グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

トップページ
お電話でのお問い合わせ
お問い合わせフォーム

犬の行動範囲の真実:犬の安心は本当に獲得されているのか

七山校が里に位置するところにあります。里というよりはどちらかというと山裾といった方がいいかもしれません。相棒の草刈機1号がついに修理となり、重量のある草刈機2号で茂った山裾を少しだけ刈り込みました。
野生動物の行動範囲は、山から里にかけてその環境に影響するため、その環境に影響を与えている自分が介在する作業との関連性に、関心が続きます。

建物の近くまで来るアナグマは、草がきれいに刈り込まれている環境でもゆっくりとやってきて、家の周囲の土の中から幼虫を食べては山へ帰っていきます。アナグマの行動も環境だけでなく、その個体の性格によって違いが出ているのだろうと感じます。

犬にも行動範囲が広い個体と狭い個体がいます。その行動も犬の周囲の環境によって異なります。ところが、犬の活動の範囲が広い方なのか、狭いほうなのかということを知るために犬の日常過ごしている行動のパターンをみても、正しい情報が得られないことがあります。

なぜなら、これらの個体情報は犬があくまで「自然に」活動していることで知ることができるからです。現代の都市周辺環境での犬の活動は動物としては「不自然」に限りなく近いです。理由は、家や庭などの囲いのある場所でのみ活動しそこから出ることがない、出るときにはリード(ひきづな)をつけているため自由行動がない、リードから解放されるのはドッグランなどの囲いのある犬用の施設の中、という環境で過ごしているからです。

冒頭の野生動物から見る行動の範囲を考えるとき、動物が行動をするのは自分の安全を確保できる信頼を重ねた上でその範囲を広げていきます。危険だと感じられるところには近づかなくなり、身を隠せるような場所があると里に近づきやすくなります。動物の行動は常に自分自身の安全の確保と関連しています。

犬の場合には、その安全を常に人が提供しています。小さな庭には危険が襲うことがなく、自由に庭内を行き来することになり、リードをつけているときには飼い主という管理者がそばにいるため多少危険な行為だと思われることがあっても、飼い主が犬を守るという行動で片付けられます。

たとえば、散歩中に力のない犬が力のある犬に吠えかかっていっても、リードがついている限り相手が反撃することもなく、吠えかかった犬がその危険性を知ることもないということです。

自らの安全を確保してそしてそれを行動として広げていくという動物の基本姿勢を、犬は身に付けるチャンスを失ってしまったように思えます。

犬が安心して行動しているのであればいいではないか、という意見もあるかもしれません。
ただ、こうした依存的に行動するようになった犬は、決して「安心して」行動していないことを証明する行動がいくつも現れています。

突然、何かに遭遇したときにパニックを起こして奇声を発したり、飼い主がいつも自分に関心を示したり要求を聞くことを試す行動を毎日くり返し行っています。

これも飼い主という存在が犬という動物に与えているひとつの環境ではありますが、その関係性にお互いの自律を見ることができるようになれば、もっと犬の行動は自信にあふれたものへと変化していきます。

そんな犬の姿をときどき見る瞬間があると、なぜかホッとしてしまいます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in 犬のこと, 自然のこと

犬の自律神経を整える

ブログ記事「天候と犬」では,
犬にも自律神経がありそのバランスを崩すと心身に不調が起きることをお伝えしました。

自律神経を整える方法については、人間の健康維持でも知られています。
その方法は様々ですが、犬にも通じるところが多々あります。

たとえば、動物と太陽との関係です。
規則正しくする生活習慣をとりいれて、自律神経を整えることができます。
ブログ記事「天候と犬」では、気圧によって変化する自律神経がバランスをとろうと働くことを書きました。
自律神経は太陽が活動を始めると交感神経が優位となり、太陽が沈むと副交感神経が優位になります。暗くても活動ができる夜行性といわれるイヌ科動物も、活動の中心は太陽が活動しているときで、日中以外です。

犬の自律神経が不安定になると、犬も昼夜逆転となり昼間に寝ていて夜間に徘徊するという行動をすることもあります。
太陽が昇ると目をさます犬は、健康な犬である証拠です。
子犬は太陽とともに目覚める元気がありますね。

夜型中心の人の生活にあわせてしまい、「散歩に行くのは日が沈んでから」という生活になると自律神経に負担をかけます。
この暑い季節にはそうなりがちですが、散歩にいく時間を早朝とし、夕方はできるだけ気温の低い、行き着けの自然環境に近い場所や山へ出向くなど、できることをひとつでも考えてみてください。

自律神経は呼吸にも関連します。
自律神経がバランスを取り戻そうとするときに混乱を生じると動悸や心拍数の上昇が起こります。
自律神経を整えるためには、意識して呼吸をゆっくりとする練習があります。
ところが犬に「ゆっくり呼吸してください。」といっても通じません。
でも、できることがあります。

犬は飼い主の状態に影響を受けやすいです。特に室内飼育となり飼い主との距離感が近くなると、飼い主の状態はすぐに犬に伝わります。
ということは、飼い主の呼吸が早くなったり荒くなったりすることにも影響をうけ、飼い主が安定した呼吸をするようになるとそちらにも影響をうけます。
緊張しそうになったら「まずは飼い主が深呼吸」。
犬と暮らす中でのコツのひとつです。

自律神経を整える方法は他にもまだたくさんあります。
少しずつ書き綴っていきます。


さて、今日は福岡市内を広範囲に移動しました。
車の中の暑さに深くため息をついて信号停車をし、横をみてビックリしました。

160810_145620
七山?池原地区?
グッドボーイハート七山校の住所です。

「おいしい水と空気、自然の宝庫」
ほんとうにその通りだと深くうなずきます。

ここのお米食べたらその自然の力を味わえるということでしょうが、
犬だったらそこに行っただけで、自然の力を受け取れます。

携帯で写真を撮ることなどないのですが(五年に1回くらい)
バテそうな私へのプレゼントだと思い「ありがとうございます!」と記念撮影してしまいました。

みなさんいろんな力とつながっているのだと思います。
犬が教えてくれた「山とのつながり」は、わたしにとっての大切なつながりのひとつです。

山には秋風が吹き始めています。
明日は山の日らしいですが、山はすべての犬の心の中に存在しています。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in 日々のこと, 犬のこと, 自然のこと

天候と犬<夕立>

ちびっコワンコの初トレッキングクラスを終了した後、涼しい七山校で過ごしました。

いわゆる「下界」(※都心部から七山に上がって来られる生徒さんたちが、なぜか都心部のことを「下界」といわれるので)に比べると気温は10度近く低く、午前中は「エアコン入ってますか?」といわれるほどの涼しさです。
午後になると夏日でじっくりと焼かれた家の中の気温は少しずつ暑くなり、15時くらいには扇風機回そうかなと思うほどになります。

こんな時「今、夕立が降ったら涼しくなるのにね。」と思う日々が増えています。
七山で過ごすようになってから10年ほどの間に、夕立が年々減っていると思います。

そういえば、小学生のころに福岡の博多地区に住んでいたことがあったのですが、夕立の思い出があります。
母といっしょに、慌てて洗濯物を取り込むという光景は昭和の日常でした。
天候の問題だけではなく、土が少なくなることで地表の温度が上がっているお知らせではないでしょうか。
日中庭で過ごす犬たちが気がかりです。

雨が降るときは気圧が低気圧になります。これは犬の行動に変化を与えます。
気圧の高低が動物の自律神経に影響するからです。
高気圧のときは交感神経が優位になり、低気圧のときは副交感神経が優位になります。
副交感神経は休息の神経で体を休憩させるため、よく寝るようになったりしますね。

自律神経は体の状態を外環境に適応させるために調整を働くのです。

ところが夏の夕立は急激に気圧が下がります。
急激な気圧の低下は、自律神経が副交感神経を優位にしすぎたり、落ち着けなかったりして調整がうまくいかなくなり不調を感じます。また、自律神経は血液の循環に影響しますので、自律神経の混乱により血液の循環にも影響を生じ、全身症状へと向かう事もあるため、病気がちな犬や老犬では心配されるような症状が出ることもあるでしょう。

犬の自律神経は行動に影響をしているため、トレーニングでも重要視する犬の仕組みです。

「自律神経を整える」ということを聞かれたことがあると思います。
でも、犬が「自律神経を整えようかな」と運動を始めることはありません。不自然な体操や食べ物を使って体を動かしてあげる体操や運動などは犬の自律性をさらに損います。

自律神経を助ける方法は、自律神経に負担をかけないということです。

続きは次回。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in 日々のこと, 犬のこと, 自然のこと

グッドボーイハート畑部☆部員募集☆

犬と共に自然を肌で感じながら生活するという時間をいただいたとき、最初に思いついたのが「畑をつくる」ということでした。

ところが、最初につくったこの畑はすぐに終了してしまいました。
理由はいくつかあります。
他にもすることがたくさんあったため後回しになった。
おいしくて安い野菜が近くの産直店で手に入った。
失敗が続いた。
根気がなかった。
など、結局は努力不足ということです。

初期の小さな畑はオポを釘付けにしていました。
簡単にできるのだと思ったトマト、キュウリ、カボチャ、オクラ、ナスの苗を植えていたのですが、そのうちトマトとキュウリはオポの大好物だったからです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
柵をつくったけど届いてしまうミラクル


普段は食器の中に入っているトマトや人の手をつかってしか食べられないキュウリが、目の前にぶら下がっているのです。
「え、それまだ早いでしょ。」という出来具合のものを片っ端から食べてしまうため、結局、畑に柵を作ることになりました。

このことで、わたしは入れてもオポの入れない空間ができてしまい、そのことがわたしを畑から遠ざけてしまう理由にもなってしまったと思います。

その後、畑部は一度復活しました。
若い生徒さんたちが「先生!畑を作りましょうよ。」といって開墾を始めたのです。
七山校のクラスに参加するたびに手入れをしてくれたのですが、日々の手入れは必要です。
畑の面倒をよくみず、雑草の中に野菜たちが埋もれていくようになりました。
これで畑部は解散となりました。

そのグッドボーイハート畑部が、このたびついに復活します。
今回は新しい畑部長Kさんが畑の開墾をはじめてくれました。
灰を混ぜ込む2回目の耕し作業を終えられたところです。

畑20160804開墾
部員のわたしも積極的に参加せねばと奮い立ち、畑横の竹やぶ払いを行いました。
助っ人にお手伝いいただき、畑に風がとおるようになりました。

食べるものを育てるという基本的なこと。
頭ではわかっていてもなかなかできません。
自然の生活に近づくことも、大切なこととわかっていても同じことです。
そういうときは、誰かがやるのを最初は見守ったり手伝ったりすることでもいいでしょう。

グッドボーイハート畑部の畑でとれた野菜を、人と犬がいっしょに食べられるようになるまで
がんばります!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in 日々のこと, 自然のこと, オポのこと

ネイチャーカンパニー

知人から懐かしいCDを貸りました。。クジラの鳴き声を収録した自然音です。
CDを聴いたとき「これ昔もっていたけどなあ」と懐かしく思い、またその声が私の元にもどってきてくれたような気がして、偶然の再会にうれしくなりました。
なくしてしまったそのCDを購入したのはもう30年も前の話です。

福岡市の中心街「天神」のオープン当時は珍しかった多目的商業ビルの中に、お気に入りのショップがありました。「Nature Company(ネイチャーカンパニー)」というショップで、名前のとおり自然にまつわるいろんなグッズを集めた夢のような店でした。本社はアメリカであったと思います。

商品には、自然の素材で作られたアクセサリー、動物や植物を描いたTシャツ、当時は珍しかった原石をもちいたいろんなもの、自然素材のものをベースにしたウインドチャイム、自然素材の楽器、自然素材でつくった雑貨、そして自然音を録音したCD、写真集、書籍など、どれも自然を連想させる、自然とのつながりを思い出させてくれる素敵なものばかりでした。

ネイチャーカンパニーにいると時間の過ぎるのを忘れてしまい、その空間に没頭したものです。当時の私はまだ20代、自由になるお金もわずかしかありません。あれもこれもは買えないため、触ったり見たりして時間がたつのも忘れ、自然を自分の近くに感じようとしていたのでしょう。それにしても、あのお店にいたときのワクワクした感じはなんだったのかと、今でも不思議です。

最近ある本を読んでいて、これかな?と感じたことがありました。
その本の著者によると「人間の発達は、人間の機能性の発達ではなく道具の発達である」ということ。そして、その道具が自然の素材で作られたものから、自然を分解して作られたものに変化したことから、人間そのものが変わったのだということです。大変興味深い内容で、今でもその本をくり返し読んでいます。

自然ものを丸ごと、自然の力を感じる道具として利用してきた人間ということろに関心を持ちます。ネイチャーカンパニーはそのような「自然そのもの」を選択して販売していた店だったのではないかと、記憶をたどりながら思いました。

店で購入したもので今手元に残っているのは、オオカミの遠吠えのCD、イルカのTシャツ、地球のシンギングボールのアクセサリーの3点です。わずかに手にいれたものが、惚れこんだオオカミとイルカのものであったのには動物への恋の歴史を感じます。

ネイチャーカンパニーは国内のすべての店舗が撤退をし、アメリカでも店舗が残っているのかどうかわかりません。アメリカにはこうしたネイチャーズショップが多くあるようですが、自然を失ってこそその重要さが身にしみてくるともいえます。

私たちの身近には、自然をまるごと使った道具もまだ残っています。日本の古き道具は、自然の力を感じられるものがたくさんあります。そんな道具を使うことも、自然とのつながりをつなぐきっかけにはなるのかもしれません。そして、そんな些細なことが、犬という動物を犬として見ることのできる力につながっているのではないかと思います。

ネイチャーカンパニー。
今はショップではなく、リアルな空間として日々ありがたく感じています。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in 自然のこと

犬に避暑地は必要か?

この季節、標高500メートルのグッドボーイハート七山から福岡の博多に戻ってくると、その違いにいつも驚きます。

気温が違うのは当然のことながら、辛いのがは、風がないことです。山から吹き降ろす風を感じることができれば、この暑さも乗り切れそうな気がするのですが、湿度が高く風を通す空間ではなくなってしまった都市環境では、室内に閉じこもりがちになりますね。

犬が人よりも暑さに弱いことを、飼い主のみなさんは承知されていると思います。
小型犬は大型犬に比べると暑さには強い方ですが、人のように夏を乗り切るということはできません。気温だけでなく湿度の問題や、暑さに対応する体のつくりが異なるからです。

人は夏になると海や山といったアウトドアを楽しむために出かけることも多くなります。犬と一緒に出かけるときには、人とは違う配慮をしてあげてください。たとえば、犬の夏の海遊びは、早朝以外はおすすめしません。海での熱中症の事故も多いです。興奮する遊びは短時間で終了させるなどの配慮は必要ですね。

山に出かけたときも、短時間のアウトドアキャンプではせっかくの自然環境の中で犬は自然にふれることができません。都市での限られた空間の生活をアウトドアに持ち込んだだけの形となります。涼しい場所で過ごせるメリットはありますが、せっかくの自然にふれる機会をもう少しグレードアップして、避暑地でのんびりというふうに過ごせないかなと思うのです。

暑さで閉じ込められる環境にグッタリしたり、イライラする様子の犬を見ていると、犬にも避暑地は必要なのではないかと真剣に考えてしまいます。避暑地というと豪華で高額な印象を受けられるかもしれませんが、夏休みに帰生する田舎のおばあちゃん家というイメージではどうでしょうか。豪華な別荘地は隣接して立ち並んでいるため、そこでも犬同志が衝突してうまく過ごせないという問題も起きてしまいます。

田舎のおばあちゃん家は隣の家とも離れていて、空間もたくさんあって、なぜかそういう自然環境には時間もたくさんあります。映画の「トトロ」のような風景ですね。こうした日本の里山は、人が住まなくなってきていることから空き家も増えています。こんなところでも住んでみようかなという方がいれば、住む人を応援しながら犬の避暑地として使わせてもらうというのも一案ではないでしょうか。
これはただの空想かもしれませんが、里山も復活して犬たちにも避暑地が獲得できる、そして人と犬が自然環境のなかで新しい関係作りをはじめるきっかけとなる、単なる空想だとしても素敵ではありませんか。

そういえば今の自分の仕事も空想から始まりました。
子供のころ犬と遊ぶことが大好きではじまった「いつか犬の訓練士になりたい」という空想です。
今は犬の訓練士を経て、犬を理解するためのいろんなことを伝える新たな仕事へと発展しました。
空想の中にはなかったけど、現実はもっとワクワクする展開です。

犬の避暑地と里山で過ごす人と犬。
きっと実現しますように。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in 犬のこと, 自然のこと

トレッキングクラス<完全管理からの一歩>

今週はプライベートトレッキングクラスの参加者が多く、とてもうれしく思います。
犬の問題や成長に応じて、プライベートトレッキングクラスを導入していきますが、生後6ヶ月以上の犬は原則としてどの犬もクラスの対象です。プライベートトレッキングクラスの最初の目的は生活環境により影響を受けた日常行動のパターンを外していくことです。

動物園の動物と犬を単純に比較することはできませんが、犬は室内飼育でリードで強く拘束されなければ安定した歩行が得られないような社会化の状況下では、檻の中にいられた動物に近い管理状態におかれています。

動物の行動を比較しても、同じようなストレス行動がみられます。動物園の檻の中にいる動物は管理下に置かれてかわいそうに思われるかもしれませんが、実際には、その管理下である檻の外に出すほうが難しいのです。外の社会に適応する力のない動物=社会化が未発達の動物の「安全な場所に閉じこもっておきたいという」執着にも近い欲求は、管理される動物のもつ特徴的な欲求です。

ところがこの欲求は、単に安全を確保するために働いているわけではなく、動物としての行動を制限することにもなるため、動物園では動物としての自然行動を見ることはできません。犬も同じです。ブログ記事「発見する楽しみ」に書いたような探索欲求を、室内だけで満足させることはできないのです。

プライベートトレッキングクラスに参加する犬の中には、不安や緊張をかかえている犬もいます。それを穏やかに解消するために最初にできることは、拘束された安全な管理下から一歩を出ることです。でも、最初はこのことがストレスになります。動物は環境が変化に敏感です。それが良い方向に変化したときでさえ、その違和感は動物にとってはストレスになります。そのストレスは行動で表現されますがその行動も実にさまざまです。個々の犬の性質や飼い主との関係、生活環境が犬に与えたことなどをみることができます。

飼い主は犬を「楽しませたい」と思うようです。大好きな犬がどんな気持ちでいるのか、楽しい気持ちでいて欲しいと思うことは大切な気持ちです。そういう気持ちを持つ飼い主と暮らせることは犬はラッキーですね。ただ、勘違いが多いのは、犬が走り回ったり飛び跳ねたりしている行動を、犬が楽しんでいると思われてしまうことです。

トレッキングクラスでも、犬が走り回ったり早足で歩いたり飛び跳ねたりすることがありますが、これは犬の興奮行動であり楽しんでいるわけではありません。この行動を楽しいと思ってしまうのは、自分自身が(人が)興奮を求めているからかもしれません。でも、本当にそうでしょうか。みなさんの本当に大切な時間は、興奮しているときなのでしょうか。

犬の安定した行動や状態を引き出していくと、犬が歩く姿が変化してきます。トレッキングクラスはそれ自体が学びのクラスでもあるし、日頃の状態を知るてがかりにもなるのです。どうぞ、これからもこのクラスを楽しんでください!

ルーク5





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in クラスのこと, 犬のこと, 自然のこと

本当に怖い動物とは「後編」

本当に怖い動物とは「前編」では、山の動物のイノシシ、キツネ、タヌキ、イタチ、テン、アナグマ、トンビ、カラスについてお話しました。

サルはいませんか?と生徒さんに尋ねられます。
サルはいます。七山校の敷地内にある電信柱に登っているのをみかけたり、裏の栗の木に登って栗を食べているのを部屋の中からみたこともあります。一番敷地で危険だったのは、テラスの屋根にいたサルが下りてきて庭の裏側を走って柵を飛び越えるのを見たときです。このときはオポが室内から吠えて追い立ててました。山の中で遭遇することはありません。サルも警戒心が高く、犬猿の仲とは本当のことでイヌを嫌いますので、犬と歩いているときには姿を現さないようです。七山地区ではときどき放送で「サルに遭遇しても手出しをしないでください」という内容の指導があります。サルによる農作物の被害は大変なものですが、サルは駆除の対象にはなっていないようです。

爬虫類で最も恐るべきはやはりマムシでしょうか。マムシの毒性が高いこととマムシの反射的にかみつく習性により、イヌがマムシに咬まれる事故は珍しいことではありません。これについては過去ブログ記事「もしもマムシに咬まれたら」をご覧ください。
他のヘビもその動きや風貌から「気持ち悪い」と恐れられていますが、私はあまり怖くありません。幼少期に母から教えられたことが記憶に残っているからです。ヘビをみて泣いていた幼い私に「へびは怖くないよ。ヘビは話しがわかるからはなしかけてみてごらん。」というような母でした。近くで顔を見るとゴジラのような感じですが、威嚇のシグナルがはっきりとしているので、オポが立ち止まるところにヘビありという程度でした。そういえば、昨日も一昨日もヘビをみかけましたが大丈夫です。ヘビは山神様といわれるくらいなので大切にしてほしい存在です。

昆虫の中で出会いたくないものがあります。ススメバチです。
キイロスズメバチも恐ろしいですが、なんといってもオオスズメバチが目の前を通過する際には、ヘリコプターのような音がして微動だにできなくなります。オオスズメバチの観察経路の高さは、ちょうど人の目線の高さくらいで、犬たちの目線には入りませんが、ホバリング音への反応は高いです。オオスズメバチは数があれば大きな動物への攻撃もするため、音への反応を身に付けているのかもしれません。

先生が一番怖いものは何ですか?と尋ねられ即刻応えたのがムカデです。私のムカデ嫌いは有名です。
屋外ではあまり怖くない気もするのですが、一度草刈のあとに首元がむずむずするので洗面所で首にまいていたタオルをとったらそのタオルにすっごく大きなムカデがついていて言葉を失いました。室内に入ってきたムカデはオポがいた当時はムカデセンサーだったオポがすばやく見つけたのですが、一度なかなか見つけられずについに…という事件がおきてしまい、それで夏場の睡眠の深さはかなり浅くなりました。オポ亡き後はホモサピエンスの私はムカデを見つけることができなくなり、ますますムカデにおびえる日々ですが、医療機関にお勤めの生徒さんからは「ムカデなんか昔はムヒつけてたんだからそれで十分。」とさらりと言われてしまいました。

犬の多くはムカデにそれぞれの反応を示します。鼻を近づけていく犬もいますが、ムカデに咬まれた犬を見たことがありません。少なくとも咬まれる現場を見たことはありません。咬まれたとしても対して腫れはないと予測します。そう説明すると、
山歩き中はあくまで移動中のテリトリーなので危険を回避すれば済むことですが、本拠地を侵害して攻撃を仕掛けてくる生き物となるとさすがに寛大ではいられません。今までに侵害してきてトラブルになったムカデ、アリ、アブ、ブユなどの昆虫たちと武勇伝はいつか少しずつ紹介していきます。

このブログを書いている現在も、一番小さなアリ、おそらくヒメアリと戦っています。なぜかこの時期、甘いものがあるわけではないのに温度の高いパソコンに住み着き、手から足からあがってきてかみます。チクリとして大変痛いのですが、オポがヒメアリを避けている様子を見たことがありませんでした。イヌはアリなど食べてしまいますから、イヌには近づかないのかもしれません。イヌがアリを怖がるなら靴もはかずに土の上は歩けません。

それにしてもやっぱりイヌはすごい、動物力は私たちより数段上です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

Posted in 犬のこと, 自然のこと, オポのこと

本当に怖い動物とは「前編」

先日トレッキングクラスに参加した飼い主さんと、山の中で出会ったら怖い動物話で盛り上がりました。

山の中で出会ったら怖い動物といえば、みなさんにとっては何でしょうか。
怖い動物というと体のサイズの大きな動物を思い浮かべるため、福岡佐賀近郊ではイノシシが比較的大きな動物になります。イノシシにあったら怖いと思うのは当然のことでしょう。
私はオポと散歩中になんどもイノシシに遭遇したことがあります。オポが山で落ち着いた行動をするようになり安定していたため、最初のころに緊張していたのは私の方でした。悲鳴や奇声をあげたりするタイプではないのですが、行動力と思考力が確実に低下していました。それでも私にはオポという先生がいましたので、オポの行動をよくみて同じように安定を取り戻すことが可能でした。練習の甲斐あってイノシシを発見してもうまく対応できるように成長していきました。

イノシシ以外のこの近辺の山で遭遇する可能性のある動物には、次のようなものがいます。
四つ脚の動物はタヌキ、イタチ、テン、アナグマ、キツネです。
このうち、イタチ、テン、アナグマはイタチ科ですが、イタチ、テンがすばやく逃げるのに対し、アナグマは反応が鈍く出会う可能性も高いです。七山校の裏庭ではよく穴をほって昆虫を食べているのを1メートルくらいの近距離で見ることができますが、相手は気づいていないようでした。気づけば急いで逃げますので犬が追いさえしなければ怖くはありません。

キツネとタヌキは昔話にもよく出てくる、人と交流の深い動物です。
キツネはイヌ科キツネ属です。九州にキツネがいると聞いて驚かれることもありますが、キツネは昔話のとおり非常に警戒心が強く、簡単に人の前に姿を現しません。犬を連れていればなおさらのことです。車にひかれることもないので遺体を見る機会も少ないでしょう。

この中で犬にとって一番やっかいなのはタヌキかもしれません。タヌキもイヌ科です。
タヌキはよく車にひかれます。山に見るときには動きが遅い感じはしないのですが、キツネと比較すると警戒心が低いのかもしれません。そのため人との遭遇も多く、餌付けされてしまうことも多いため注意が必要です。
餌付けされた野生動物は人への執着が高く、必要以上に人に接近するためイヌとのトラブルmも多くなります。タヌキはこの良い例かもしれません。まず餌付けを行わないこと、イヌのタヌキに対する反応は、他の動物とは少し異なるのではないかというのが、私の現在の見方です。イヌと歩いているときにタヌキに遭遇した経験のある方は、そのときのイヌの反応をぜひ教えてください。

次に鳥がいます。大きなサイズの雑食の鳥といえば、トンビとカラスです。
オポと山歩き中にトンビに狙われた経験がありました。私が白い帽子をかぶっていたので、獲物とまちがえられたようで、私の膝元でV字を描きまっすぐに空へと帰っていきました。
このときもオポと私がほぼ横列だったはずですが、オポは全く歩速をおとすことなくゆっくりと前進をつづけました。立ち止まって停止した思考の快復をまったのは私の方です。以後白い帽子をかぶるのを止めました。

後編へ続く

IMG_1278

Posted in 犬のこと, 自然のこと, オポのこと

子犬と庭あそび

子犬が生後5ヶ月くらいになってから、トレーニングの相談を受けて家庭訪問に伺うことがあります。散歩に出ようとしてうまくいかなかったり、子犬の室内飼育から外飼いに変更しようとして、外で吠えるようになるなどの問題の相談が多いですね。

お話をうかがうと、子犬をずっと室内に入れたまま飼育していたといのです。ワクチン接種が数回済むまでは、外には出してはいけないというアドバイスを受けたり、そのような事がしつけ本に書いてあるということでした。

子犬を室内に閉じ込めておけば、細菌やウイルスから子犬を守ることはできるでしょう。でも、子犬を室内に閉じ込めてしまったことで、子犬の脳の発達を阻害することになるとしたらどうでしょうか。

子犬脳のは刺激を受けて発達していきます。その発達の期間は非常に短く、生後4ヶ月になると脳の8割が形成されるという研究結果もあります。刺激を受けて行動を起こすことをくり返しながら子犬の脳の神経が伸び、脳が形成されていくのです。

ちょっと想像してみてください。この時期に、子犬が平坦で狭い空間にいれられていたとしたらどうでしょうか。自分で排泄に行く環境もなく、サークルの中で排泄をしなければいけないとしたら、子犬の環境把握はどうなるでしょう。外の臭いを嗅ぐこともなく、室内の食べ物や香料の臭い、人の臭いに囲まれて過ごしたとしたら、行動の制限が与えられて何かしようとすると飼い主が抱き上げるという行動をしたとしたら…。
子犬期のこうした閉鎖的な環境は、成犬になったときに自律行動ができず、ストレスを回避することが難しく、パニックを起こしやすい性質になる可能性が高いのです。

子犬は応答性のあるものが好きです。ですが、動くおもちゃ、ネット、ケーブルなど室内にたくさんのオモチャを置いてあげれば、脳を発達させるのに十分でしょうか。子犬の脳を本能的に刺激させて満足を与えてくれるものの対象を人工化されたものだけにすると、子犬の環境への適応力は低いものになります。

脳の発達は哺乳動物としての人と同じですが、必要な刺激は種としては異なることを理解する必要があります。
子犬は土のにおいを嗅いだり、草を口で食べてみたり、枝にジャンプしたり、草の上を転がったり、穴をほったりして遊びます。これらの臭いは、動物として犬を安心させる臭いのメッセージであり、泥を体につけて遊ぶことも意味のあることなのです。その意味については、ブログ記事「犬の隠れる術「カモフラージュ」で紹介しましたのでご覧ください。

子犬を外に出すのは怖いという飼い主さんも、整備した安全な自分の庭や他の犬の使用していない知人の庭などを、子犬の遊び場所として活用することができます。もちろんリスクもあります。ですが、子犬を閉鎖的な環境に閉じ込めることによる性格形成に対する影響や、環境によるストレスによりで免疫力が落ち、重篤な病気に感染する危険性も十分にあるのです。子犬が部屋の中で急に走り回ったり、クルクルまわるようになったらそれはストレスのシグナルだと受け取ってあげてください。

今の時代にも、庭で生まれて庭で育っている子犬たちもいます。子犬の環境に対する考え方は多様化したというだけで、何が正しいのかという応えを出すものでもありません。あとは飼い主さんの選択です。選択をするためには、本やネットの情報だけではできません。いろんな犬の育ち方について関心をもち、いろんな選択肢があることを知ってください。

さら3


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in 犬のこと, 自然のこと