが速いため十分に注意して与えてください。
フードを食べ終わっても、ペットボトルをつぶしたり口にくわえて遊んでいる犬ちゃんもよくみかけます。
活用の方法としては、人が何かの作業で犬がイタズラをしそうになることが予測されるときや、
人が仕事をしていて犬に十分に構えないときにも使用できます。
また、なんらかの理由でドッグフードの遊び食べが出てしまう場合にも、このトリートボールで与えると食べることもあります。
ただし、トリートボールには依存性が高まるという欠点もあります。
長時間にわたる依存性は、執着行動といってストレス性行動のひとつですから見逃せません。
なかなかフードが出てくない場合でも10分程度で切り上げてください。
また、トリートボールを与えなくても犬が行動に満足を得られるような生活上の工夫や提案を、併行して考えましょう。
犬という能力の高い動物にとって、トリートボールからオヤツを取り出しながら食べるという作業はあまりにも単純なことだと思います。
それでも他にする事がない場合には、こうした道具に夢中になってしまいます。
トリートボールは対処法的な遊び道具ですが、成長の過程では上手にお付き合いしていきましょう。
そしていつかトリートボールのいらない豊かな生活が犬に生まれることを願っています。