グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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犬と触れ合うコミュニケーションを学ぶ:ドッグ・タッチクラスで触れあいの対話をしよう

 一昨日のブログの老犬介護クラスのご紹介でドッグ・ヒーリングについて触れさせていただきました。今回は犬と触れ合うコミュニケーションを飼い主さん自身に身に付けていただくためのクラス「ドッグ・タッチクラス」の体験をご紹介します。


●犬と触れあいのコミュニケーションを深めるドッグ・タッチ

 3才のころにトレーニングクラスでご縁のあった犬くんの飼い主さんからご連絡を受けました。やんちゃだった犬くんが老犬になって自宅でお世話をしているためお世話について相談したいということで伺いました。カウンセリングを通して今の状態やできることをいっしょに考えたりご提案させていただきました。その中で、飼い主さんが今できることをひとつでもステップアップさせたいというお気持ちが高いことも受け取りました。その飼い主さんのご希望でドッグ・タッチクラスを受講されることになったのです。

 ドッグ・タッチクラスの目的は「犬とより深い『触れあいのコミュニケーション力』を身につける」ことです。犬との暮らしで飼い主が犬から学ぶことは、犬の年齢や成長に応じて様々です。子犬のころのトイレのしつけや人との関係性を学ぶ社会的な経験学習、安定した散歩ができるよう練習したり、犬ができるだけストレスを低くして生活していくことができるよう環境を安定させる学習、犬が自然との距離感を縮めて犬としての時間が過ごせるようになるための自然学習など、飼い主が犬に教えていると思っている時間を使って、実は犬からたくさんのことを学びます。つまり、犬と共に学ぶことは山のようにあるのです。

 それら全ての犬との学びを通して、犬の気持ちや状態を理解する犬と対話する力を身に付けていくことがグッドボーイハートのすべてのクラスの目的です。犬を犬として理解すること、理解を基盤により良い関係を身につけていくことです。犬の成長のどの段階でも犬から学ぶことはとても多く、どんなときにもこうした学びの機会を与えてくれる犬という存在に頭の下がる思いです。

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●ドッグ・タッチクラスが老犬に対して役立つのは何故か?

 ドッグ・タッチクラスはその理解を基盤にした対話の最も深いコミュニケーションです。コミュニケーションを受け取るときは、多くは犬の行動を通して相手を理解することができます。犬語セミナーは犬の行動に対して集中的に焦点を当てたセミナーです。犬の行動学を理解することは犬への理解に直接的につながります。

 これが、老犬になると少し難しくなります。老犬の一つ目の理由は犬のコミュニケーション力が低下してくるからです。犬にも認知症があります。また犬が伝えたいことや犬の要求が成犬のころと違いより深いものに変わっていくという問題もあります。

 もちろん老犬にも行動がありますので、ある程度行動で理解することができます。介護のお世話のときにお伝えすることもたくさんあります。ただ、老犬と対話することを通して犬が落ち着く時間を持つことは行動の理解だけでは上手くいかないのです。その溝を埋めてくれるのが、触れあうというコミュニケーションなのです。

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● 「ふれあう」と「さわる」は違うことを理解しよう

 最近では「触れあい教室」や「触れあいの場」と称して犬や猫などの動物を触る場を提供される教育やイベントがあります。触れあいとはただ触ることではありません。文字での説明では誤解を受ける恐れもありますが、ここでははっきりと意見いたします。「触れあい(ふれあい)」と「触る(さわる)」は違うのです。「触れあい」とはお互い様の関係、「触る」のは一方的な関係です。

 「触れあい」は人と犬のお互い様の関係にたったコミュニケーションなので「対話」と言い換えることができます。こちらが呼びかけて相手が応える、もしくは相手の話に耳を傾けてこちらがそれに応じるという対話です。対話は動物を落ち着かせます。人は社会的な動物です。対話を通して落ち着きを得られるのは人と人の関係でも同じことです。お互いに分かり合えない事があることを前提に、分かり合おうとする姿勢を持つことが対話です。

 これにたいして「触る」は一方的です。相手がどのような状態であっても、こちらが手を出す触るはペットの語源でもあります。人が触る目的のためにフワフワの毛に作られた人為的な繁殖をされた犬たちも、人に一方的に触られることで幸せを得ることはできません。触って人が満足を得ようとすると、犬はストレス状態となり、人に多くのことを要求したり、防衛したり、攻撃的になったりします。


●ドッグ・タッチって誰でもできるようになるの?

 ドッグ・タッチは技術を身につけるクラスではありません。実際にはトレーニングクラスもテクニックを身につけるためのクラスではありません。関係性を作るためにテクニックを用いる必要があるでしょうか。人と犬の関係は、向き合いの姿勢、そして生き方であると思います。

 ドッグ・タッチクラスは「触れ合う」という姿勢や意識について学びます。クラスを通して犬に「触れる(ふれる)」コミュニケーションを持つ宿題も出ます。楽しんで今までと違うコミュニケーションを身につけていただきたいと思います。

 ドッグ・タッチクラスを受講中の飼い主さんに自宅でやってみた感想をいただきました。
「落ち着いて幸せな時間が持てた。夜寝る前に長い時間吠えていたけど、それが少なくなって落ち着いて寝てくれるようになった。以前よりも熟睡しているみたい。」という変化が見られているということです。

 ドッグ・タッチクラスは効果や結果を求めると欲深くなってしまい、なかなかうまくいきません。よく深い気持ちで犬に触れても、犬は辛い思いをするばかりです。こうあってほしい、こうなってほしいという思いは、時折自然な流れを阻害してしまうこともあります。謙虚で淡々とした姿勢こそ、ドッグ・タッチにはふさわしいものです。

 写真を提供してくれたミックスのみかんちゃん。今日で17歳の誕生日を迎えたそうです。おめでとうございます。一日一日が大切だったはずだけど、また今日一日で新しい関係が作られます。

 保護犬の中には年齢の分からない犬もいるでしょう。保護犬飼い主の特権ですから、好きなように宣言してください。犬たちは年齢は気にしていません。ただ、飼い主が健やかでいてくれることを望んでいるでしょう。

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老犬のための介護とドッグヒーリング:老犬との暮らしでできることを考える

 ご相談を受けるカウンセリングクラスの中には、老犬の介護の方法やアドバイスが欲しいというものがあります。犬をはじめて飼った方は、老犬のお世話に戸惑うことでしょう。動物医療の発達や食べ物や生活の快適性や活動量が減ったことなど、人と同じ理由で犬の寿命も少し延びていることは飼い主にとってはうれしいことですが、犬の老化や介護で動物にかかる負担も大きなものなので、できるだけ安心して過ごせるようにと飼い主さんといっしょに考えながら提案をさせていただきます。

 介護のやり方やアドバイスのために家庭訪問させていただく中に、ドッグヒーリングも一緒にお願いしますというご要望もあります。逆のパターンもあります。つまりドッグヒーリングを依頼されて介護のやり方やアドバイスにお答えするというクラスです。どちらも同じ内容になります。こちらからの押し付けではなく、飼い主さんのご希望の過程に沿いたいという形で最初の経過が違うというだけで受講料はどちらも同じです。今日はドッグヒーリングクラスについて少しご紹介します。

● ドッグヒーリングってそもそも何?

 ヒーリングという英語を日本語に訳すと「癒し」となります。犬と暮らしている人の中には、「犬に癒される」ということを言われる方も多いですね。「癒し」とという言葉自体はここ10年くらいでよく聞かれるようになった言葉ではないでしょうか。

 ところが「癒し」という世界は感覚的な世界なので説明するのも難しいのです。しかもヒーリング(癒し)というのは、あくまで人の世界で気づいてきた人の文化です。ただその文化はとても古く長い時間をかけて作られて、そして長く大切にされてきたため今こうしてここに体感することができるという事もできます。

 ヒーリングや癒しという言葉は時代の流行にもまれたり、サービスの形を表現する言葉として広がりはじめ、リラックスすることだと勘違いされているようなこともあります。確かにリラックスして安心できることは、癒しを体感したときに感じるひとつのことでもありますが、癒しの感覚はもっと深いものであると感じています。

 「癒し」とか「ヒーリング」という言葉をネットで検索して頭で理解しようとせずに、癒しとは難だろうと考えながらも、経験したり、感覚を磨いたりしていくことで一歩ずつ近づいていきます。犬として生きている犬は、癒しを知る道のガイドとしての存在になってくれます。
 

● 老犬のためのドッグヒーリングとは

 今回ドッグ・ヒーリングクラスをさせていただいたのは老犬となり家族にお世話を受けながらゆったりとした毎日を過ごしている犬くんです。数ヶ月の若いころにお世話をさせていただいたご縁です。あの小さなやんちゃ坊主がりっぱなに成長した後に人のお世話を必要とする年齢となって過ごしていることは、とても感慨深いものがあります。

 犬と人の中に流れている月日の速さの違いは、どうやっても埋めることができません。そしてそれを頭で理解することはできても、同じ時間の流れを共有することはできません。人が1日を終えるころに犬の方も1日を終えるのですが、その時間が私達人の時間にすると7日となると換算したとしても、なかなか理解することはできません。受け止めるべきことは今目の前にいるこの犬がその犬の年齢では老年期といわれる年齢に達していて、老化を受け入れつつ不自由さを少しずつ受け入れつつ、今日の一日を過ごしているということだけなのです。そのときについ思ってしまう「いつまでいっしょにいられるだろうか」「また少し老いたような気がする」といった不安や寂しさは犬には必要のないものです。

 とはいえ、そうした気持ちになるのはとても自然なことです。悲しさや寂しさが犬といるときに芽生えてしまうのも仕方のないことです。ですが同時にもっと強い飼い主の思いもあります。それは、今こうして犬といっしょにいることができるこの時間と空間を犬にとって心地良く安らかに過ごせるように協力したいという思いです。

 老犬の介護のアドバイスや老犬のドッグ・ヒーリングをさせていただくときには、飼い主さんのこの気持ちを中心にしています。その上で、ドッグインストラクターとして、またドッグヒーラーとして現実的にお手伝いできることをさせていただきます。どちらの職業名も自分にとってはどうでもいいものですが、業としてさせていただく限りにおいてはなんらかの名称が必要であるために使っているものです。犬がどのような状態であっても、自分は飼い主さんのサポーターであることに代わりはありません。

 ドッグ・ヒーリングですが、具体的には手を当てるタッチヒーリングという形で行っています。手を当てながら犬の必要としているところに応じるように手当てを続けていきます。ただ手を当てているだけなのですが、ときどき不思議なこともおきます。また、動物の治癒反応が引き出されるために、ヒーリングを受けたあとにもいろいろと反応のあることもあります。どれも必要があって起きていることで、魔法のように突然起きたわけではありません。ドッグ・ヒーリングを通して犬とより近いコミュニケーションを得る時間となります。受け取ったことは全て飼い主さんにお伝えしています。くり返しますがドッグ・ヒーリングは魔術ではなくとても現実的なことを大切とした癒しの世界のことなのです。

 なかなか文字ではお伝えすることが難しいので、飼い主さんにもヒーリングを受けていただくことができるようクラスを設けています。お試しクラスもありますので、興味本位であっても体験してみたい方はお気軽に受けてみてください。劇的なことは何も起きませんし、全く感覚のないという方もいます。ですが、受け取り手によっては何かを受け取られることもあるのです。


● 長生きは犬の幸せなのか

 犬や猫は人に飼われるようになって長生きになってきました。動物園の動物が明らかに野生動物よりも長く生存できるという理由と同じです。人が食事や生活を管理し病気を管理することで、生きる長さは長くなったという事実があるのです。人も生活の変化で寿命が延びるようです。人生50年と歌われた時代から考えると、日本人は人生85年というくらいはあるでしょうか。だからといって人生50年の時代よりも生き生きと幸せに生きているかというと以外にそうでもないと感じます。

 先に述べたとおり、犬と人は生きている時間の流れる速さが違います。だからつい欲張っていつまでも長く生きてほしいと思ってしまいます。人という動物ですからちょっとくらい欲の出てしまうことは仕方のないことだと思います。ですが欲張りが過ぎてそのことばかりに夢中になってしまうと、本当に大切なものが見えなくなることもあります。老犬になってから医療行為が過剰になる人でいう延命という作業も、やりすぎれば犬に負担をかけます。

 今、老犬と暮らしている方ならそれはとてもラッキーなことです。老犬のお世話をできるくらい犬が長生きしてくれいていることは動物としてはすごいことなのです。なぜなら、まだいっしょに過ごせる時間が1分以上はあるし、今日、明日、明後日と犬に話しかける時間もあるかもしれません。身体的な変化や認知的な変化など、犬の老いの変化はそれぞれです。どの変化もこれまで犬が歩いてきた中で選択してきたことなので、それぞれに尊重してサポートしたいものです。


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犬語セミナーで学ぶ犬の社会性:犬のパーソナルスペースは距離感から生まれる

 週末に七山校で犬語セミナーを開催しました。単純なビデオセッションながら毎回どのような学びがあるかわからないビックリ箱のようなセミナーです。


● 犬語セミナーの学びのひとつ、犬の評価とは

 犬語セミナーは初心者クラスでは犬の行動を観察して読み取りができるようになることからはじめます。参加しているうちによく見ることができるようになると、その行動を分析していきます。それができるようになると今度は犬の性質や状態の評価にうつっていきます。

 一番難しいのが「犬の評価」のところですが、今回は上級者ががっちりを参加されたので遠慮なく質問のレベルを上げて犬の評価について考えるセミナーとしました。犬語セミナーを少人数制のセミナーにしている理由は、参加者の理解の段階を把握することで質問や説明の内容を変えて、ステップアップするプライベートクラスの延長ととらえているからです。

 数十人が集まるセミナーの講師をさせていただくこともありますが、どうしても表面的なことになってしまいます。深く伝えようとすると多くが理解できないままに終わってしまい欲張って未消化セミナーになってしまった反省もあります。おひとりおひとりの理解度を把握するにはやはり直接質問して答えていただくしかないというのが今のクラスの形式につながっています。

 犬の評価についてですが、ここでいう評価とは競技会やテストでの合否とは全く違います。どれが正しくてどれが間違っているというものでもありません。また誰かと競って順位を争うものでもありません。犬はそんなことに関心はありませんが人は競うことに快感を覚える動物かもしれません。

 犬の性質はさまざまです。そのどれもが個性であり、性質に正否はありません。その犬の性質をある程度理解しておくことは、犬の必要性を理解して接し方や環境整備を行う上で必要な情報です。犬の人為的に繁殖をくり返した結果、犬は非常にバラエティにとんだサイズや形に変化していきました。その中で犬に起きている犬の負担についてもきちんと知る必要があります。

 犬の行動評価の中には犬の発達と成長の段階の評価というものもあります。実はこれが一番大切な大切な評価です。飼い主さんがもっとも影響を与えるところであり、飼い主次第でいくらでも発達と成長の速度や内容を変化させていくことができるからです。その成長と発達の中でも重要事項の中にひとつに入る「パーソナルスペースの獲得」が今回のセミナーの焦点でした。


● 犬語セミナでの今回の学びは犬と犬の行動が作る距離感とパーソナルスペース

 グッドボーイハートの生徒さんなら上記の小見出しを見たらまず「えー、私も受講したかった」と思われるのではないでしょうか。犬がどのようなステップでパーソナルスペースを獲得しているのか、犬がパーソナルスペースをつくっていない状態をどのような行動で表現しているのかなど、犬のパーソナルスペースの発達に関する行動は、日々の生活の中でいつも見ることができるからです。

 パーソナルスペースという言葉は、分離不安と同様に人の心理学で使用されている言葉ですが、わかりやすいのでこの言葉を使用しています。動物にとってのパーソナルスペースの重要性についてはいうまでもありません。自分の最も小さな領域ということで、言い換えればもっとも小さなテリトリーということもできます。この領域を守るのは自分を守ることであり、また他者との安定した関係性をつくる基盤にもなります。言い換えれば、パーソナルスペースが獲得できていない犬は、他者に対して依存的になるかもしくは過剰に防衛してしまうのです。

 たとえば、分離不安傾向のある行動がでている犬は、当然のことながら安定したパーソナルスペースを獲得できていません。獲得するというのは成長と発達の中で形成できていないということです。つまり、パーソナルスペースの形成は成長と発達の過程で最重要事項なのです。

 このパーソナルスペースですが、分離不安の例でもわかるように距離感がはかれるかどうかという風に見ていくとわかりやすいのです。犬語セミナーのビデオでは犬と犬の距離感がどのようにとられているのかを見ながら、その犬のパーソナルスペースの形成について学びました。

● 犬のパーソナルスペースが形成されていないのはなぜか

 パーソナルスペースは1才半ころから安定をみせるようになります。もしそのパーソナルスペースが形成されていない状態であれば、うちの犬はなぜそうなったのだろうと思いにふけってしまうかもしれません。それにはたくさんの理由がありますが、一番影響を与えたのは幼少期もしくは現在犬に接している人の接し方にあります。

 接し方といっても普段から犬に接するのをすべて接し方といって漠然すぎるかもしれません。どんなことも接し方です。たとえば、犬を自分の体の上に乗せて寝ている、犬を抱っこする習慣がある、犬を抱きしめたりはぐしたりするのが好き、犬の頭に手を当てて撫でているなど、どの例も犬のパーソナルスペースを侵す方法であり、パーソナルスペースの形成を阻害しています。

 犬が寝ていると犬の近くに寝たり犬の体に触れて寝ようとする人もいます。犬にパーソナルスペースの形成がなされていれば、犬は自分から距離をとって別の場所に寝ようとします。ところが犬も同じように人にべったりとひっついて寝てしまようであれば、犬はパーソナルスペースの形成不全とみなされます。同じく人もパーソナルスペースの形成が不安定というお知らせですので、犬を触る以外の方法で安定をはかれるようにいろいろと工夫をしてみてください。たとえそれが抱き枕であっても、犬に抱きついて寝るよりはよいかと思います。犬の成長を阻害すれば犬は不安定な状態を強いられるからです。

●他のパーソナルスペースについての過去のブログはこちらからご覧ください。

・犬のパーソナルスペース

・犬のパーソナルスペース<つづき>

・犬との正しいあいさつを知っていますか?

犬と犬をオンリードで会わせてはいけない理由

・ゴールデンリトリバーによる子供の死亡事故について:もっと深く考えることで見えてくる犬の姿

・ゴールデンリトリバーによる子供の死亡事故について:もっと深く考えることで見えてくる犬の姿2


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犬とのトレッキングクラスで学ぶ:犬の行動の落ち着きとストレスの区別

 梅雨らしく雨が降らないのも困りますが、週末の犬といっしょの山歩きクラスができたのはありがたいことです。トレッキングクラスのあとは犬語セミナーを開催しました。常連だけのセミナーとなり内容もとても濃いものとなりましたのでほんの少しだけ紹介します。


●犬語セミナー前の山歩きクラスの様子

 植林から10年たって森が急に変化しはじめました。ずっと目的をもって続けていくと何かが途中で急に変化しはじめるのは、犬の成長と同じです。その裏の尾歩山(おぽさん)の手入れをしながら山道を一歩ずつ登っていく犬との山歩きは、一秩序を保ちつつ緩やかにときが流れていきます。好き勝手に伸び続ける木々の混乱した尾根部分の手入れを続けるとやっと風が通るようになり、風を受けてじっと立っている犬の姿を見ているとなんとなくほっとしてしまいます。

 犬との山歩きを山遊びを間違えてしまわれることもありますが、犬が山を歩くときはとてもゆっくりとしています。途中で森の手入れのために立ち止まっても、犬たちも同じように立ち止まっています。休みをとる犬は伏せていることもあるし、作業を見守る犬もいます。倒れた竹が壁となってしまうのでこれらを取り去るためにガサガサをする作業中には、自分の安全をキープしようと構えをとる犬もいます。

 いずれにしても犬はみな協力的でわたしたちの作業を邪魔しようとはしません。犬の行動をずっと観察していると、人の山の手入れによってより環境が安定することを少しの変化で読み取ってくれているように感じたこともあります。もちろん犬により様々ですが、結局犬は人の行動をよく観察するのだなというのをいつもながらに痛感します。山といっても里のすぐ上の山です。

 人はずっと山を利用して生きてきました。食べ物に限らず生活道具にしてもそうです。家だって木と土でできています。人が利用すると山は荒れていきます。だからずっと手を入れ続ける必要があります。そうされていない場所は環境が乱れて混沌としています。尾歩山からはその無残な姿が見える場所もありますが、少しずつですができるところから手入れを続けていこうと思います。そしてその場に犬が共にいてくれることが、本当に心強く感じられるのです。


● どの犬も山ではゆっくりと歩くことができるのか?

 犬のストレスが蓄積されているときには、行動や穏やかではありません。犬はストレスを発散する行動をしてしまいます。山に入ると土や森のにおいに興奮してしまい、走り回ったりリードをひっぱったり飛びあがったり落ちているものを次々に口の中にいれてしまったりします。こうしたストレス行動が出てしまうのは、今の環境があまりにも犬にとって厳しいというお知らせです。ところが山で走り出すのは危険です。木々で目をついたり転んだりすることもあります。もしくは、他の野生動物や昆虫など危険な生き物の攻撃性を引き出してしまい、大ケガをすることもあります。
 
 犬に自由行動の時間を与えるとこうした興奮行動が予測されるため、ドッグランなどの遊び場では障害となるような椅子はテーブルは敷地の脇の方においてあります。ドッグランという名前のとおり、その柵の中で犬のリードを放したら、犬は走り回ってしまいます。そのため、事前に犬にとって危険なものを取り去っておく必要がありです。その運動場のように整備された平坦な地面の上を犬は走り回っているということです。しかし、そもそも犬が円形に走り回ること自体がストレス行動であるのに、そのストレス行動をさせるためにわざわざドッグランに連れて行くのも不思議なことです。

 犬との都会暮らしの経験のあるわたしも月に数回でしたが犬を山に連れてくると最初は興奮を抑えておくことが大変なことでした。長くそこに過ごしているとやっと落ち着きを取り戻して今からというときに帰宅の時間となり、犬にはさらにストレスを与えていたと申し訳なく思っています。いつも犬と過ごす場所で他人や他の犬と出会わないようにと、場所選びにも難航しました。七山校に移った理由のひとつには、生徒さんたちが安心して山での時間を過ごせる場所が欲しいということでした。


● 犬の行動が走り回り行動から落ち着き行動に変化していくために必要なこととは

 日帰りであってもくり返し山歩きを続けていくと、山での過ごし方は変わってきます。歩く速度は飼い主の影響を受けやすいため、飼い主側で安定した速度をキープしてあげるといいのです。頂上や特定の場所に到達することを意識しすぎるとどうしても早歩きになってしまいます。作業をしながらのぼっているのは、その場その場で立ち止まることを犬にわかりやすく伝えるためです。作業をするためにしっかりと地面に足をつけて立つ必要もあり、人が安定して立っていることを犬に伝えることにもなります。

 犬の安心は安定から得られています。その安定に影響を与えているのが人の安定度です。落ち着きといえばもっとわかりやすいでしょうか。どのような時に落ち着いていますか?という答えに対して多いのは、落ち着いている人のそばにいるときというものです。落ち着きは影響を与えやすいのは、時には利点となり時には欠点となります。飼い主が落ち着きを失うと犬も落ち着いてしまうという欠点です。良い方向に影響すれば、飼い主が落ち着けば犬も落ち着きを学び始めます。

 学習というと何かの号令を出してそれに従うことだけと思われがちですが、そういうことでもありません。落ち着く行動をくり返すとそれが気持ちの習慣になり次第に身に付いていきます。犬も同じように、落ち着いた行動をくり返していくと次第に落ち着いた行動をするようになります。それが集団になるとますます影響力が強くなるから不思議です。単位が2から3になるだけでかなり変化してしまうのです。力の法則なのですが本当に不思議だなと感じています。

 話を元に戻します。犬との山歩きで学ぶことはいつもの生活と同じです。ストレス行動はできるだけ管理しながら減らしていくこと、そして落ち着き行動は管理をゆるめながら増やしていくことです。単純なようですが料理と一緒でさじ加減が難しいのですね。もちろんインストラクターであるわたしが指導しています。今は管理のとき、今は少し様子をみるなど少しずつ覚えていただければそのさじ加減も身に付いていきます。犬が落ち着いて山を歩く姿をぜひ見てそして感じてください。ゆっくりした時間が犬の中に流れていることを知ってください。

 次回は、午後のクラス「犬語セミナーでの学び」をご紹介します。

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はじめての犬のお泊り体験②:犬が経験から学ぶ自然学習など

 はじめてのお泊り体験をした犬くんのお預かり時の学びをあげながら、犬の経験の中にぜひいれていただきだい自然学習についても触れさせていただきます。


● グッドボーイハートのお預かりクラスで欠かせない体験とは

 一昨日のブログでご紹介したとおりグッドボーイハートでの犬のお預かり場所は七山校になります。七山校に起こしいただいた方はご存知のとおり、西は唐津方面から北東は三瀬方面からどんどんと山の中に入っていきこんなに奥なのかというところにあるのが七山校です。庭はすり鉢上になっていて、庭の一部はほとんど山の斜面のようなものです。10歩進めばそこは坂という感じなので草履で駆け出すわけにもいきません。

 この地形で学べることまずは広いということでしょうか。周囲の人工的な車の臭いのする都心まで車では20分ほどかかります。犬がどの程度の広さを把握するのか実際に知ることはできませんが、野良犬や野犬のような行動力を残す犬であれば数キロ先までの環境をある程度把握することができるのではないかと思います。たとえば人間がある野原や山の斜面から肉眼で見渡して「あああそこに里があるな、家があるな、道路があるな」と思えるようなところまでは十分に把握できると感じるのです。すべての犬ではありませんが過去にわずかな犬の行動を観察しているうちに、犬の一定の環境把握の力は自分たちと変わらないのではないかと感じるようになったのです。

 この七山校は周囲にある人工的な建物は家だけで車の交通量も少なく道路を野生動物が横断することもよくあることです。ここにいればかなり人工物が遠いと感じるのは人だけではないでしょう。お預かりをするうちにわかってきたことですが、特に犬が2才未満のときにはこの環境になじむにはあまり時間がかからないようです。
 犬は1才近くまで脳内のシナプスが伸び続けています。一部には生後4ヶ月でその8割が成長を終えるというデータもあるようですがその成長が1才前後まで続いていくことを否定することもできません。この脳内のシナプスですが、一定の刺激を受けることでその刺激に対応するように電気信号を送るシナプスが伸びていきます。特に重要な情報を受け取るとその伸びはぐんとあるようです。犬にとって重要な情報というのは、犬が本来生きていく環境の中で獲得できるものです。その本来生きていく環境というのが「山」という環境です。

 人工的に繁殖をしてきた犬の姿からすると、犬が自然の中や土の上や草の中にいることに「なんか似合わないね。」という感想をもたれる方もいるでしょう。そうですね。犬は室内のインテリアにマッチするように姿かたちを変えられてきましたので、自然の中に存在する純血種は自然の一部としてはあまりしっくりと来ないかもしれません。しかしそうであっても、犬の外側は変わっても犬の内側はそう簡単には変わらないのです。不自然な体型でも山を歩いて上ろうとする姿、臭いを一生懸命にとって探索をしようとする姿、草を食んだり土を口にいれてみたりして自然から得られる恵を捜している姿など、どの姿も自然とのつながりを模索しているように感じます。


● 自然体験がなぜ特別な体験学習なのか

 自然環境に滞在する自然学習がなぜ犬にとって貴重な体験学習なのでしょうか。実は自然体験は犬にとってだけでなく人の子供にとっても同じように貴重な体験なのです。様々な子供時代に体験させたいことの中に、自然と共に過ごすことという経験があることを子供を育てた経験のある方なら記憶にあることでしょう。山村学校体験、キャンプ、ロッジでの宿泊学習など、危険性が高いことがあって遠ざけられている傾向が強いこうした子供時代の体験が幼い脳に影響を与えるのはなぜでしょうか。

 子供時代の自然学習について提唱している様々な学者の中でも特に有名なのが海洋生物学者のレイチェ・ルカーソンです。レイチェル・カーソンのセンスオブワンダーという本の中で描かれているのは子供の素直な自然の世界に反応する力です。まさに「センスオブワンダー=神秘さや不思議さに目をみはる感性」を大切にすることが人生をいかに豊かにしてくれるのかということを伝えているようです。人は大人になると共にある知識や情報を得る代わりにあるものを失います。脳は何が必要で何が必要でないかを選択していく大人の脳に成長します。自然を感じる力よりも計算が得意なことを良しとするかもしれません。

 犬は人とは違います。犬は動物として人よりももっと自然に近い動物です。そのため自然を感じる力を育てることが犬の生きる力となり、自然を感じる力を育てる機会がないことは犬が犬から遠ざかっていく時間となります。
 科学的にいうと犬の中にある原始的な脳の情報は、自然環境にある刺激を受け取ってその情報から得られる次の情報へと発展していきます。不思議なようで当たり前のことですが、環境がないと学習は進まないのです。育成と教育は異なるという意味で育成という学習は環境なしで考えることができません。自然学習は原始脳を発達させます。その中には環境を把握する力、危険を回避する力、体調を整える力など、犬が言葉では伝承できないかわりに遺伝子という情報ツールをつたって代々受け継いできた犬のお家芸的なものが含まれています。
 
 しかしこの遺伝子情報は生きているうちに犬がそれを体験しないと次にうまく受け継がれません。どんなに情報を持っていてもその遺伝子情報を必要な環境によって引き出されないと生きている上で大切な情報とはみなされないまま、つまり引き出しに鍵をかけたまま生涯しまっておいたということなので、不要なものとして処理をされてしまうのです。


● 犬の自然学習は無理に進めない、だけど決して諦めない

 犬が自然を知ってしまうのを恐れている方もいるかもしれません。あなたは都会の犬なの、何も知らなくていいの見なくていいの、何も嗅がなくていいのと犬にいいたくなることもあるかもしれません。というのは犬が自然を求めていることを知ってしまったら、犬を自然の中に連れて行かなければいけないと思うと面倒を感じられるからです。

 犬が自然を求めていると知っても、なかなか自然に近づくことができないのもわかります。多くの人々が自然は好きだけど虫は嫌い、自然は好きだけど土は汚れるからいやだ、自然は好きだけど山を歩くのはきついと感じられるようです。人間はそれだけ変わってしまったのも事実です。ここであえてそれを否定するつもりも避難するつもりもありません。それが自分たちの住まいから自然を遠ざけた人間という生き物だと思うのです。

 そして無理に自然の中に犬を連れ出さなくてもいいですよともお伝えしておきます。なぜなら人が緊張してあっちはダメ、そっちは危ないといってビクビクして犬を連れ出したら、犬はますます目の前にごちそうを提示されながら食べることを許されないというすごいストレスを与えてしまうことになります。
 
 ということでお預かりクラスのときに飼い主さんに代わって自然学習を促す機会を提供させていただいています。田舎育ちだと思われているわたしも、博多や東京の都心で成長しわずかな昭和の端っこに庭という自然に接しながら育った程度です。その自分を自然と近づけてくれたのはオポという犬の方でした。ここまでは大丈夫、ここからは慎重に、ここではじっとしているなど、様々な行動で自然との距離感を教えてくれました。今は逆に私自身が自然が遠くなった犬に対して、その距離感を伝えながら自然学習の機会を提供しているという訳です。

 お泊りの犬くんも初めての山歩きを体験しました。小さな体バランスの取れにくい体型で上れるところ上れないところを選択しながら草を食みながらすすみました。最初は段差も難しかったのにすぐにゆっくりと進むことを覚えました。興味が進みすぎて呼び戻しが難しいこともありましたがそれも勉強のひとつです。太陽の日差しを求めてひなたぼっこも続きました。いつの間にか体が冷えてしまうのですね。短い預かり時間でしたが、自然の中でその五感を通して得た情報が脳内で活性化していったことでしょう。

 有意義な体験をした後は帰宅した飼い主さんに「ごめんね」を言われることもありません。今度は飼い主さんと一緒に来れるといいね。10年間かけて育った尾歩山の森でお待ちしてます。


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レイチェルカーソンのセンスオブワンダーをもっと知りたい方はこちらのページへ

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<おすすめのアイテム>クレートトレーニンの最後はこれで「ソフトクレートを買ってください!」

 室内犬であれ外飼いの犬であれ、犬との暮らしで何かのときにどうしても必要になるのがクレートです。特に室内犬の場合にはクレートトレーニングは犬の安心と安定のためとても重要になります。クレートトレーニングは犬が安心できる場所を確保するためのトレーニングであると同時に、クレート周りを飼い主がいかに守っているのかを犬に教えるためのトレーニングでもあります。そのクレートトレーニングの最終地点で導入したいのがソフトクレートです。「ソフトクレートを買ってください!」と飼い主さんに言うときには、クレートトレーニングが最終段階に入っていますよ、というお知らせの合図です。

 犬にとっての快適なクレートを考えた上で、おすすめのアイテム「ソフトクレート」についてご紹介します。


● どんなクレートを使うのか?

 クレートトレーニングをするためにはまずクレートを購入する必要があります。最初はプラスチックでできた入り口だけが金属製になっているものを選びます。クレートが頑丈でないと犬が不安定になるからです。いろんなメーカーのものがありますが、入り口の金具が安全であることと、内側に犬が噛んでひっかけてしまうようなものがないことを確認してください。まれに床がデコボコになっていることがあります。重ねるためのデコボコなのかなとも思いますが、床がデコボコでは犬は落ち着きません。床面はフラットなものにし、足元がすべりにくいように中に入れるものを工夫してください。

 サイズは子犬のときには少し大きめを購入しますが大きすぎると失敗します。大型犬でも2回くらいは買い直しをする覚悟で少しずつ体のサイズにあわせてクレートのサイズを変えていってください。なぜなら、大きすぎると犬が落ち着かなくなるからです。クレートは巣穴代わりの場所ですから、体をひっつけることができて広すぎない方が犬が落ち着いていられるのです。

 サイズとしては立ち上がっても頭が天井につかない、伏せているときに前脚先までがクレートに入る、コの字型になって寝ているときに、脚を極端に曲げなくても良い、これがサイズの選び方です。


● ソフトクレートとはどんなものなのか

 クレートトレーニングが進み犬がクレートで安定していられるようになったら最後に準備していただきたいのがソフトクレートです。素材は布とネット生地でできたもので入り口はジッパーで閉まるようになっています。
 名前はいろんな呼び名があり正式名称はありません。ソフトクレート、ネットケージ、ソフトケージ、ネットキャリーなどいくつかを検索するとそれに該当するものがでてきます。形は以下のようなものです。

ネットケイジ
 同じようなものでもメーカーによって若干耐久性が違いますが種類はそれほど多くありません。

 他のクレートやケージの利用のときと同じように、カバーが必要です。しかし、ソフトクレートの場合には中に入っているときの安定感が高いため、置く場所によってはカバーをかけずに利用することができます。たとえば寝室で寝るときや他人の入らないスペースでの利用ではクレートカバーは不要です。いろんな場所で利用できるようにするためにカバーは最初から準備しておく方がいいです。最初はカバー付で練習して、その後に場所に応じてクレートカバーを外すという感じです。


● ソフトクレートの利点とは

 犬のクレートトレーニングの進み具合に応じて、今まで使っていたハードクレートの代わりにどのようなシーンでも使えます。室内で、車の中で、移動のときにも利用できます。

1 涼しくて快適  夏の間はプラスチック製のハードクレートでは温度が高くなり犬も不快です。ソフトクレートなら涼しくて快適です。

2 軽くて楽ちん  クレートよりは軽いですし、何よりも折りたたんで移動させられるのは助かります。

3 洗えて清潔  ほとんどのソフトクレートが拭いたり洗ったりできます。清潔さもキープできるのもうれしいです。

4 緊張しない  入っているとき、入るときに頭は体が硬いものにぶつかると緊張します。ソフトクレートなら急いではいっても体を中で動かしてもあたるのはソフトな感触、寝ているときもあたっているのはネットのソフトな部分です。ときどきネット側によりかかってネットが膨らんでいることもあります。体を土に預けるような感覚で気持ちがいいのでしょうね。

5 なぜか安心できるソフトクレート  
 これは個人的な感覚ですが、実際にケージ、ハードクレート、ソフトクレートの3つに入ってみたことがあります。もちろん入り口は閉めてもらいました。入っている方はどんな感じなのだろうと思ったからです。一番落ち着いたのはソフトクレートでした。面側がネットの網でできているためか、内側からはわりと外が見えるのに、外側の人は中の犬がはっきりと見えません。その外側から見えてないという感じが犬にも伝わっているのかもしれません。だからでしょうがクレートの表越しに目が合うようなことがソフトクレートではないのです。
※実際にソフトクレートに入ってみたいという方は七山校の方にありますので申し出てください。


● ソフトクレートの購入先

早速ソフトクレートを準備しようと決意された方への参考情報です。

ネットショップの方が比較的安く購入できるようです。以下に参考ページを添付しておきます。当校とは関係のないショップなので購入者責任で選んでください。

アマゾンの購入ページ

楽天市場の購入ページ

 クレートトレーニングは今まで関心がなかったけどやってみようかなと思われた方はお問い合わせフォームからご連絡ください。


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はじめての犬のお泊り体験①:犬のお預かり先をどう選ぶのか

週末ははじめてのお泊りとなる犬くんをお預かりしていました。犬を預ける側の飼い主さんもドキドキ、犬の方も新しい経験にドキドキワクワクの時間を少しだけご紹介します。


●犬を預けるのはどういう時なのか

 犬を飼っている間に犬の生涯を通して一度も犬を人に預ける経験をしたことがないという方もいるとは思いますが、生活スタイルの変化と共にこの可能性というのが高まっているという事実は把握しておく必要があります。犬と生活する上で起きるかもしれない様々な可能性について、できるだけ犬に負担のないようにその状況を乗り切れるように準備することも飼い主の責任のひとつです。

 そのひとつが犬のお預かりです。家族の数が少なくなって誰かが常に自宅にいるという生活スタイルはすでに昔のことになりつつあります。特に都心部では年齢を経ても働く人が増えている上に趣味や付き合いなど、いろいろと忙しいというのが人の生活スタイルになりつつあるように感じるからです。

 犬をペットホテルや知人に預ける理由は状況によって様々です。その多くはビジネスでの出張、家族旅行、遠方に暮らす家族の不幸や事故など止むを得ない理由がほとんどです。中には犬は自宅に留守番させて旅行に行くのが趣味だという方もいるかもしれませんが、犬という動物の習性をある程度理解できる方なら留守番が犬に負担をかけてしまうことは事前にわかることです。犬を飼う前に趣味が旅行、出張が多い、転勤が多いという生活スタイルは、犬を飼う環境としてはあまり適切でないと判断されることを願います。

 旅行に行くときはいつも犬を一緒に連れて行くという方も増えているようですが、こちらも実際には犬に負担をかけていることが多々あります。犬という動物にとっては、新しい場所に連れて行かれることはひとつのストレスであるという認識を持つ必要があります。それが、自然環境溢れる場所であれば利点もあります。普段は都心の臭い環境の中にさらされている犬にとっては自然の空気と臭いだけで十分に満喫できるでしょうし、犬が本質的に求める環境であるからです。 
 一方であちこちをドライブしてなかなか落ち着けず人はいろんなものを見て楽しむ間に犬はバッグに入れられたり抱っこされているという状況下では、犬がどのような状態であるのかを再度考えてあげる必要があります。犬といっしょに楽しめない場に出かけるなら思い切って犬を留守番させていった方が犬にとってはずっとリラックスして過ごせるはずです。

 どちらにしても犬を人に預ける必要になったときにどこにもしくは誰に預けるのかについて、犬を飼ったらすぐに考えておきましょう。そして必要のある信頼できる犬の預かり先を確保しておきましょう。


● どこに犬を預けるのかという選択は飼い主の責任でもある

 そこで犬の預かり先を探す必要があります。もちろん犬にできるだけ負担のかからない預かり先を見つけたいものです。その選択は飼い主に委ねられていますが、選択の仕方についていくつかのアドバイスをあげてみます。

 まず犬の預かり先として最適だと思うのは、家庭環境で犬を飼っていない環境です。これは犬のテリトリーと関係性について受ける社会的なストレスを回避できるという理由です。このことが犬にとってとても重要であると同時に、重要であるだけに受けるストレスも多いということです。社会的な関係が社会生活の中で最も影響が強いのは同じ社会生活を送る人も同じですので、自分に置き換えると理解しやすいでしょう。

 犬を飼っていない家庭環境で庭のある戸建てで、犬を預かってくださる方がその犬についての行動の理解をしているというのがベストの預かり先です。もし自分が犬を預けるなら、こうした知人宅を預かり先として依頼したいと考えます。
 ただ、犬もいきなり預かり先に連れて行かれると適応するまでに時間がかかります。そのため犬を暮らしている間に定期的にその知人宅に立ち寄らせてもらいます。知人は犬についての理解を深めて犬との関係性を築く時間を得られるし、犬は環境についての理解を深めて安定した時間を過ごせるようになります。犬にとっては周囲の環境をきちんと把握できていることがその安定性を引き出す術なのです。

 逆に犬を飼っている知人宅での預かりについては注意を必要とします。普段よく会っていて仲良しだと思われている犬達も、テリトリーを共有するという時間が長くなると緊張感が高まってしまいます。元のテリトリーを持つ犬としては、遊びに来る犬が自分のテリトリーを荒らさずに帰宅してくれることで縄張りについて不安を感じずに済むのです。
 ところが宿泊となると一泊するだけで犬は食事や睡眠をその場所で得るという経験をします。この経験を通して自分のテリトリーをそこに獲得しようとします。そこが別の犬のテリトリーであれば、この犬と社会的な関係を結ぶ必要があります。それができなければマーキングをしてその犬のテリトリーを奪おうとする行動が出ることもあります。逆にテリトリーを作ることができず逃走傾向が強くなることもあります。こうした状況は犬の様々な行動から知ることができます。

 最近はちょっと違った状態も予測されます。犬の愛玩化が進みすぎ犬は特定の場所からあまり移動しなくなり室内飼いの猫のように一定の場所にいて、特定の場所に排泄をするという行動をする犬も増えているからです。狭い室内で特定の場所に滞在してペットシーツの上に排泄し、食べ物の気配を感じてウロウロし後は寝る生活なら、預かり先については別の場所がいいかもしれません。犬は環境を把握する力もなく、テリトリーを獲得する力も失い始めています。完全管理された室内だけで預かりをするペットホテル式で犬の預かり数がとても少ない場所がこうした犬には適切です。犬がこうして変化していくことについてはとても残念ですが、これも人が望んだ結果であると受け入れるしかありません。
 

● 犬のお預かりクラスを始めた理由

 わたしも犬の一飼い主であった時代があります。ひとり暮らしなので自分が事故や病気になったときにという不安は常にあり、預かり先についてはすぐに考えはじめました。
 犬の預かり先には犬のことを理解してくださる知人宅をお願いするか、いっしょに仕事をしていたスタッフに自宅に泊まりに来てもらうという選択をしていました。知人宅には共に暮らす犬たちがいたため、知人宅へ預ける場合にはその犬達への配慮を必要としました。一泊が限界かなと感じながらも別に預けられる場所もなかったためまずは自分の出張を控えるというのが先決でした。

 グッドボーイハートでお手伝いする犬のお預かりクラスは、生徒さんの犬たちに安心して過ごして欲しいという理由で始めました。オポがいる間はお預かりをすることはできませんでした。理由は先に書いたもので、犬の預かりが自分の犬に負担になるからです。

 今のところ犬を飼っていません。しばらく犬と暮らす予定もありません。それで自分にできることを考えたときに「犬の預かりクラス」の開講が決まりました。飼い主としての不安を解消して安心して犬との生活を続けてほしいという理由、そしてグッドボーイハートならではの理由も別にあります。それは、預かりの時間を通して犬のことをもっと理解できたらという思いです。普段は飼い主さんが管理する環境の中で見る犬の行動ですが、自分が管理する環境の中で犬がどのような行動をするのかと知ることで、犬の性質についての情報や様々な犬の可能性を知ることができるのではないかという欲求も盛り込まれています。

 そのため、グッドボーイハートの預かりクラスにはちょっとだけ「冒険」や「学習」の素材もプラスされています。一時的な飼い主として面度を見るのがドッグインストラクターを勤めるわたしですから、犬にとっては飼い主のように思い通りにはなりません。きっと一筋縄ではいかないことでしょう。預かり中は飼い主さんの飼い方を基本にしながら、しかし犬に自律を促す姿勢はどの犬に対しても変わりません。これも犬にとってのひとつの学習の機会になります。

 また、預かり場所は原則として七山校の方でお願いしています。飼い主さんが不在の時間に犬にはいつもできない体験や学習を促す機会としたいという目的でお預かりをしています。マンション暮らしで都会の固い公園の土しか踏んだことのない犬にとっては、フワフワで虫がたくさんいる草むらの中を歩くのは始めての体験になるでしょう。こうした体験を得られることが、都心の限られたスペースでの完全お預かりのペットホテルとは違うところです。

 今回はじめてのお泊りの犬くんはどんな体験をしたでしょうか。明日引き続きます。



dav

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老犬に安らかな毎日を提供するために:老犬のお世話とケアのための訪問クラス

 老犬と暮らす飼い主さんのご自宅に、老犬のお世話やケアについてご相談を受けてアドバイスをする、老犬のお世話とケアのためのクラスのために家庭訪問に出かけました。


●老犬のお世話は何才位からどのように始まるのか
 
 老犬といっても年齢を特定できるものではありません。犬のサイズによっても個体差がありますが、一般的には7歳くらいからが老化が始まるころ、10歳になると若い老犬という時代、13歳になると老犬の中期、15歳になると十分に老犬の後半期に入るころにあたります。

 どんな動物も年とともに老化が進みます。犬も同じように老化によって体の働き方が今までと違ってきたり、長く使いすぎた内臓や体の一部に負担がかかって養生が必要になってきます。そのため、今まではできていたことができなくなってしまったり、生活の環境やスタイルを見直す必要性がでてきたり、人の手を必要とするいわゆる介護というお手伝いが始まることがあります。

 自分の犬がお世話をする必要がある状態になるのか、いつになったらそれが始まるのかは犬によって違います。飼い主側は不安を抱えやすいものですが、まずは何か変化が見られたら早期に対応の準備を始めるか、対応について相談できるような場所や人を確保しておきましょう。

 老犬の中には初老の時期にあまり手を必要とせずに寝ている間に旅立っていく犬もいます。介護のお世話をしようと準備を始めたときに別れを迎えることもありますが、旅立ちは犬の決めた特別のことなので尊重するとともに、犬の変化に慌てるよりは、備えあれば憂いなしの心構えで取り組まれると気持ちが安定して人の方も落ち着きを得られます。


● 老犬のお世話とケアの仕方を学ぶためのクラスとは

 老犬の介護についてサポートさせていただくためのクラスには3つのクラスを準備しています。犬への手当てヒーリング=ドッグヒーリングの訪問クラス、飼い主さんがご不在や忙しい時間にお世話をする訪問介護クラス、そしてお世話の方法やケアについての質問を受けたり、生活スタイルの提案や飼い主さんができることを提案する訪問カウンセリングクラスです。今回は訪問カウンセリングクラスで定期的に訪問指導をさせていただくためにご家庭訪問をしました。

 老犬のお世話についてのご相談クラスの目的は、犬が状態に応じてできるだけ安らかに毎日を過ごしていけるように環境を整えることです。グッドボーイハートのクラスをご利用した経験のある方であればもうお分かりのとおり、犬のトレーニングのためのクラスの内容も同じことを目指しています。老犬期に入った犬にとっての必要性についてお伝えし、環境を整備するためにできることを飼い主さんと一緒に考えながら提案していきます。

 老犬のお世話については飼い主さんの生活スタイルによってできることと、できないことにかなり違いがあります。ですが、犬が一番近くにいて欲しいのは最後まで飼い主です。飼い主が年老いた犬のそばでオロオロとして不安でいる姿を感じることで犬も落ち着きをなくしてしまいます。飼い主が哀しみを抱えていると犬はそのことも受け取ってしまいます。誰でもが死という旅立ちのときを迎えるように、犬もその日をいつか迎えます。老犬のお世話はその旅立ちの日に向かっていく日々でもあるので、飼い主の気持ちが落ち着かなくなることは当然のことです。残された大切な時間を悔いのないように、お世話を通して会話していただくために、この訪問クラスでできることを提案させていただきます。

 何をやっていいのかわからないとつい言葉がけやさすったり撫でたりする時間が長くなってしまいます。「痛いの?」「どうしたの?」「どうしてほしいの?」「何をしてほしいの?」こういうことを声で話しかけすぎたり落ち着かせようとして慌ててさすったりしすぎることで犬を疲れさせてしまうこともあります。こんな会話が言葉なしにできるようになるのがドッグヒーリングです。


 ドッグヒーラーがヒーリングする訪問ドッグヒーリングクラスとは別に、ご自宅でも飼い主が自分で犬に対してヒーリングができるようになるための訪問クラスを近くに開講いたします。たくさんの方に犬に触れるコミュニケーションとつながりの時間を体感していただきたいと思います。ご案内をご希望の方はお気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。



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犬語セミナーで学ぶ『犬の気持ち』:犬はただうれしく楽しく喜ぶ動物なのか?

 週末にグッドボーイハート福岡で犬語セミナーを開催しました。定員6名くらいのセミナーに対して今回はいっぱいのご参加をいただき、いつもより賑やかなセミナーになりました。


●犬を観察することは案外大変なこと

 犬語セミナーは犬の動画を見ながら犬のコミュニケーションを読み解いていくセミナーです。犬の行動にはうそがないのできちんと読み解く力がつけば、誰でも犬の気持ちを理解することができます。作業はいつも観察することからはじめ、次に観察した行動について分析をしていきます。たとえば、逆毛を立てているという行動を観察したら、その行動がどのような犬の状態を表現しているのかを分析していくのです。

 ところが、この犬語の見方ですが最初は混乱します。まず見ることがこんなに難しいことなのかと思うのです。ビデオを参加者に見せたあとに見たことについて質問していきます。ある人が「犬の逆毛が立っていました」と発言しても、別の人は「全く見えなかった」といわれることがあります。なぜ、こんなことが起きるのかというと、見ているところが違うからです。人はみな関心のあるところを見ているのです。犬の見方を見るとその人が犬のどこに関心があるのかがわかります。

 犬語セミナーは犬の行動を読み解く勉強会なので、まずは自分の見たいところではなく、犬語としてみてほしい行動に注目していくように練習していきます。た、回数を重ねるだけで犬の行動をかなり見ることができるようになります。専門家でなくてもできるところが楽しいところです。特に、この作業が得意なのは、観察力がある人、そして犬への思い込みを断ち切れる人です。犬を見て「かわいい!」と思ったり寄っていって触りたいという傾向のある人は少し時間がかかるかもしれませんが、犬のことを本当に知りたいという気持ちがあれば、この壁を越えるのは簡単です。


●犬はいつも楽しいだけの動物なのか?

 まず、きちんと犬の行動を観察して記録できるようになったら、次にこの行動を分析していきます。分析には犬の行動学についての知識と経験が必要な上に、この分野はいまだ不安定で疑問を感じるような情報も多いため、信頼できる情報を得ながら分析の作業を進めていきます。

 例えば、犬が逆毛を立てているという行動に対して出てきた意見にはこんなものがありました。犬が緊張しているとか、興奮しているのではないか、不安な状態なのではないかというものもありました。いずれの行動も、犬の「逆毛を立てる」状態に該当する可能性が十分にあります。緊張と興奮が入り混じった状態といえることもできるのです。
 次に、そのとき同時に表現された他の行動を組合せをしていきます。同時に、その状態のレベルについても考えていきます。どの程度の時間その行動が続いたのか、その行動の後に見られた行動とはいうふうに問い続けていくことで状態のレベルが上昇するのか降下していくのかも把握することができます。

 こうした行動を観察して分析する犬語セミナーにはじめて参加する方の中には、どの映像をみても「かわいいという風にしか見えない」「喜んでいるように見える」「楽しそう」だという意見に偏りがちです。ディスカッションを重ねていくうちに、普段の犬の様子を見ていても、犬はいつも楽しそうに喜んでいるように感じてしまい、犬が不安だとか緊張しているとか、ストレスを感じているようには見えないという感想も出てきます。
 実は一部の人にとっては、これはとても正直な感想なのです。犬が好きな人は、犬はいつも楽しんでいる、犬はいつも飼い主さんが好きという見方が先行してしまう傾向が高いと感じます。なぜなら、犬がいつも楽しそうで、うれしそうにしていると見えるから自分も楽しく幸せになるからです。逆に犬が走り回っているのをストレス行動だと見るようになると、犬を見ることは辛くなります。特に飼い主は、犬の行動に最大に影響を与える存在なので、犬にストレスを与えているのが自分だと気づいてしまうと、犬を見るだけで癒されるという単純な世界は持てなくなるでしょう。


●犬の気持ちを読み解くための道具としての犬の行動学

 単純に犬のことがかわいいと思っているだけだったのに、実は犬がいろんな状態を表現していることを知ると最初は少しガッカリしてしまう飼い主さんもいます。犬を見るだけで癒される時代は終わりますが、その代わりに犬が行動を通して表現する真実を知り、その真のメッセージに対して飼い主としてできることをする、つまり、応答するというコミュニケーションを返すことができるようになります。

 これはひとつの犬との関係性の変化のときです。犬の行動学はこうして犬の気持ちを読み解く道具として利用する科学的学問であるし、学べば学ぶほど奥の深い犬という動物の深さに触れる機会にもなります。少し難解な勉強はひとりで取り組むことは大変ですが、トレーニングクラスやセミナーを通して勉強を進めると、犬を見る世界が少しずつ変わっていきます。犬を愛することは犬を理解すること、そして犬を理解する力を人は持っているということが、グッドボーイハートの希望です。


 次回の犬語セミナーは6月25日日曜日12時~14時に七山校で開催します。



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<犬のしつけ方・動画>犬にリードをつける時のしつけ:オスワリかマテで落ち着かせることの大切さ

 飼い主が犬にリードをつけるときに犬の行動もつける側の飼い主の行動も百人百様のようです。
実はこうした作業にも、犬と人の関係を見ることができます。そして、そのひとつひとつの行動を見直すことは、「犬のしつけ」もしくは「犬のトレーニング」のひとつです。


●犬にリードをつけるときの行動を観察するとわかること

 まず犬にリードをつけるときの行動をよく観察してみます。自分の犬はどんな状態でいるでしょうか。

 じっと立っている(呼吸もゆっくり)、呼ぶとゆっくり飼い主に近づきオスワリする、呼ぶとゆっくりと飼い主に近づき立ったままリードをつけることができる。このような状態であれば、犬は飼い主がリードをつけるという行動に対して落ち着いているといえます。

 逆に、興奮して落ち着かない行動をする犬もいます。興奮してジャンプをくり返す、左右にも飛ぶ、飼い主にとびつく、飼い主に前脚をかける、飼い主が首輪をつかむと(リードをつけるため)甘咬みする、飼い主が首輪をつかむと前脚をかけてくる、うろうろしておちつかない、飼い主の膝にジャンプしてくる、飼い主に抱っこされるなどが落ち着かない行動の例です。


●リードをつけるときに興奮するのがなぜいけないのか

 まずどのような状況であれ犬の興奮行動については慎重に扱ってほしいことです。犬が飛んだり跳ねたり走り回ったりする興奮行動は、見ている人によっては楽しいと感じられることがあります。人よりも動きが早く躍動力も動物的であることが人を楽しませる理由にもなっているからです。反面、過度な興奮は犬のストレス値が上昇しているというシグナル(コミュニケーション)でもあるので、それを受け取って犬が落ち着くように環境を整える必要があります。そしてその落ち着かせのための環境整備は飼い主の責任です。

 犬がリードをつけるときに興奮したり多動になる理由はいくつかあります。ひとつは犬が「リード→散歩」という連想学習をすることです。つまり、犬はリードを見せると散歩に行くことを知り興奮するということです。この犬の興奮を「うちの犬は散歩が好き」と思っている人もいます。本当にそうでしょうか。
 事実については犬の散歩行動を細かく分析すればわかります。リードを見せると興奮する犬は、社会的に緊張状態にあり散歩を連想して興奮しているか、日常的な拘束時間が長すぎるため外に出る社会的行動に興奮しているなど他にもいろいろと興奮行動の理由を考えることができます。


●リードをつけるときに犬が甘咬みしたり腹部を見せるのも問題なのか

 リードをつけるときには首輪に一定時間手を触れる必要があります。首輪に手を触れていることで短い時間であれ犬は動きがとれなくなります。犬が首輪をつけることに対して協力的であれば、犬の方が少しの時間じっとしてくれています。ところが、飼い主がリードをつけるという行為に対する抵抗や、一定時間飼い主が自分の首輪をもって動きを止めることにストレスを感じる犬は、その手を払いのけようとして甘咬みします。甘咬みといっても軽くくわえたり、咬むまねのようなものから、結構強く歯をあててくる犬もいます。こうした犬の甘咬み行動を飼い主は「遊ぼうとしている」といって放置してしまいますが、これはとても危険なことです。こうした行動のひとつひとつが飼い主と犬の関係性をあらわしているからです。飼い主に甘咬みをする犬は、それが抵抗であれ甘えであれ、いつかは衝動的に牙を当てる可能性が十分にあるからです。

 リードをつけるときに犬が腹部を見せたりひっくりかえったりしてジタンダを踏む行動もひとつの興奮行動です。こうした犬のほとんどは、甘咬みをする犬達と同じように飼い主が犬の首輪を少しの時間持ち犬が静止をしているということができません。また、飼い主の膝にのってきたり、飼い主の股下に入り込んだり、体を摺り寄せたりする犬達は、飼い主に依存的な関係を要求しています。こうした関係性は動物にとってストレス値を上げる結果となるため、数年という長い時間を経て自分を攻撃するもしくは他者を攻撃するという攻撃行動や強いおびえ行動につながる可能性も十分にあります。


●落ち着かない行動を叱っても効果はない
※動画で確認する「リードをつけるときは犬も人も落ち着くということ」

 犬が落ち着きをなくして興奮していたり、依存的な行動をしているときに叱っても効果はありません。犬にリードをつけるという行為が必要なら、それについて犬が落ち着きを取り戻せるように練習していきます。そのステップには個体差があり、飼い主さんのできるところからというになりますが、食べ物があったらオスワリするという賄賂的なフードの利用はしないでください。日常生活が問題なく送れている犬ならどの犬も食べ物をちらつかせなくても座ることはできます。
 
 以下の動画は七山校に来ていた柴犬くんに協力してもらって撮影しました。
マテの合図をしなくても動かないのですが、わかりやすいようにあえて「オスワリ」と「マテ」の号令をつけています。
舌なめずりをしていますので落ち着かせ行動が働いています。飼い主さんが近くでビデオを構えていて何かいつもと違う感じは受け取っていたようです。

犬にリードをつけるという平凡なことですが、ご自分の日常と違いがあるのか以下の動画で確認してください。

動画「リードをつけるとき」


 犬のしつけは犬と人の関係性の構築が基本です。それにはごほうびと罰が自然と伴うこともありますが、フードを使ったごほうびトレーニングには落とし穴があります。食べ物は動物にとって強い強化の道具(行動を学習させやすい道具)です。使い方を間違えると、犬のおびえや攻撃性を高める事もありますのでぜひ注意してください。


dav



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