グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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<犬の体>犬の真上に飛びあがる垂直離陸行動のすごさに感動!

犬の行動を見ていると、その体の使い方に驚かされることがよくあります。

やっぱりすごいな~と感じるのは、「俊敏さ」と「柔軟さ」でしょうか。

動きの中には、いくつもの“技”のようなものが見つけられるのですが、

その中でも、注目したいのは垂直離陸行動です。


垂直離陸というと、主に飛行機が垂直に飛び立つことをいわれます。

犬がまっすぐに上に飛びあがる行動ですが、飛びあがり方に特徴があるのです。


子供のころに垂直飛びという運動検査がありました。

まっすぐに上に飛んで何センチ飛び上がったのかを計るものですね。

できるだけ高く飛ぼうと思ったら、どうしても一旦体を下に沈ませてしまいます。

そして、勢いをつけて上に飛びあがります。


ところが犬の上手な垂直離陸の場合には、体を沈める行動をしないのです。

膝を曲げることもありません。

もともと、活動することが前提ですから犬の膝はいつも曲がっています。

そして体を全く下に沈めずに、ただ上にまっすぐに飛びあがります。


足裏は全体が一瞬で地から離れ、足裏全体が地に着地します。

古武術の先生の本を読んでいると、同じように垂直離陸という言葉がありました。

説明には「居着かない」とあります。

つまり、同じ場所に居着かずに瞬時に行動に移ることができるということです。


同じ場所に居着かないというのは、考えずに体が反射的に反応をすることです。

犬が何よりも得意とする行動ですし、跳躍力が加わることで垂直離陸の高さは犬の体高と同じ位までになります。


時代劇で忍者が垂直離陸をして、自分の身長ほどの塀の上に上がっているシーンがありますね。

特撮なのか実際にしているのかは不明ですが、まさに垂直離陸です。


この垂直離陸のとびあがりとは別に、体のバランスを崩したように飛びあがる行動があります。

それが、2本の前脚をつきだす「とびつき行動」です。

犬が前脚を上げるとびつき行動の時には、体を沈めるようにしてそれから飛びあがります。

バランスを崩していますので、人や物に対して前脚をつく感じになります。

垂直離陸の飛びが1回で終わるの対して、バランスを崩した2本脚とびつきはくり返し飛びあがります。


そこに居着かない犬の動き、居着かないというのはこだわらない、執着しないということです。

今この瞬間を生きる犬という動物の本質につながる行動でもあります。

人が最も苦手とするところで、見習いたい心のあり方でもあります。


犬の垂直離陸行動は残念ながら動画撮影できませんでしたが、いつか撮影できることがあれば掲載します。

dav

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<犬のしつけ方>人の上を平然と歩く犬、人の上に乗って寝る犬たち

ブログの記事がいろんな犬たちシリーズ化してきてしまいました。

この仕事をしている特典は、様々な犬の行動を観察したり知る機会を得られることです。

犬によって違いのある行動もありますが、犬によっては同じ行動をすることもあります。


同じ行動をしている犬がいる場合には、他にも同じ行動をするのかどうかを確認します。

行動を比較することで、よりその犬の行動の表現の目的がはっきりとしてくるからです。


今日は、人の上を平然と歩いている犬と、人の上に乗って寝る犬を紹介します。


人の上を平然と歩くというのは、人が横になって寝ているときに、
人をじゅうたんマットのように踏んづけて歩いている犬のことです。

小型犬の場合には、文字通り踏んづけて歩いていきます。

大型犬の場合には、人をまたごすようにして歩いていきます。

逆に、うちの犬は絶対に人を踏んだり、またごしたりしないという犬もいるでしょう。

あなたの犬はどちらでしょうか。


もうひとつは、人の上に乗って寝る犬です。

人が横になって寝ていると、人の体の上に乗って寝ます。

犬によっては、特定の人にしかこれをしないということもあるし
もしくは、すべての飼い主の上に乗って寝るということもあります。

これも、うちでは絶対にないという犬もいるでしょう。

小型犬の行動のようにみえるのですが、実は大型犬も人の上に乗って寝ることがあります。


これらの行動は犬のどのような状態を表現する行動なのでしょうか。

世間の多くの飼い主さんはこのように説明するでしょう。

人の上を歩いて通るなんて、人を信頼しているからだわ、とか

人の上に寝るが好きなんです、といったものですね。

その人のことが好きだから人の上に乗って寝るという説明もあるかもしれません。

こうした曖昧な見方で終わらせてしまうのはもったいないことです。

犬の行動は犬のメッセージなのですから、もっと真摯に受け取る練習をしましょう。


これらの行動は、このブログでは幾度も紹介し、みなさんの頭の中にも入っている
人側のパーソナルスペースを侵す行動であるということは明白です。

犬がしているから疑問を感じないのかもしれませんが、
同じ行動を、人が人に対して行ったとすればどうでしょうか。

悪ふざけでなければ、侮辱的な行動でもあり、イジメ的な行動でもありますね。

相手が完全に自分よりも弱い存在であるということを、
相手のスペースを侵害することをもって受け入れさせているのです。


いいえ、犬たちは悪くありません。

人に対する犬の多くの行動は、人が犬に対して行った行動の鏡なのです。

これらの行動をする犬たちは、人にスペース侵害をされた経験のある犬です。

犬に対するスペース侵害とは、人が犬に対して愛情表現として行っている行動の中にいくつも見られるのです。


平然と人の上を歩く犬、

人の上に乗って寝る犬、

これらの犬を身近に見ることがあれば、飼い主さんとの関係について
もういちど考えてみる良い機会としてみてください。

dav

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<犬のしつけ方>散歩中に排泄することができない犬たちの理由

福岡市内を中心とする場所では、犬に排泄をさせる場所についてのトラブルも多く発生します。

トラブルの理由はわりと単純です。

犬が増えていること、排泄させる場所がなくなっていることです。


犬が増えた理由は、マンションの室内飼育の増加を住宅地の建設です。

排泄させる場所がなくなっているのは、公園の縮小と道路のアスファルト化です。

これらの理由は現象として実際に起きていることです。

環境に不具合を起こせば、犬は排泄場所が不安定になり、
歩きながら排泄する、いわゆるお漏らしをしてしまうこともあります。

こうした目に見える理由だけでなく、犬側の理由もあります。


犬側の排泄場所が不安定な理由は、犬の排泄の目的なのです。

犬の排泄は、ただ生理的に用を足すというものだけではありません。

生理的な行動と共に、テリトリーを獲得するために行動を行っています。

排泄行動はテリトリーを獲得する行動と結びついているのです。

このことが、室内であれ、屋外であれ、犬の排泄の場が不安定になる第一の理由です。


ちょっとイメージしてみてください。

犬の散歩コースと同じ道を、何頭くらいの犬が歩いていると思いますか?

経路が全く重ならなくても、ポイント的に重なるとなると数十頭の犬が、

テリトリーを重ねているということも十分にありえます。


犬たちは排泄をする前に、他の犬の排泄の臭いを嗅いでいます。

この場が自分のテリトリーだと主張する犬の臭いを嗅いでいるわけです。

その社会的なグループに、入っていこうと思う犬だけが、そこに排尿をします。

グループに入るというのは、堂々と入っていくタイプと、出会ったら吠えあうという形で
関係を持ち始める犬もいます。

最近は、後者のにらみ合い、吠えあい、相手の存在を無視といった対立的な行動も多くみられます。


中にはグループ内にいることと、自分の立場を認識しつつ、堂々と歩く犬、
もしくは、頭を下げたり顔を背けたりして、弱弱しく振舞って世渡りをする犬もいます。

こうした犬はほんの少しになってきました。

犬の性格の問題だけでなく、犬の数があまりにも多く、犬たちのストレスも大変強いため、
お互いが関わるということが難しくなってきてしまったからです。

これは犬側の問題ではなく、人の作った空間によって生じてしまった難しさです。


中には、どこにも排泄することができず、かなり遠くまで歩いて行って排泄をする犬や、
外で排泄できずに、自宅までがまんしてしまう犬もいます。

室内で排泄をしてほしい飼い主からすると、犬の室内トイレは「助かる」ことなのでしょうが、
実際の犬の発達や健康を考えると、喜ばしいとは言えません。


とはいえ、アスファルトばかりの街中で排泄ができるのが公園だけとなると、
公園に犬の排泄が集中してしまいます。

「公園は犬のトイレではない」という意見も、最なものだといえます。

他人の家の前や駐車場で排泄をしてしまうことも、同じ理由で了解できません。


では、どうしたらいいのだろうかと頭を悩ませています。

人側に立って考えれば、室内やベランダや庭で排泄させて、
散歩中は排泄をさせないという意見になるでしょう。

しかし、これは犬のナチュラルな行動に反しており、
動物福祉的な視点からみても明らかにフェアではありません。

まだ最適な解決策を見出していないのですが、
工夫してやっていただいていることもあります。

もっとより良い方法がないかを考えているところですが、
人の暮らし、犬の暮らしの根本が変化していかなければ、難しい問題のようです。

あと10年もしたら、犬は室内でしか排泄しないとか、
犬は室内飼いが常識といった時代がやってくるのでしょうか。

犬という動物をそこまで変えてしまうことは許されることとは思いません。

犬の行動の不思議さは、環境の不安定さでもあります。

よく観察して、よく考えていきましょう。

dav

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<犬のしつけ方>犬にアロマは大丈夫なの?を考える

昨日のオポデイ報告ブログに写真掲載したバラの花は、オポが好きな花でした。

「好き」という曖昧な表現では誤解を招くので、詳しく説明します。

最初は、犬にアロマテラピーって、負担がないのだろうか?と疑問を持っていたことから始まります。

当時アロマテラピー教室を開校されていた飼い主さんがいたため、興味深くいろいろと考えたり、観察したりしていました。

植物の香りなので本質的には犬には負担がかかりそうにありませんが、いくつかの部分で注意が必要です。

まず、アロマオイルとして販売されているものの中には、添加物が入っているものが結構あるということです。
香料の入っているものも結構あります。

これらの人工的香料を犬は好みません。

本来、人にとっても快適なものとはいえないのでしょうが、感覚が麻痺してしまうと、刺激の強いものしか受け入れなくなってしまいます。


次に、希釈やアロマの香りの度合いです。

まれにですが、アロマの臭いに満ち溢れている空間や人に接することがあります。
不自然に強い臭いは、動物に不快感を与えます。

特に犬の場合には、嗅覚が大変優れています。
臭いの分子が多すぎると、クシャミをしたり部屋から出て行ったりします。

ところが、犬の方もいつも強い刺激にさらされていると、感覚が麻痺してしるため、強いにおいにも無抵抗になっています。

健康な動物は基本的には無臭で、ほとんど臭いません。

健康は犬はシャンプーをしなくても無臭で、人の方がよほど臭いと感じます。


香りの程度でいえば、ほんのりと香るくらいが良いでしょう。

香りの感覚を高めるなら、ときには透明な空気の中で過ごす必要もあります。

福岡市内では、なかなかそうした場は見つかりません。
休日には郊外に出かけて、この冬の透明な空気を犬と共に吸い込んでください。


さて、オポとバラの花の香りに戻ります。

オポの好む香りをテストするために、20種類ほどのアロマオイルを紙につけていただき持ち帰りました。

伏せているオポの鼻先20センチくらいのところに、ひとつずつその用紙を差し出しました。

どれも自然の香りのするもので、用紙を見ることもないし顔を向けることもありません。逆に、顔を背けることもありませんでした。

ところが、ひとつだけ反応したアロマがありました。

そのアロマオイルをつけた用紙を出すと、顔を向け用紙に鼻先をつけてフンフンと随分長らく興味深く嗅いでいたのです。
そのオイルの種類が「ローズ(ばら)」でした。

ローズといえば、オイルの中では大変高価なものです。
当時は10滴で5000円くらいするほどのものでした。

そのときに、なぜローズにだけ反応したのだろうと思って終わってしまいましたが、オポの長い人生を振り返るとオポがバラの香りを好んだことは、間違いのない事実でした。

犬にアロマはダメと絶対的に決め付けずに、チャレンジしてみてください。

犬にとって快適な空間は、人にとっても快適であるはずです。

オポとみるく

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<犬のしつけ方>クリスマスイルミネーションと犬について考える

博多駅周辺のクリスマスイルミネーションがすごいことになっていますね。

たくさんの人が幸せになるイルミネーションなので否定はしません。

でも、人とはちょっと違った感覚でこうしたものを見てしまいます。


街路樹に照らされるライトを見るたびに、気持ちが沈むのです。

木々も夜になったら安みたいだろうな、とかライトの熱が熱いのでは
などと考えてしまうからです。

それに、イルミネーションを見てもきれいだと感じることがなくなりました。


見ていてきれいだと感じるのは、ロウソウや暖炉の炎の方です。

こちらはいつまで見ていても飽きることもないし、なにより心地よく落ち着きます。


犬も人工的なイルミネーションの光を心地良いとは感じていないだろうと察します。

犬は人工的なものが得意ではありません。

アスファルトの道路、人工的な音楽、添加物いっぱいの食べ物、車のライトを含む様々な人工的な光もです。

イルミネーションの光のもとに連れて行き、犬がそれを見上げていたら、
どちらかというと「異質なもの」という情報として捉えているのでしょう。

これらの光が入ってきたときの犬の脳内は落ち着きの機能を下げてしまいます。

ほとんどの犬はイルミネーションを無視しています。

見ないようにして過ごしているということです。

見ないでいることが、彼らにとって最も安定させる方法になっています。


ということは、クリスマスイルミネーションを犬に見せるために連れて行く必要はないということです。

いや、むしろ連れて行かないでください。


犬に必要な光は、日向ぼっこできる太陽の光、ときには月明かりを感じることです。

人は動物としては、特別に強い刺激を楽しむ動物だという事を自覚しておきましょう。

本来の動物としての自然な刺激を心地よく感じる感性を取り戻すことは、

犬と共感できることが増えるということです。

犬と人の関係性につながること、とても大切なことですね。

dav

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<犬のしつけ方>犬が家庭に落ち着き安心するまでの時期はどのくらいなのか。

犬を家庭に迎えて家族の一員として生活を始めたなら、
最初の3年間はとても大切だということを覚えていてください。

犬は人という異なる種の動物と共に暮らすことになります。

生活スタイルや生活環境もすべて人が準備したものの中に暮らすのです。


その中には、先住犬として犬がいることがあるかもしれません。

先住犬がいたからといって、犬が上手くやっていけるわけでもないのです。

その先住犬も、人という動物と関わりながら生活をしています。

先住犬の人との複雑な関係性は、2頭の犬の間に影響を与えてしまいます。



犬がこうした特殊な環境である程度落ち着きを持って生活できるようになるのに、
3年間はかかるのではないかと思っています。

これは、子犬に限りません。何才で人と暮らしても、3年間は不安定期です。


人と人の関わり方の時間も、それぞれかもしれませんが、
3年という月日は、環境を十分に熟知する時間です。

犬を迎えてからの3年間は、他の趣味はちょっとだけ控えていただき、犬との関係作りを中心にしてみてはいかがでしょうか。


趣味を全く止めてほしいということではありません。

仕事を辞めてくださいということでもありません。

時間は作らなければないものなので、犬との時間を最優先に考えてほしいのです。



ところが、犬と人では、時間の流れが多少違っているように感じます。

動物としての寿命が違うだけなのですが、短く思えてしまいます。

犬が10歳になるともう60歳台くらいにはなっています。

ところがその10年で人も同じように老いるのに、人の10年分しか経過していないからです。


これは、最も難しい問題です。

犬とっての1日は人にとっての1日である事実には間違いがないからです。

人は寿命が長い上に、やりたい活動がたくさんあるので本当に忙しい動物です。

今日一日があっという間に終わってしまうように感じることもあります。

そうやって犬と過ごしていると、いつの間にか犬と1年過ごした、2年過ごしたということになっているのです。


人と比較すると、犬の方は本来ゆっくりした動物です。

犬にとって10年という時間は決して短くありません。

でも犬は本当に、毎日待たされているのです。「待機犬」ですね。

忙しい人間と暮らすのだから仕方ありませんが、あまりにも待たされ急がされています。

そのため犬もいつも騒々しく動き回ったり、吠えたりするようになってしまいます。

もしくは諦めていつも寝ている犬になるかもしれません。


犬を迎えて最初の3年間、自宅とその周辺、そしてお気に入りの静かな郊外にも場所を見つけて
じっくりと犬との生活をしてみてください。

この最初の3年間で作り上げる関係性は、とても貴重なものなのです。


もし犬を迎えて3年以上経っていたとしたら、そしてまだ関係を深めたいと思うのなら、
今すぐに犬と向き合い、犬と真剣に関わる準備を始めましょう。


ところが、何をしたらいいのか分からない人が多いかもしれません。

わからないときは相談してください。

そのためのドッグスクールです。

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<犬のしつけ方>子犬の真の社会化を考える:Detective puppyたちの社会活動記録

犬の預かりクラスで感じたこと、昨日に続きます。

犬の社会化の過程について、もう一度考えてみましょう。

社会化とは、単純にいうと環境に適応する力をつけることです。


環境に適応するといっても、恐怖反応や攻撃反応をゼロにということではありません。

恐怖を抱く必要のあるものにはその反応を示すこと、

防衛すべき相手に対してはちゃんと防衛をする必要があります。


犬が周囲で起きていることをすべて脳から追い出す
回避をすることが社会化ではないのです。


動物は混乱すべき状況に起きていると、
起きていることを全て見えない状況にしようとします。

これは人でも起きていることです。

「見ないようにしよう」

「知らなかったことにしよう」

「わたしはここにいないことにしよう」


こうした回避行動は日常的に行われています。


脳の中では、今目の前にいる刺激を排除するという機能があります。


一度にたくさんの刺激にさらすと、脳はこの排除機能を用います。

刺激に反応することがなくなることが社会化したように誤解させます。

これは、社会化でもなんでもありません。



正常な子犬の社会化とは、子犬が安全なテリトリーの範囲内で、
活動しながら探索を通して学習を重ねていくことをいうのです。

預かっている子犬の着ている洋服には「DETECTIVE PUPPY」と書いてあります。

直訳すると「探偵子犬」ということですね。

dav
子犬はまさに嗅ぎまわる動物です。

安定したテリトリーやリードを持つ人との安定した関係性が、
その探偵=探索をささえる基盤です。

安定した探索行動は、子犬の脳の発達を促します。

それが本来の社会化の発達です。

dav
子犬のときに他の犬や他人に会わせることが社会化だと思われているようです。

これは社会化ではありません。

社会化したように見える反応のなさは、刺激を排除の機能が発達したといえるでしょう。

排除機能が中途半端な場合には、犬や人に恐怖行動を示すようになります。

その行動は1才を過ぎてから表現されるようになります。


子犬のときに、犬に会わせるためにドッグランやデイケアに連れて行くことはお薦めしません。

子犬のときに、たくさんの人に会わせることもお薦めしません。

ここに書いてあることは、どの本にも書いていないかもしれません。

ですが、もう一度自分の頭の中でみなさんが考えてみてください。

dav

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<クラス>子犬のお預かりクラスで見る犬の体感温度:体温管理は自律神経の発達を促すこと

子犬や老犬の体調管理には注意が必要な季節になりました。

気温の変化に対応するためには、体の自律機能が頼りです。

体温調節は自律神経がつかさどっています。

自律調整機能が不安定な状態だと、気温の低下に体が適応しません。

老犬になると、機能低下が著しくなるため、
温度管理はとても大切になります。

老犬のお部屋は十分に温めてあげてください。


ただ、子犬の場合は、ただ暖かくするだけではダメなのです。

いわゆる過保護状態になりすぎると、子犬の成長を阻害してしまい、
免疫力の弱い虚弱な犬になってしまうからです。


子犬は環境に応じて身体的機能を鍛えて高めていくことができます。

寒いからと冬場に部屋に閉じ込めたりすると、
子犬の自律神経機能は発達せずに、心身共に弱い犬になってしまうのです。


この冬の時期に、子犬たち2頭が七山校にお預かりクラスに来ました。

七山は標高500メートルのところにあります。

都心の犬にとって、自然環境は特別の刺激です。

特に健康な子犬たちにとっては、興奮の素材がたくさんです。

お預かり数回となって、山歩きにもチャレンジできました。

子犬の状態を見ながら、今日はココまでと欲張らずにすすめます。

dav
子犬たちは休憩したり歩いたりをくり返しながらも、
果敢に山歩きにチャレンジしていました。

歩くことで体の機能も発達し、体温調節機能も高まります。

自然の中での安定した活動は、子犬の脳を健康に発達させていきます。

室内での休憩中には、きちんと暖がとれるように準備します。

子犬のお泊まりにはいろいろと気配りが必要ですが、
子犬たちの元気な笑顔や成長が、その苦労を忘れさせてくれますね。

dav

dav



朝一番のお庭での排泄タイム。

庭に出た子犬たちは、ピューと吹く北風に一瞬ビックリします。

だけど、シャッと背筋を伸ばすようにして、
テラスの階段を自分で下りて排泄に行きます。

こうした預かり中の行動を見ているだけでも、
飼い主さんが日常的にどのように接しているのかがわかります。

子犬の自律性を高めるように接しているということが、十分に感じられるのです。

犬の行動はうそをつきません。

家で出てきること自律行動は、預かり中にもちゃんとできるのです。


ところが、家で飼い主さんに依存して生活をしていると、
ブルブルと震えてしまうかもしれませんね。

すべてが、飼い主がそばにいることでしかできなくなっているからです。


犬たちに、日々の自律した生活を促すことが、

気温の変化に適応する体をつくることを知ってください。

うちの犬は寒いのがダメ、うちの犬は寒いと風邪を引きやすい。

そんな犬たちの限界を、少しでも延ばして超えていきましょう。


犬の自律神経の調整力は、犬の生涯を通して犬の健康な毎日を支えます。

犬をただ可愛がるだけでは、犬の能力は発達しません。

犬が生まれ持った自分の能力をできる限り発揮できるように、
飼い主は環境を整えましょう。

dav

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<犬のしつけ方>犬が嫌がる不快な音:音に吠える犬、吠えない犬で何が違うのか?後編

犬の音に対する反応についてのコメントです。
昨日のブログからの続編になりますので、読んでいない方はこちらからどうぞ
→<犬のしつけ方>犬が嫌がる不快な音:音に吠える犬、吠えない犬で何が違うのか?前編

日常に溢れる人工的な音に対する犬の反応、観察できましたか?

前編で紹介したように、注意を勧告する警告音は不快な音です。

不快な音であることが、注意を引く音になるからです。


救急車のサイレンや郊外で流れる夕方の時間を知らせる音楽は少し違います。

これらのサイレンの音には、犬は遠吠えという形で反応します。

これは一定の音に対する共鳴という行動です。

行動を誘発する刺激が与えられると行動を起こすというのは、
学習のひとつの原理なのです。

サイレンの音という誘発刺激によって、犬の遠吠えという行動が引き出されます。

ミックスには反応が多く見られますね。

ただ、この反応は前述した不快な警告音に対する反応とは違うのです。


警告音に対する犬の反応に戻ります。

犬がこれらの音に反応するときには、不快感を得てビックリしたような反応をします。

もしくは同じように不快感を表現するような行動をすることもあります。

中には、強い不快が不安を引き出し、そこからパニックを起こすようになることもあります。


警告音に対する強い反応としては、連続してワンワンと吠えてしまうような反応でしょう。

音に反応して吠える犬の声は、少し高めで苛立ちを表現するような声質をしています。

声は澄んでおらず、にごっていて犬の声にも違和感を覚える声です。

これらの犬の声にも、警告音と同じような不快感を覚えるでしょう。

ということは、犬のこれらの反応する声は、犬の不快さを表現する声だということです。

警告音によって不快さを強く感じ、それを表現するまでに高めてしまったということです。


動物によって出す音の種類はそれぞれに若干の違いはあります。

しかし、共通した情報として不快な音は不快なのです。

少なくとも、警告する不快な音は、人にとっても不快であり、犬にとっても不快なのです。


ですが、その不快感はすぐに消え去るものなので、人もすぐに元の情緒、
つまり安定を取り戻そうとします。

犬にも同じように、安定を回復させようとする神経機能が備わっています。

すぐに安定を回復させることができる犬は、
片目を開けることはあっても、すぐに目を閉じて寝続けます。


これらの状態にどのような差があるかというと、
犬の日常的な情緒状態に差があるということです。

不快な警告音に強く反応してしまう犬は、日常的に不安や不快を抱えています。

日常的な環境と、飼い主さんとの関係を三度見直す必要があるでしょう。


逆に、全く反応を示さない犬の中にも、ストレス過多になっている犬もいます。

こうした犬たちはとても気づきにくいのですが、最も気づくべき存在です。

日常の刺激によるストレスが強すぎて、無反応という状態に至った動物です。


ただ寝ているだけなのと、無反応になっている犬との区別をどのようにつけたらいいのか。

日常的な行動をすべて分析していくと、犬の状態は理解できるようになります。

犬の行動の見方は、すべての飼い主さんに理解していただきたいことです。


犬のしつけ方やトレーニングを学ぶのは、行動を教えることを学ぶだけではありません。

犬が何を感じ、何を表現し、何を必要としているのか、

理解して協力できるのは飼い主しかいないこと、飼い主とはやりがいのある仕事です。





ところで、明日から福岡・佐賀県の標高200メートルで10センチの積雪予報が出ています。
七山は標高500メートルですが、福岡で活動するため様子がわかりません。
帰宅したら積雪してるということも十分に考えられます。
七山の雪を恐れて帰れなくなったら、山人としては恥ずかしい限りなので、
意地でも山帰りを続けていきます。

七山にお越しの方には、七山雪情報は事前にお伝えします。
雪に覆われた山は最高に美しいのです。
その中に歩く犬はもっと美しい、そんな風景もいつか見てください。

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<犬のしつけ方>犬が嫌がる不快な音:音に吠える犬、吠えない犬で何が違うのか?前編

福岡で過ごしているときには、毎日いろんな音が飛び交っていると感じます。

七山の静かな環境から移動してきたときには、よく感じることです。


夜中サイレンの音がしょっちゅうなります。

暴走族の取り締まりをするパトカーの音。
夜に具合が悪くなった方の搬送のための救急車。
以外に響くのが酔っ払って携帯電話で話しながら歩く人の声。

昼にはヘリコプターの音をよく聞きます。

こうした遠くから聞こえてくる音には、まだましな方です。

もっと動物をビックリさせるのは、身近にある電気製品の音です。


都心部にはいろいろと注意しなければいけないことが多いため、
注意を喚起する音というのがあります。

車のバッグ音

車で安全ベルトをつけないでいるときの音

電話の着信音(スマホの方は出ないようになってますね)

シャッターの音(動画のときは特に大きい音)

キッチンタイマーの音

洗濯機が止まった時の音

電子レンジの音

地震の発生を知らせる音は特に強い音ですね。

こうした身近なアラーム音は増え続けています。


これらの音は、人の注意をひきつけるようにできています。

身近な人の注意をひきつける音というのは、不快な音なのです。


不快な音が、なぜ人の注意をひきつけるのかというと、
不快な音は、危険であることを知らせる音だからです。

そのため不快な音は注意をひきつけると同時に、
不安や苛立ちを感じる音にもなっています。

こうした不快な音質によって感じる情動は、
人も犬もかなり似てるようです。

そのため、犬の中には特定の人工的な警告音に対して、
吠えたり、顔を上げたり、走り出したりするなどの行動をすることがあります。

顔を上げるくらいなら、まだそれほどの影響は受けていませんが、
吠えたり、走り出すとか飛び起きるとなると、犬も不安定です。

みなさんの身近な犬は、警告音に対してどのように反応しているでしょうか。

反応しない場合にも、他の行動もあわせてよく観察してみてください。

明日に続きます。

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