グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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<犬のしつけ方>犬と休日の過ごし方:お庭時間を満喫しよう!

今年も大型連休が近付いてきています。

犬といっしょに旅行の計画を立てていらっしゃるご家庭も多いかもしれません。

ところが、飼い主さんたちにお尋ねしてみると「連休中は人が多いので遠出はしません。」
という方が増えてきているようです。

最近では、食事も「家食」などといわれる、外食ではなく家でご飯をいただく傾向が高まっているようです。

同じ傾向で、休みのときには渋滞で疲れてたくさんの時間を消費してしまうのを止めようということでしょう。

渋滞を避けて近場に出かけたり、自宅のお庭でゆっくりと過ごすことについては、犬も大賛成ははずです。


なぜかというと、犬にとっては移動はやはり負担になります。

自分の脚で移動するよりもずっと速く移動するわけですから、室内でじっとしているとはいえ、動物の体に一定の付加がかかるのです。

それでも犬は外出したがります。

何よりも飼い主と共にいたいという気持ちが高いことと、外出によって普段過ごしているよりもより良い環境に過ごすことができる経験をしたことがあるからでしょう。

例えば、都心に住む犬なら自然環境に連れていかれることは移動のストレスを超えてでも、やはり心地よいことなのです。

山や海には上手に出かけていただきたいと思います。

そして、それとは全く違う日常的な空間として、身近な「庭」という自然環境を活用してはどうかと思うのです。


一時期、庭よりも室内を広くとってデザインされた間取りの家が多かったようですが、最近は庭のスペースを十分にとって日常的に活用するデザインに変化していることを感じています。

ご家庭に家庭訪問でトレーニングに伺うため、ご家庭の間取りをできるだけ活用する方法も提案しています。

この訪問トレーニングの中で、家の間取りや庭の取り方などがご家庭によって違うのだなと知ることになりました。

昭和初期くらいまでは、庭は家の中の自然と位置づけられていたようで、庭には山にある様々な木々が植えられていました。

この博多区でも、自分が育った古い家の庭は木々と豊かな土でおおわれ、虫や小鳥もたくさんいたのです。


この都市空間の庭は、そのうち硬い土となり、木々は勢いをなくし、人がゆっくりとは過ごしにくい家から見るだけの空間に
変わってしまったようです。

家庭訪問トレーニングで思うことは、庭には犬を出していないとか、庭はほとんど使っていないというご家庭がとても多いことです。

整備したり手を入れればとても豊かな庭になることが予想されるような空間なのに、あーもったいないなと思ってしまいます。

お庭を整備して、人も犬も心地よく過ごせるようになると、犬たちは庭に駆け出していきます。

庭でひなたぼっこでうっとりしていたり、探索行動する犬の姿を見ると、やはり犬は自然が近い生き物なのだなとうれしくなります。

ゴールデンウィークの間に、活用されていないお庭を犬といっしょに過ごせる空間へ生き返らせてみてはいかがでしょうか?

お庭のないマンション暮らしの方は、知人が使っていない庭の整備をしながら、犬もお邪魔させていただくというのも一案です。

お休みは楽しいものです。犬との限られた時間を充実させたいですね。


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<犬のしつけ方>人によくなつき頭がよく飼いやすい犬種って?

犬を飼っている人に、なぜその犬種を選んだのか尋ねることがあります。

犬種というのは、人為的繁殖によって分類づけられた純血種といわれる犬の種類です。

みなさんがよくご存知の犬種でしたら、柴犬、プードル、ゴールデンリトリバー、チワワ、など。
こうしたものを犬種というのです。

「なぜこの犬種を選んだのですか?」という質問に、多くの人は「一目ぼれ」といわれます。

雑誌やペットショップで犬の風貌を見て、愛くるしい、可愛らしいといった理由で犬種を選ぶのです。

次に多い理由が「この犬種は、人になつきやすく飼いやすいと書いてあったから」といわれることがあります。


今はほとんどの情報をインターネットに頼っている時代です。

テレビや雑誌で見た情報を基にして、もう一度インターネットで検索してみる方も多いでしょう。

実際にネットで「犬種 飼いやすい」と検索すると、なんと検索ランキングが莫大で出てきます。

それだけ検索される方が多いため、情報提供者も増えるというです。


ところが、これらのランキングも不思議なことがたくさんです。

まず、人懐こいとか人に馴れやすいというのは、犬種の性質ではなく家庭犬としては当たり前のことです。

逆に、人になつきにくいというと野犬などの人とのかかわりの薄い犬についていわれることです。

家庭犬は長い年月を掛けて人と暮らすことになった犬です。

その中でも純血種は人為的に繁殖を続けた結果、人になつきやすいというはあまりにも当たり前のことです。

人になつきやすい、それが家庭犬なのです。

ですから、人になつきやすく飼いやすいというランキングがあることが不思議なことです。


次に、頭がいいという犬種のランキングですが、このランキングにも疑問を感じます。

頭がいいというのはそもそもどのような犬の状態を指していっているのでしょうか?

犬は人への関心が高く、特に室内犬の場合は人に対して注目する時間がとても長くなります。

飼い主の行動を予測したり、自分のゴハンや散歩の合図を覚えたりするのは犬という動物としてこれも当たり前の能力です。

逆に、頭がいいといわれている犬種の中にこそ、テレビの動画に向って吠えたり、散歩中にポスターを見てビックリするなど
認知力の発達に問題を抱えている犬がたくさんいることは見落とされているようです。

頭がいいといわれることと、落ち着いてリラックスして過ごすということは同じものではありません。

犬の学習能力は一般的に人が思っているよりもずっと高いのですが、それが安定につながっているかどうかは、
犬の行動をよくみて判断して欲しいのです。


これらの理由から、自分の飼っている犬種がかならずしも「人懐こくて頭がいい」わけではないことをわかっていただけたでしょうか?

人と暮らすグループにいる家庭犬という犬たちは、みなそれぞれに人になつきやすくて飼いやすく、そして頭がいいのです。


純血種の場合には、実際の選択はそのサイズと見た目で決められているようです。

犬のかわいい顔は幼児性が高いもしくは、イヌ科動物としていびつな構造になっており、犬に負担のあることも多いのです。

犬を知れば知るほど、犬と暮らすことは大変だと思われるかもしれませんが、

愛する犬のことを何もしらないで無知なまま共に暮らすよりは、ずっと健全で前向きな関係性をつくることになります。

引き続きこのブログでは一般的な視点とは違った面から見る提案を続けていきます。

みなさんがどう考えるのか、どう思うのか、どうして行きたいのか、
いろいろと会ってお話できればうれしい限りです。

4月22日は七山で犬語セミナーを開催します。

グッドボーイハート生でなくても参加できるセミナーです。

ご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。

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<犬のしつけ方>[動画]熊本地震で被災犬として保護され家庭犬となったアルクの知的玩具遊び

平成26年の熊本地震から2年が経ちました。

テレビやラジオで被災後の生活やご遺族の紹介もあり、災害はいつも辛さや怒り、やりきれなさが積もります。

福岡、佐賀方面でも強くゆれを感じることのできた身近な災害であったために関心も高まりました。

そのため臨時にでも何かお手伝いをしようと、熊本県で被災した犬猫のためのボランティア活動を
ほんの少しですがさせていただき、機会を通してたくさんの学びを得ることができました。

この学びの中で、ご縁をいただいたのが熊本県の保護施設から福岡での犬の譲渡会に参加し、
福岡で家庭犬として迎えられたアルクちゃんでした。

熊本県の県営の保護施設には、サイズの大きなミックス犬がたくさん収容されていました。

福岡の生活事情からすると少しサイズが大きく、都心部では引き取りが難しいと思われるような犬たちです。

アルクちゃんも福岡市のご家庭に迎えられたのですが、以前からグッドボーイハートとご縁のあった飼い主さんで、
都心といっても自然環境がまだ十分に残る庭もしっかりとある環境で適切に飼育され暮らしています。

普段の生活も落ち着き始め、いくつかの学習のテストをしてみようとアルクちゃんに与えたのが知的玩具です。

以下の動画に出てくる知的玩具はヨーロッパで作られたもので、つくりはとても単純です。

木製のフタようなものを開けると中にオヤツが入っているという仕組みになっています。

事前に特別な練習はなく与えて、アルクちゃんの反応を見ました。

短い動画ですがご覧ください。



最初に臭いを嗅いで、オヤツのある場所を特定させています。
探索行動といわれるもので、食べ物の在りかを認識している様子です。

木のカップのようなものを口で移動させています。
カップを移動させるには、口でくわえて上に持ち上げるという動作が必要です。
一定の認知力があれば犬でも簡単にできる行動です。

カップを取り去るとその下にはオヤツが乗っています。
ところが、カップを取り去ってもオヤツを食べずに次の動作に移っていきます。

オヤツを食べるためにやっていた行動のように思えるのですが、ここで覆されます。
オヤツを食べることよりも、探索して見つけるという行動に集中しているのです。

犬は食べることだけにしか関心がないと思われてしまうことがあります。

しかしそれは違うのです。

犬は食欲の塊ではありません。

犬の欲求はもっと違う構造になっており、犬の脳がどこに満足感を得られるのかも犬によって違います。

もし、アルクちゃんが食欲しかないような犬だったら、木のカップを持ち上げるような行動はすぐにはできません。

犬の認知力の発達は、ただ寝て食べるという単純な生活の中では培われてこないのです。


アルクちゃんの知的玩具遊びを見ながら、その成長と今後の可能性についても飼い主さんとお話しする機会が得られました。

犬に過剰な期待をするのは人側のエゴですが、犬が本来持っている可能性や能力を発揮する場を与えることは別のことです。



アルクちゃんの飼い主さんからいただいたコメントは過去のブログ記事にも掲載していますので、以下からご覧ください。

<受講生>怖がりの保護犬から信頼できる家族に出会ったアルクの九ヶ月

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<犬のしつけ方>犬は純血種である前に犬であることを忘れないで!

まだ4月中旬なのに、山やひと月先くらいの風景になってしまいました。

暖かな日差しを思いっきり受けて、草も葉も成長したい放題になって少しあわただしくなっています。

春という不安定な季節に体調を崩す人も犬も増えているようです。

休息から活動に入るこの時期ですから、自宅ではゆっくりと過ごし屋外ではきちんと活動するメリハリをつけていくことも、健康のために必要な時間になりそうです。

プライベートトレッキングクラスに来られる方が増え始めたので、自分も山活動時間が増えてきました。

犬との過ごし方はいろいろありますが、自分にとっては犬と共に山歩きすることが最高の時間です。

一定のルールを持ちながら広い空間と時間を使って、お互いに拘束されることなく自由でありながらかつつながっているという関係性を深めることができるような気がするからです。

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歩いている犬を見ると、結構大変なことになっていることがあります。

杉の枝や草の種が犬の毛にからまっていたりと、歩きにくそうにしています。

先日いっしょにトレッキングしたリンちゃんの脚にも、たくさんの種が絡まりついていました。

リンちゃんはシュナウザーという純血種で、色は真っ白です。

白色の毛が土色に変わり、脚の汚れが目立ちます。

毛はほとんどが飾り毛なので、種や杉の葉といった繊維にひっつきやすいものが絡まってなかなかとれなくなってしまいます。

同じように土も繊維の深くに絡まるため、泥状の汚れがふき取る程度ではきれいにはとれません。

犬は本来、山で生活するようにできています。
その骨格、筋肉、皮膚、被毛も、この山空間で安全かつ快適であるように歴史をかけて自然がつくってきた犬本来の体というのがあります。

ところが純血種の犬は違うのです。

純血種というのは100年ほど前にヨーロッパで始まった趣味の犬の世界から始まっています。

よく純血種=働く犬と思われていますが、そういうわけではありません。

使役のために繁殖された犬たちはサイズや性質を求められましたが、規定の体の大きさや耳や尾のタイプ、毛質の色や状態を純血種の規格として求めているのはドッグショーという趣味の世界です。

このドッグショーのために繁殖されている犬たちから、家庭犬としての純血種が広がってきました。

不思議なことですが、ドッグショーをよくご存じない人でも「チャンピオンの子」と書いて売り出されている子犬を見ると、なぜか特別にいいものだと思ってしまうようです。

ドッグショーの規格の中で人為的に繁殖をくり返される純血種犬の中には、山という環境で快適さを保つことができなくなった犬種もあります。

前述した飾り毛、毛の色、皮膚の弱さ、免疫力の低さ、体型、筋肉のつきにくい体など、不便を強いられることもたくさんあります。

こうした犬たちと山歩きをしたあとは、このあと脚を洗ったり毛から種を取り去るなどいろいろと大変なのです。

その大変さや犬が汚れるのがいやだという理由から、犬に山歩きをさせたくないと思われる飼い主もいるとは思います。

それでも、知っていただきたいのです。

山を探索しながらゆっくりと歩いていく犬の満足した表情や真の安定や落ち着きや欲求を満たすということについて、実際に犬を見て感じていただきたいのです。

犬が山を歩く姿を見れば、犬が人の繁殖によって変わってしまい、汚れや種などが絡まる毛質になったことを不便だと思う前に、もっと違った気持ちが生まれるのではないでしょうか。

真っ白なリンちゃんですが、お山では満足した表情で歩いています。

たくさん歩いても、まだまだ歩けるといった風でもあります。小さいのに頼もしいですね。

飼い主さんも、汚れても苦にされている様子はなく、「リン、楽しいね、良かったね」と声をかけています。

犬がどこでどのように過ごすのか、その権利を持っているのは飼い主なのです。

その小さな積み重ねが犬の一生になることを考えると、人の10分の一の時間しか持たない犬に対してできることはわずかなことしかありません。

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<犬のしつけ方・動画>サクちゃんが“持って来て”でお手伝い

犬のしつけで必要な合図とは別に、犬と遊びを楽しんだり学習を促したりするために教える合図があります。

後者の方は、特に生活に必須ということではないのですが、一定の効果をもたらしてくれることがあります。

しつけ以外に取り入れる合図の中心は、室内でやる事がない犬に負担をかけない「作業」を教えることです。

特に犬が西洋犬で作業をしてきた歴史が長く、室内での時間が多いのに暇ですることもないとなると、犬は欲求不満になってしまうからです。

ヨーロッパでは多くの純血種が生まれましたが、その一部は人の仕事を手伝うために人為的に繁殖を重ねてきた使役犬といわれる犬たちです。

使役犬は猟犬や警察犬といったイメージが強いのですが、小型犬の中にも使役犬がいます。

身近な犬種としてはテリア種です。


テリア種は、小型獣の狩りや駆除のために西洋で長く活躍してきました。

防衛力が高く作業を教えるとよく活動する犬たちです。

反面、空間が乏しく暇になると吠えが強まったりなめたり噛んだりするストレス行動が多発してしまいます。

テリア種のサクちゃんも少し時間と能力をもてあましていました。

留守番時間も長いので、留守番の前にお父さんといっしょに練習してもらうと「持って来い(テイク)」の練習を始めました。

コツを得ると短時間で上達して毎日の朝の日課になっているようです。

こちらの動画でご紹介します。




さらに別の作業も付け加えました。
「持って来い」と「探して」の二つのミックスバージョンです。




次は飼い主の父から受け取ったものを母へと持っていきます。




最初のテイクが出来るようになると、応用編は比較的簡単にできるようになります。

いろんな犬たちがテイクを覚えていましたが、ご家庭ではそれぞれに家庭内作業犬として活躍していたようです。

お父さんの靴下の片付けから始まり、お父さんのパンツをお風呂まで運んでいた犬ちゃんもいました。


サクちゃんの場合には毎朝の遊びとされているようですが、毎朝お父さんの前に座って待っているらしく、飼い主さんもこの遊びを楽しんでステップアップさせていかれているのを感じます。

犬に特別な芸を教える必要もあまりないと思いますし、家庭犬は使役犬ではありません。

単純行動のくり返しになる常同行動につながるような芸をオヤツで強化してしまうなどの間違いにも陥らないようにしなければなりません。

ただ、コミュニケーションを深める道具のひとつとして、物事を教える、覚える、理解するというその過程が楽しく、お互いにとって良い時間としていただければと思うのです。



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<犬のしつけ方>子犬の社会化:子犬のシグナルを読み違えると社会性へ悪影響が出ること

犬のしつけ方やトレーニングについて学んでいる方なら、「犬の社会化」とか「犬の社会性」という言葉をどこかで耳にしたことがあるでしょう。

また、この「犬の社会化」という学習が、子犬期に、つまり生後4ヶ月くらいまでが重要であるという情報も広まっています。

社会化という言葉をわかりやすく簡単に言うなら、環境に適切に反応するという「環境への適応性」になります。

環境に適応した状態というのは、犬が日常的に生活する環境の中で、より多くの安心を獲得していく過程ともいえます。

例えば、散歩中に他の犬にあってもリラックスしてすれ違えるとか、外から聞こえる日常的な音に対して過剰な反応をしないとか、人に反応せずにすれ違えるといった行動は、犬が環境に対して適応性を高めている「社会化している」状態です。

これに反して、散歩中に他の犬を見て興奮して吠えたりリードをひっぱったりする、他人に対して近付いていこうとしたりとびついたりする、外からの物音に対して吠えたり飛び上がったり目を見開いたりする状態は、社会化していない状態といえます。

子犬のころの社会化学習について、インターネットなどに散乱する情報は偏りがあり明らかに間違っているものがあるので注意してください。

間違った情報はたくさんありすぎて書ききれませんが、これだけはとあげるなら以下のことは再考していただきたいと思います。

それは、たくさんの人や犬に会わせたり、いろんなところに子犬を連れて行くことが社会化だといわれていることです。

これは偏りがあり間違いやすい情報なのです。

子犬期に人や犬の多い公園や騒音の多い場所に連れ出したため、生後6ヶ月を過ぎることには吠えたりリードを引っ張ったりするような興奮しやすい犬になってしまったということはよくあることです。


インターネットで検索すれば簡単に情報が入手できるようになった時代だからこそ、間違った対応で子犬の社会化学習に失敗するケースが増えてしまっているようです。

子犬の社会化学習に必要なのは、子犬が適切にテリトリーを構成していくこと、子犬が飼い主という人と社会的な関係を深めていく事、そして子犬が散歩などの家庭周辺の環境に対して安心を獲得していく過程なのです。

ところが、子犬の社会化学習には難しい部分があります。
それは、子犬のシグナルが読み取りにくいということです。

犬は早くて生後6ヶ月前後、遅ければ2才くらいまでは「吠える」「咬みつく」といった闘争行動をすることがありません。子犬はストレスを抱えている場合に多くは逃げるという行動をとろうとしますが、逃げられなければただ興奮するもしくは硬直するとい行動をします。

子犬の興奮したり、硬直したりする行動は、一般的な飼い主からみると「喜んでいる」「大人しい」と受け取られがちなので、犬の反応としては問題がないとされてしまいます。

犬が興奮したり、硬直したりするのはストレスが上昇しているシグナルであり、社会化がうまくいっていませんよというお知らせにもなっています。

子犬のシグナルを読み違えるだけで、社会化は促進されるのではなく退行してしまっていることを気づかないまま、社会化学習が継続されてしまいます。

くり返し行われる刺激に対する興奮などの行動は、回数を重ねるごとに学習を深め、ついに子犬が生後1才を迎えるころには、吠えるという行動を多発するようになってしまうのです。

社会化学習のあり方と子犬のシグナルの読み取り方で、子犬の社会性が発達していくかどうかが決まってしまいます。

子犬はコミュニケーション力が低いため、その表現方法は成犬ほど洗練されていません。

子犬のシグナルを上手に読み取っていかなければ、適応力を育てる社会化学習も成功しないのです。

ただ、犬を刺激のあるところに連れて行きさえすれば社会化すると思わせるような情報が溢れているのですが、よくよく考えるとつじつまが合わないのですから、たくさんの情報を受身になりすぎず、よく自分自身で消化してみることをおすすめします。

子犬によって個性のあるシグナルの読み取り方など、すべての飼い主さんに身につけていただきたいことなのです。

子犬の社会化を成功に導きたいなら、子犬のシグナルを読む練習からはじめてください。

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<犬のしつけ方>喉を締め付けられたように奇声を上げる犬たち

多くの人は「犬が吠える動物」であると誤解されているようです。

確かに犬は吠える動物ですが、落ち着いて過ごしているときにはほとんど声を出すことはありません。

日常生活がゆるやかに過ぎていけば、一日を通して犬の“声”を聞かない日は珍しくありません。


犬が吠えると強調されてしまうのは、犬の太くて広がる吠える声のせいかもしれません。

都心では、ストレス生活のためにめったに吠えない犬たちが頻繁に声を上げるようになり、犬の吠え声が社会問題になっていることも事実です。


ストレスが上手に解放されている犬や、過剰にストレスを抱えていない犬はめったに吠えないということを前提にして、犬の吠える声についてもう少し深く探っていきます。


犬の吠える声の質ですが、最近になって変化の傾向が著しくなっているように感じるのです。

変化というのは、犬の吠えが耳障りな甲高いものであったり、濁った音になってきているからです。


特に濁った音による犬の吠える声は耳障りで不快に感じられるものです。

先日の犬語セミナーでも動画の中で濁った音を出している犬がいました。

いわゆる「ダミ声」といわれる音ですが、つまり喉が閉まっているのに無理に大きな音を出そうとしてこのように濁った音になるというのがその声の仕組みになります。

濁った上に大きな音ですから、一般的には耳障りに感じられてしまいます。

犬が出す音=吠える音にはそれぞれに意味があります。

意味とは、犬が出す音は犬の状態を表しているということです。


犬よりも音のコミュニケーションを使う人にあてはめて考えてみましょう。

みなさんも、状況や環境に応じて声の質を変化させているはずです。

甘える声、叱る声、買い物のときに使う声など声は使い方によってその質は様々です。

さらに、声には個性がありますので、声をもつ人の性質、安定度、状態を表現する道具にもなっています。


犬も同じように、基本的な犬の性質と現在の状態に応じて出せる声の音程が決まってきます。

その上で、犬の状態や目的に応じてその音の質が決まってきます。


濁って大きな音を出して吠える犬たちの状態といえば、筋肉の緊張が高いけど強く主張しなければいけない状態なのです。

筋肉の緊張が高いという段階で、すでに犬がストレスを上昇させていることがわかります。


濁音や大きな音で注意を引き寄せようとする犬たちのメッセージを受け取る人はいないのでしょうか。

ただ犬が吠えることをうるさいと片付けてしまわないことです。

この犬が根底から必要としている環境は何なのだろうかと考える時間は、犬と豊かに暮らしていくためにはなんとしても作らなければいけない時間だと思えるかどうかでしょう。

都心に響き渡る犬たちの悲痛な奇声を聞くたびに、辛くなってしまいます。

安心して過ごしている犬は穏やかで静かな動物であるということ。

穏やかな犬と過ごしている人は穏やかであるということ。

どちらも真実ではないでしょうか。


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<犬のしつけ方>犬の散歩風景:東京の犬と福岡の犬は何が違うのか?

以前、東京から引越して来られた生徒さんからこんな話を聞きました。

「福岡に来て道を聞かれたのでビックリしたんです。
東京では他人に道を聞いたりするなど、話かけることが許されないんです。」

ということでした。

実はわたしも小学生低学年まで東京暮らしの経験があるのですが、
人に道を聞くこともできないような印象はあまり持っていませんでした。

ところが、この話は他の東京から来られる方に聞いても全く同じでした。

東京では人に話かけることが失礼な行為だというのです。

東京ならではの人付き合いと、マナーのルールだということでしょう。


この話を聞いて、東京の街中を散歩する犬たちの不思議な表情や行動に納得がいきました。

東京で見た犬の散歩風景というのは、簡潔に言えばどの犬もとても「おりこうさん」に見えるというものでした。

東京の都心の公園を散歩する犬たちは、お互いに顔を見合うこともなく、全く相手を無視して通り過ぎていきます。

そのため、犬と犬がすれ違うときに吠えたり、リードを引っ張ったりする姿を見ることも少ないのです。

犬同志が吠えあうなどほとんど見ることはありませんでした。

犬と犬が顔を合わせずにお互いに相手との距離をとって通り過ぎるように、人と人も全く関わらない意志をあらわしているようでした。


犬は散歩中に他人に話しかけられることもなく、他の犬が近付いてこられることもないため、落ち着いて歩いているように見えます。

あまり動物らしい行動とも言えないのですが、人と人の関係性と距離感が犬に影響を与えていることは間違いありません。

少なくとも、散歩中に自分のスペースを侵されないという一定の安定のもとに散歩をしているのでしょう。


この東京の犬の散歩風景は、福岡の散歩風景とは全く違うことに気づかれたでしょうか?

福岡のようなローカルな場では、散歩中の犬に話しかけるのは普通のことになっています。

「かわいいですね。」
「触ってもいいですか?」

話かけ方はそれぞれですが、犬を通して飼い主同士が関係を作っていくのも福岡では日常の風景なのです。

これは、良い部分もあるかもしれませんが、犬にはストレスを与える行動になっているという事実もあるのです。

飼い主が飼い主に話しかけるというよりは、犬の方に接触を図ろうとするからです。

犬の方をみて大きな声を出すとか、

犬に近付いて興奮させて飛びつかせるとか、

犬の頭をなでるとか、ひどい場合には犬にオヤツを与えたりもします。


これらの行動は全て犬の最小のテリトリーであるスペースを侵害する行為になります。

そのため、犬は人が近付いてくるたびに落ち着かなくなり、散歩行動自体が不安定になっていくのです。


善意で犬に話しかけたりなでたりしている人々からすると、こうした行為が犬にストレスを与えていると受け取ることは難しいかもしれません。

これを理解するには、長い犬の行動と習性についての説明を受ける必要があるからです。

こうした人の行為によって、犬は散歩中に落ち着かなくなるのです。

犬は吠えたりとびついたりリードを引っ張ったりするようになってしまいます。


もちろん、個々人によって犬に対する行動はそれぞれに違いはあるでしょう。

犬に対して反応を示さず通り過ぎていく人々もたくさんいると思います。

しかし、一部の人間でも、犬に対して積極的に手や声を使ってアプローチしようとする人々がいることを否定はできません。


結果、東京の犬の散歩風景と福岡の犬の散歩風景には違いが見られるようになってしまいました。

犬たちの都心の散歩スペースは大変小さく、その中での社会活動には無理があります。

飼い主を含む犬と犬の関係を進めたいなら、もっと身近な人と人のつながりについて考えてみてはいかがでしょうか?

散歩中に他者と関わらないというルールでいることにも窮屈さはありますが、

それが東京という都心が出した答えが、不自然であっても今の犬にとっては最適な場合もあります。

あとは個々人が犬がストレスなく楽しく飼い主との散歩ができるように考えていくしかありません。

散歩は犬にとって貴重な時間であることは言うまでもありません。

その散歩タイムをより良いものにするためにできること、考えていきましょう。


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Posted in 犬のこと

<動画:犬のしつけ方>犬の遊び道具「トリートボール」を身近なペットボトルで活用

室内に長い時間拘束されがちな犬は、暇で仕方ありません。

動物は一日をゆるりと過ごすものですが、室内という人工的空間の中に閉じ込められている犬のストレスは計り知れないものがあります。

自然環境の中で散策したり、危険を回避しながら一日をゆっくりと過ごす野生動物とは時間の使い方が違うのです。


室内ではたくさんの家庭犬たちが時間をもてあましており、そのうち家具をかじったり、自分をなめる自虐行動を始めます。

中には、不安な状態が継続しすぎて飼い主さんの存在を確認できないと、排泄の失敗をしたり家具をかじったり、食べ物を盗みとったりと様々な飼い主を呼び戻す行動を継続してしまうこともあります。


そこで、室内で多少夢中になり時間がつぶせるペット用品をある程度は活用したいものです。

そのひとつに「トリートボール」という道具があります。


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名前のとおり、オモチャの中に食べ物を入れて犬に与えるオモチャです。

オモチャを転がしたり噛んだりして、フードを取り出していくことにほとんどの犬は夢中になります。

トリートボールにはいろんな形状のものがあります。

犬の関心と噛み具合によって最適なものを選んでいただきたいのですが、最初の導入ならペットボトルで代用できます。


空のペットボトルの中にフードを少しいれて与えるだけです。

ペットボトルのカラカラといった音も含めて夢中になっています。
以下の動画ははじめてペットボトルのトリートボールで遊ぶ犬くんの様子です。

ペットボトルの中が濡れていたため、フードが出にくくなってしまったのですが、諦めずに取り組んでいます。




ペットボトルは薄い素材なので、簡単に破損してしまいます。
使用の際には飼い主さんが監視できる範囲内で行ってください。

特に中型犬以上のサイズの犬の場合には、破壊行動のスピードが速いため十分に注意して与えてください。

フードを食べ終わっても、ペットボトルをつぶしたり口にくわえて遊んでいる犬ちゃんもよくみかけます。


活用の方法としては、人が何かの作業で犬がイタズラをしそうになることが予測されるときや、

人が仕事をしていて犬に十分に構えないときにも使用できます。

また、なんらかの理由でドッグフードの遊び食べが出てしまう場合にも、このトリートボールで与えると食べることもあります。


ただし、トリートボールには依存性が高まるという欠点もあります。
長時間にわたる依存性は、執着行動といってストレス性行動のひとつですから見逃せません。

なかなかフードが出てくない場合でも10分程度で切り上げてください。

また、トリートボールを与えなくても犬が行動に満足を得られるような生活上の工夫や提案を、併行して考えましょう。


犬という能力の高い動物にとって、トリートボールからオヤツを取り出しながら食べるという作業はあまりにも単純なことだと思います。

それでも他にする事がない場合には、こうした道具に夢中になってしまいます。


トリートボールは対処法的な遊び道具ですが、成長の過程では上手にお付き合いしていきましょう。

そしていつかトリートボールのいらない豊かな生活が犬に生まれることを願っています。

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<クラスのこと>七山校で犬語セミナー開催しました。

寒暖の差が厳しい初春の日々、山は寒いので暖炉に張り付いています。

今日は春分の日、まさに分け目の日です。

分かれる境というのは良くも悪くもいろんなことが起きる可能性があります。

良いことはラッキーとして受け入れられるものの、悪いことは落ち込んでしまい受け入れに時間がかかることもあります。

犬のトレーニングや犬との関係作りや犬の成長についても、一進一退になりますから思い通りに進まないことに落ち込むこともあります。

こうしたときにこそ、分け目の力を使って上手く転機を図っていただきたいのです。

休憩するもよし、学びを深めるもよし、ただ前向きな気持ちだけキープできればまた一歩進んでいきます。


ということで、今日は七山校では学びを深める方々の「犬語セミナー」を開催しました。

犬の動画を見ながら犬の行動学を基本として犬そのものについて学ぶセミナーです。

奥の深いセミナーなので最初は難しいと感じることもあるでしょう。

そのちょっとの難しさを越えて参加を継続されると新しい視点が生まれてきます。

犬語セミナーは継続して参加していただきたいため、七山校では毎月1回、福岡では1~2ヶ月に1回を目安に開催しています。


今回の参加者のみなさんは、お互いに犬同志を対面させたことのあるお互いの理解も進んだグループでした。

犬語セミナーの内容もいつもとは異なります。

自分の犬だけでなく、他の犬に対する関心が高まるようになると犬への理解はもっと進むのです。

身近な犬には先入観や思い入れが強くなかなか見えない部分が、他の犬になると客観的に冷静に見ることができるからです。


犬という動物への理解には、客観的視点、冷静な接し方、理論的な考え方もある程度必要になることもあります。

科学的にいろいろと理解していなくても、自然に犬にストレスを与えない接し方をできる方はたくさんいます。

科学的に理解できるようになると、仕組みが分かるということなのですがより学びへの関心が深まるのです。


次回の犬語セミナーは3月29日木曜日に福岡校で開催します。
あと数名受付していますので、ご希望の方はお問い合わせフォームからご連絡ください。

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