グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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密集した住宅地の屋外飼育について

福岡市内とその近郊は都市化が進み始めて40年くらいはたとうとしているのではないでしょうか。小学校のときに博多区に住んでいましたが、昭和50年くらいに自宅の前の小さな道路が砂利道からアスファルトに変わり始めたころから、博多区も一気に都市化が進んでいった記憶があります。

佐賀県唐津市でも最近はスーパーが大きくなったり、大型のショッピングモールの駐車場もこの10年でずい分混み合うようになったなと感じていて、福岡には及びませんが都市化が少しだけ進んでいるのではないかと感じさせます。

都市計画とは少し違うでしょうが、住宅地のつくり方は時代にあわせて少しずつ変化してきているようです。ご自宅を訪問する地域によって家の使い方が違うなと感じるのです。バブルの時期に立てられた家の多くは、庭がほとんどなくて近隣の家とも接近しており、家の中はとても広くつくられている家が多いようです。環境とか自然とかアウトドアといった感覚よりも、室内を広くとって人を招いたり部屋の中で楽しみたいという間取りのようです。
最近では、庭や緑などの自然環境を家の一部にとりこもうとするデザインが多いのではないでしょうか。遠出よりも家の庭で休日をゆっくりすごしたり、自然環境を身近に感じていたいという基本的な欲求が復活したのかもしれません。近隣の家とも通りを隔てて接触面が少なくなるように配慮されているように感じます。

屋外飼育の場合には、こうした家のつくりが犬の飼育環境に直結して影響してしまいます。近隣との境界線が多く庭がほとんどない家の屋外飼育になると、犬が生活する場所は家の横のいわゆる「犬走り」といわれる通路になってしまいます。すぐとなりはとなりの家になる上に、それぞれの住宅地に圧迫がないように境界線は塀ではなく低いステンレスの柵のようなもので仕切られているだけなので、となりの人がすぐに横を通るスペースで犬が過ごさなければならないということです。

すぐ隣の家に犬がいなかったとしても、2件隣に犬がいるとすれば、風にのって犬の気配を感じることになったり互いの吠え声がとびかうかもしれません。生活圏のテリトリーの狭さは犬を落ち着かなくしてしまいます。
生活圏で犬が落ち着かなくなると、落ち着かないことを示すシグナルを表現しますのでチェックしてみてください。

キューキューと鼻をならす
円を描くように歩いている
柵の前をいったりきたりして歩く行動をする
柵に2本足立ちする行動をする
飼育場所の中にあるものをかじりはじめる
排泄を足で踏み散らかすようになる(特に便)
飼い主が犬のスペースに出ると飛びついたりマウンティングをしきたり服をかんだりする

以上は、その落ち着かないシグナルの一例です。

この落ち着かない環境を落ち着く場所にしてあげるための方法には限界があることも確かです。家の構造を変えることはできないので、庭を広くしてあげることもできません。隣の家との境界線を変えることも柵を塀に変えることも禁止されています。
それでも少しでもできることをしてあげれるなら「犬は隠れる動物」だということに基づいて考えてみます。
過去ブログ「犬は隠れる動物」も参考にしてください。

犬が隠れるためには外用の犬舎は必須ですが、夜に犬舎の中にいれても落ち着けない犬が多いのです。自分は逃げることができないのに外での動物の気配や音だけを感じるため相当に身をひそめていなければいけません。昼間は寝る場所に使う犬舎も夜閉じ込めるために使ってしまうと犬はますます落ち着かなくなることがあります。
犬の性質にもよりますが、耳の垂れている洋犬種は屋外飼育が得意でない事が多いため、夜だけでも室内のクレートに寝せてあげるなどの方法も取り入れることもできます。あくまで犬の性質と環境によりますので、洋犬種のすべてということではありません。ここでは一例としてお話ししていますので参考までにとどめ、迷ったら専門家に相談してください。

つないだ方がいいのか、つながない方がいいのかといった問題も、犬の性質と成長の度合い、飼育場所の環境や飼い主の飼い方によって異なりますので一概にどちらがいいのかと判断することができません。自由にさせてあげたいという思いから室内も外も行き来自由にしても落ち着かなくなってしまうことがあります。

どちらにしても落ち着かなくなるときには落ち着きをなくすという行動をしますので、犬の状態を受け取ることは可能です。犬の落ち着きのない行動、たとえば、飛びついたり、マウンティングしたり、吠えたり、ものをかじったりする行動をイタズラとして罰を与えたりゴハンを抜いたりするのは全くフェアではない上に、犬を理解するせっかくのチャンスを失ってしまいます。

都市環境で屋外飼育で犬を飼うことは、工夫すること、時間をとること、そして面倒かと思える犬を管理しなければいけない作業を日常の作業と思えるまでくりかえし行うことです。

都市環境で犬を飼うのは面倒なことが多いのです。それでも犬を飼いたいと思い、そのことで得られる幸せがあるのですから、がんばるしかありません。

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教え子たちの旅立ちに寄せて

グッドボーイハートを設立したのは西暦2000年です。設立から16年がたちました。

今までにグッドボーイハートの教室を利用してくれた犬たちが少しずつ旅立っていきます。今年も年賀状のごあいさつでお世話をした犬の旅立ちについて知ることになりました。しばらく会っていない犬たちもいますが、それでももうこの世で会うことができないのだと思うと、ただ寂しいと思い同時に飼い主さんの寂しさはいかばかりかと心苦しく感じることも確かです。ですがそれよりももっと心の中を占めてしまうのは、その犬と出会えたこと、そしてその犬を愛する飼い主さんと出会えたことに対しての有難いという感謝の気持ちです。その出会いを通して自分が得たものや学んだものは、何にも変えることはできません。旅立った犬たちは飼い主さんに大切にされ愛されて見事に新しい世界へ駆け抜けていったのだと思うと本当に感慨深いものがあります。

ドッグスクールを利用される方というのは、何か問題を感じられた飼い主さんが多いのです。その問題の大小というのは飼い主さんによって捉え方は違うのですが、犬の行動に困ることがあったとか、いろいろとやってみたけどあまり犬のことがうまくいかないとか、中にはとてもおりこうさんになってよく言うことを聞き生活上は問題がないのだけど、犬との関係に距離を感じるからという方もいます。子犬のころに始めたトイレトレーニングが上手くいったあとも、犬のことをもっともっと知りたいからと勉強を継続される方も多いのです。その中に「犬を理解したい」という飼い主さんの愛を感じるとき、その理解の度合いはそれぞれであったとしても、これさえあれば犬はこの飼い主さんの元できっと幸せに暮らしていけるだろうという安心を得ます。

その飼い主さんにとって唯一の存在である犬が飼い主さんの元から旅立っていった。
飼い主さんを悲しませたくないと一番思っているのは犬たちです。どんな旅立ちだとしても犬たちに必要であったから行くべき時期が来たからかえっていったのだと思います。犬がいってしまうと悲しく寂しいものです。哀しみを癒すものは、その犬の生前について思い出したり笑ったり話たりすることでしょう。すぐにはできないかもしれませんが、いつかその日が来ることを祈っています。

犬がこの世を去るシーンは「かぐや姫」だと思うのです。飼い主さんがどんなに愛して引きとめても、月からきたこの犬という使者はその役目を終えて迎えにこられたたくさんの犬たちに連れられてもといたところへ帰っていくのです。昨年の12月にグッドボーイハートの犬の先生だったオポが旅立ちました。オポの旅立ち後はグッドボーイハートの犬達をオポが迎えてくれると思うと、心もいくらか楽になりました。

さて、生きているものはまだやることがあります。先に逝った彼らに恥ずかしくないように、今日もたくさん働いて学んで、そして生きている喜びを感じます。

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お正月に活用する犬のクレートトレーニング

年末年始というこの時期に、犬が体験する可能性の高い非日常の出来事といえば何でしょうか。

ひとつめは「飼い主と共に実家に帰るの巻」です。
飼い主の帰省に犬が同伴することになります。この出来事は、犬にとっては「いつもと違うテリトリーで数日を過ごす」つまり旅行と同じようなものです。さらに、そこには普段はあわない人たちがいて、いつも以上に騒いでいる人たちがいる。もしくは帰省先に実家の犬がいるという複雑なケースもあるかもしれません。自分のテリトリーを離れて帰省先に自分のテリトリーをもつためには、それなりにいろいろと克服しておかなければいけないことがあるでしょう。
このケースで絶対に必要な道具は「クレート」です。帰省を含め、生活に必要な移動の多い生活の中では、クレートトレーニングの必要性については何どもお話してきましたので、再々復習をしてみましょう。クレートの利用は犬との旅行を勧めるものではありませんのでその点はご理解ください。

ふたつめはこの逆です。犬のテリトリーが実家でその家に家族が多数帰宅してくる場合です。帰宅してくる家族の中には小さな年齢のお孫さんもいるかもしれません。帰省した家族の方は久しぶりの犬との再会でうれしくなりすぎて、触ったり抱きしめたり興奮したりして接するのかもしれません。犬と人は相手が自分の中に存在している時間が違います。犬は再会によって関わりのある人を思い出すことはあっても、長い間思い続けたり思い出したりするような記憶の継続性というものを持ちません。犬はシンプルに今目の前にある人たちや社会的な対象がすべてなのです。犬が再会によって可愛がってくれた人に対する愛着を思い出すのは事実でしょう。ところが、人の懐かしさいっぱいの興奮した挨拶や必要以上に密接に接する非日常は、少し犬を疲れさせてしまいます。犬にとっては自然に行われるものであってほしいと思います。ぜひ、毎日接している人と同じように静かに犬に接してあげてください。犬は心からその時間を喜びとしてくれて、静かにそれに応えてくれるでしょう。

犬と出かけたり来客が頻繁に来ることを、犬がいつも喜んでいると思われてしまうことがありますが、よく犬の行動や表情を観察して犬の状態を把握してあげてください。犬は環境の変化に対して人よりも敏感に反応します。来客は外出はわかりやすい環境の変化です。環境の変化は多少なりとも犬に影響を与え、犬はそれを行動に示すことでしょう。その犬の行動が「喜んでいる」と受け止められてしまうようです。

まず、フェアではない理由は犬は人のように帰省という事情や内容を認知する能力はないということです。犬にわかりやすく説明することはできませんしその必要もありません。犬に対してフェアであるためには、人が必要で行うこうした非日常の環境の変化を、犬に負担がかからないように準備してあげることです。そのために室内飼育の犬にとってクレートや犬用ベッドといった道具は欠かすことができません。

人は環境の変化に対する適応力が高い上に、環境を変化させることを刺激のひとつとして楽しむ動物でもあります。犬と人では社会活動もテリトリーの構成も異なりますので、犬が人と同じように環境の変化を受け取っているのではないことも理解した上で、日頃から生活に必要なことを取り入れていくことも大切です。

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謹賀新年

明けましておめでとうございます。
今年もみなさんと犬たち、そしてすべての動物たちにとって良い年となりますようにお祈り申し上げます。

同伴犬はいなくなりましたが、預かりの犬といっしょに年あけを迎えました。
初日の出を今年も七山で拝むことができました。

いつもと変わらぬように山の一部の手入れをしました。その間、ずい分と環境を把握して行動が安定してきた預かり犬が、草を食べていたり、丘にすわっていたり、地面に背中をこすり付けてゴロゴロとしていたり。
いっときはオポのお墓の横に伏せてじっとしていました。そのうちテラスでひなたぼっこをしたりして、こうして犬は静かに一日を終えていく動物なんだろうなとそれを眺めていました。

年の初めには今年の目標のようなものを考えます。今年は今までと同じ変わらぬ思いを持ち続けそれをわかりやすく表現するようにしようと決めました。変わらぬ思いとは、犬に対して誠実であるということです。
犬のことを理解したい、そして彼らとより良い関係を築いていきたい、それは犬に対する誠実な姿勢と思いという形でしか実現できません。誠実さはいろんな価値観や利害でゆがめられます。犬にとってではなく人にとってとなると、それはすでに利害が生じる関係です。犬を人が飼うことそのものが利害が生じていると感じられるのが現状ではあります。ですがその現状を受け入れつつも、こうありたいという思いを持ち続けていきます。
その姿勢の中で知った犬の真実をわかりやすく伝える方法についても考えています。最も伝わりやすい方法として、家庭訪問でのレッスンを中心にして活動をしています。飼い主さんといっしょに考え、犬との暮らしの場で対面してお話しすることが一番伝わりやすい方法だと自分の経験の中から実感しているからです。ですが、今年はもう少し異なる形でもチャレンジしてみたいなと思っています。まだ構想中。構想のまま一年を終えてしまうかもしれませんが、チャレンジしようかなと思っただけでも少しの前進かもしれません。

犬と人の間に起きていることは、しつけやトレーニングといったやり方で解決されますが、これはあくまでその形であるだけです。実際に犬と人の間に起きていることは、関係と環境に関する問題であり課題であると捉えています。だからこそ、今年は犬を飼っていない方々にも伝えられるようなメッセージを準備したいなと思っています。

年末にはまた草履をとられました。回収した草履のうち2個を山の動物に持っていかれました。イノシシはテラスのすぐ脇まで来て地面を掘り返しています。動物との境界線、人との境界線、犬との境界線。すべてを上手に守りながらバランスよくつながってお互いの力を高めていけるように。

今年もいっぱい学んで悩んで考えて、少しでもお役に立てれば幸いです。

dav
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Posted in 日々のこと, お知らせ

犬の個性が輝くとき

あと少しで2016年を終え新しい年を迎えることになります。
今年もなれ親しんだ人たちと共に学ぶ時間をたくさんいただき、久しぶりの方々と再開して、新しい人や犬と出会って共に学ぶ機会といただきました。その時間を十分に活用できたかどうかはわかりませんが、その瞬間には自分の力でできる限りのことはしたのだと、思い残すことなく先に進みたいと思います。

いろんなことがあった2016年ですがホームページ改定も行いました。少しずつ変化していくグッドボーイハートにどんなカラーが似合うのか悩んだ結果、グッドボーイハートカラーのぶれない紺色と行動と勇気を与えるオレンジカラーをベースにしてほしいことをデザイナーさんにお願いしました。そしてどこでもいいので虹色をいれてほしいという希望をつけました。なぜ虹色なのか、このことをお話しして今年のブログを締めくくります。

偶然なのでしょうが先日ふたりの方から「七山に行かれてどのくらいたちますか?」と尋ねられました。
「10年ですね。」
エー10年も!!!!という反応や、10年かあ~という反応をいただきました。
10年ひと昔といわれ、ひとつの時間の流れを感じる長さではあります。

山に犬と暮らして日常的に山を犬と歩くようになって、今までに犬のことを理解していると思っていたことのうち、やはり間違いなかったと確信したことと、逆に見方が間違っていたと気づいたことがあります。犬に対する思いは以前から変わっていないものの、犬のしつけとトレーニングの道筋はこの10年で大きく変わりました。
どの場面が変化を起こさせたのかはわかりません。自分の中でわかっていることは、小さな驚きや感動が気づきを積み上げさせたのだということだけです。

山の中で犬と休憩しているとき、ふと顔をあげると自分の前髪の中に虹色の光が見えました。その虹色は小さな玉の形をしていてストライプ上に虹色を発色しています。その虹色の玉が自分の1本の髪の毛の中にいくつも並んで動いているのを見ることができました。生まれてはじめてそれを見たとき、わたしが今まで見ていたものはその表面的なものだけなのかもしれないと感じたのです。こうだと思ってみているからそのようにしか見えない、知りたいという気持ちや早く解決したいという欲求を満たすため、本や知識を詰め込みすぎた大きな頭は知りたいと思うことを逆にわかりにくくしていたのかもしれません。

虹色は命の輝きのように見えました。こんなにたくさんの光が自分の中にあることを知ってうれしく、そしてまだまだ知ることができる、ちゃんと見ることができるようになりたいと強く思いました。それぞれの犬たちの持つ命の輝きを彼らが本当に取り戻すことができ、それぞれの色で輝くのをただ見たいと思うのです。明日がどんな日になるのかわからないけど、今日はとってもいい日だったねと犬が感じてくれるのなら、彼らの瞳の光がそれを語ってくれます。その光を失わないように、その光を取り戻すために、これからも学びつづけます。

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老犬との暮らし:排泄問題

老犬の生活のお世話相談を受けるために訪問レッスンに出かけました。
子犬のころから知っている犬だけに、老犬になっていく姿を見るのは切なくもあり、よくぞここまでがんばったなあと感慨深いものもあります。

犬が老年期を迎えるのは、7歳くらいからかと思っています。
少し早いと感じられるかもしれません。犬の7歳というと人の50歳くらいです。日本は世界でも長寿の国で健康状態もとても良いので50歳といえばまだまだ働きざかりではありますが、少しずつ「老化」を感じる年齢でもあります。犬も7歳といえばまだまだ元気いっぱいに走ることもできるし、よく食べよく寝て元気に過ごしていますが、体の中は少しずつ年をとっています。

小型犬と大型犬では生きている時間が多少違います。一般的には小さな犬の方が長く、大きな犬の方が短いようです。純血種になってサイズの幅が広がりすぎたのですが、実際には心臓のポンプ力はあまり差がないため、犬のサイズが大きくなりすぎると血液を末端までいきわたらせることが難しくなります。そのため亡くなる年齢も大型犬では7歳くらいでも十分に生きたと感じるし、小さな犬になると20歳近くまで生きることもあるので、長生きを期待しすぎることもあります。

13歳を過ぎるころから老齢に伴う生活の変化に準備を備える必要があります。先に述べたように18キロを超える大型犬の13歳というのはかなり体には負担がきています。血液のめぐりが悪くなることによる様々問題をかかえますが、特に排泄に関する問題は深刻です。
今まで散歩や庭で排泄ができていた犬が、歩行の不安定になると排泄の場所は次第にテリトリーの近くになります。庭まで出ていければいいのですが段差が困難になると庭に下りることも難しくなります。庭への段差をどのように作れば犬が負担なく外にいけるようになるのか、リフォームに近い改善の必要性が生じることもあります。マンション飼育の場合には、散歩でしかしなかった排泄をベランダでさせる必要が出てくることもあるでしょう。それもうまくいけば、室内に近い場所で排泄をしてくれるということで問題はありません。

問題は歩行がさらに困難になり立ち上がってトイレ場所まで歩くのが困難になることです。大型犬の歩行補助道具はいろいろと出ていますが、15キロくらいまでの中型犬では少しのサポートでうまくいく歩行の補助も大型犬となるとなかなか難しいものです。無理に持ち上げるというよりは犬が立ち上がろうとするのを補助するという形になるので、タイミングも必要とされるため立ち上がりの瞬間にすぐに駆け寄ったりと補助する方も気が抜けないものです。それでもタイミングを掴んでくると上手に立ち上がったり歩行補助を受け入れてくれるようになります。できることは自分でしたい自律した犬の場合には手を出しすぎないように慎重にサポートしたいものです。

排便も室内でしてしまうようになるケースがあります。便の出る指令を脳が上手に受け取れなくなったり、ちょっとした動きが刺激になって肛門が開いてしまうため、歩いていても、寝ていても便が出てしまうことがあります。犬は排泄後は大変いやな表情をしますが、静かに片付けてあげる必要があるでしょう。

老犬になって外での排泄が大変だったからという理由で、室内での排泄を犬に強いたり、子犬のころに室内でのトイレトレーニングを始めたときに、ずっと室内で排泄をさせ続けることは反対です。小型犬の場合には室内排泄が一般的になっているため、庭やベランダでの排泄を教えることのほうが難しいですが、排泄をどこでするのかは犬のテリトリーの作り方と密接に関わっており、自律して一定の安定したテリトリーを持っている犬は室内での排泄はしません。犬が屋外で排泄することはぜひ尊重するべきことです。老犬になってからの排泄問題は、老犬になってから犬が自力で外へ行くことができなくなるために起きることで、犬にとっても辛いことでしょう。できる限り外に出たいという気持ちを実現させてあげられるようにサポートすることを考え、いよいよ立ち上がりも難しくなったら汚れないようにすぐに清潔にしてあげることを心がけてあげてください。

室内での排泄失敗のためにオムツというケースもありますが、これもできるだけつけない方向で介護をしてあげられればそれがベストだと思います。長時間留守番になるため、排泄で汚れてしまうのがかわいそうという理由で着用される方が多いようです。体の不自由になった老犬の長時間留守番は犬にとっては負担になることです。子犬と老犬には留守番はさせたくありませんね。犬にかかわる仕事のいろいろな形で老犬介護のお世話のお仕事をされる方がいます。グッドボーイハートでも自宅訪問の老犬介護をさせていただきます。毎日となるとお金の負担も大きくなってしまいますので、プロの方とお友達や家族などに協力をあおぐ形で、不自由の少ない老犬生活を送ってほしいものです。

老犬になって屋外での生活であれば寒さに耐え切れず寿命もそう長くはないでしょうが、室内にいれて生活をしてきたのですから、それにあわせて寿命が長くなっているのは本来ならうれしいことのはずです。老犬の行動は子犬に戻っていきますが、自尊心のありようは長い間生きてきた動物のものです。老犬たちが安らかに旅立つまでにできることを、飼い主さんといっしょに考えていきたいと思います。

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犬が大好きなオヤツ:鹿肉ジャーキー

知人の猟師さんがグッドボーイハート七山校に立ち寄られました。
お土産に獲れたばかりという鹿肉をもってきていただきました。

普段から、肉を口にすることのないわたしですので、肉料理は得意ではありません。
思春期にはとても苦手だった肉は、今ではちゃんと食べられるようになりましたが、毎日の食事に必要だと感じることがないため、自分のための食事には肉を買うことはありません。菜食主義者ではないので、みなさんといっしょにいただくときには、おいしくいただきます。ですがやはり調理は上手にできる方でないと、おいしくいだたくことはできません。

大変な労力の上に仕留めた鹿をおいしくいただくために、少し手の入れ方などを教えていただきました。
外側に焼き目をつけて中身は生のままという、普段なら絶対口にしない鹿肉も食べてみました。
「おいしい」素直な感想です。

野生動物のおいしさは、仕留めたあとの「さばき方」次第だということです。鹿自体がすばらしく健康状態がよくても、さがき方がいい加減だと、肉のおいしさはなくなってしまうらしいのです。それで、上手にさばくということがどんなに大切なことなのかを、今までなんどか説明していただいたのですが、実際に食べてみると実感です。

犬は鹿肉が好物です。たいていの犬は鹿肉を生肉としても加熱してもペロリと食べてしまうようです。
ところが、今までに私が確認してきた中には、鹿肉の購入先によっては肉を食べないことがあるというのを聞いたことがあります。同じ鹿肉なのにどうしてなんだろうと思っていましたが、やはりさばき方の問題なのかなと思います。犬は血のにおいを嫌がったりはしませんが、痛みの早いものは食べると危険なものについては人よりも反応が高いのです。もちろん、中には痛んだ肉を食べて調子を崩してしまう犬もいるでしょうが、生肉の場合にはどうやら危険を察知して食さない犬もいるようなのです。人は加熱して食べるためその差には気づきにくいかもしれません。ですが、明らかに猟の直後の猟師さんのさばき方によって、その肉の状態は違うものになっているようです。

なんでも食べてしまう犬だと比較ができなくてわかりにくいですが、食べ方に差異があるような犬なら違いに気づきやすいですね。それよりも、今回は自分があまり得意でない赤身の肉をおいしいと感じたため、この猟師さんのさばき方は本当に丁寧なことを知る機会になりました。

みなさんも食べてみたいですよね。
犬用のジャーキーでまずは犬に試食してもらってください。
ヤクト株式会社さんのやまごちシリーズの鹿肉です。グッドボーイハートでもお分けしています。
直接ネットで購入することもできますので、関心のある方はご覧になってください。
やまごちホームページ

残念ながら人用食肉は食肉を加工して販売する、いわゆる料理屋さんにしか販売できないそうです。
鹿肉を加工したものを人用の商品を販売される計画もあるようなので、まずは犬たちに食してもらい飼い主の方は少しお待ちください。

今日は山も少しだけ冷えていました。
山から福岡へ、車のダッシュボードの雪はあっという間に消えてなくなります。

dav


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犬の尻尾の使い方:犬の身体的機能性の発達を求めて

今年最後の尾歩山(やま)トレッキングが終了しました。今年もなんどこの山を歩いたことかしれません。参加された生徒さんに改名後の名前にコメントをいただきました。「尾歩山(おぽさん)って、ほんと、いい名前ですよね。尾っぽのある動物って犬だけじゃないから、いろんな動物が歩いている山ということですものね」。そうなんです。尻尾のある動物は犬だけではありません。ことしは草履事件でお騒がせだったタヌキやキツネ、よく顔をみせてくれるアナグマ、近所の猫たちもしくは野猫たち、ウサギ、イタチ、サルなど。他にもいるかもしれません。

こうやって考えてみると、尾がないのはヒトだけですね。2本足で立って歩くようになると尾がバランスを保つのには役立たなくなり退化したあとの尾骨だけが残ったのでしょうね。尾でバランスをとらずに、体の軸でバランスをとろうというのですからヒトのバランスの取り方は独特なのかもしれません。

犬の尻尾がバランスをとるためにあるということは知られています。前後左右のバランスをとりますので、尾の動きも自由自在です。バランスを取るために動いているため、尾がよく動くときには「バランスを取る必要がある状態」であるともいえます。山歩きをしていると犬の尻尾が微妙なバランスをとるために動いているのを見ることができます。人の好む平地ではこうしたバランス感覚を必要としない事も多いため、尻尾も十分に活躍する機会がなく動きが鈍くなってしまいますが、山歩きにはこうした体の機能を充実させる機会を得ます。駆け上がったり走り回ったりするよりも、ゆっくりと歩いているときの方がバランス感覚を必要とします。バランスを取ることが苦手な犬は、ピョンピョンと跳ねながら登ったり、すべるように下りてしまうことになります。

尻尾は体のバランスをとるためについているのですが、感情がゆれると体もバランスを失うので、感情のゆれるときにも尻尾が触れてしまいます。人の状態を表現する言葉ですが、「浮き足立った」という表現がありますね。気持ちが浮いてしまうときには足も浮いてしまうということで、体と気持ちは一体なのです。

「犬が尻尾を振るときは喜んでいる」という古いコトバのようなものがありますが、「犬が尻尾をふるときは喜んでいることもある」という程度にした方がいいでしょう。犬の気持ちが動けば尾も動きます。恐怖を感じているときも、興奮しているときも、緊張しているときも、尾をふることがあります。動物の真の感情はなかなか理解しがたいものです。動物にとって何が喜びであるのかを、人が知ることはなかなか難しいものです。ゴハンの前に尻尾を振らなくても、満足してゴハンを食べている犬はたくさんいます。ゴハンの前に尻尾をブンブンとふるのだけど、興奮して食べてしまうため満たされない感じの犬もいます。尾を円形にふる犬もいますね。アニメのようですがこの状態では先の「浮き足立った」状態であり、尻尾の動きで飛んでしまうような感じでしょう。感情の乱れの多い若い犬でよくみられるようです。

やはり、堂々としたオオカミは尻尾の動きにも安定が見られます。気持ちが落ち着いている、バランス感覚がすぐれている、そしてバランスを取り戻すのも早いのでしょう。犬も少しずつ落ち着いた大人の犬になるにつれ尻尾の使い方も変わってきます。

尻尾を切られている犬たちの話しは前にも書きました。尻尾がないことで犬はバランスをとることが難しくなります。尻尾を切断することは犬たちにとって何のメリットもありません。人はこれだけ犬という動物を大切に思うことができるのだから、尻尾を切断するのを止めることはそろそろ決断できる時期ではないかと思います。法律にならなくてもみなさんひとりひとりの気持ちも問題です。尻尾は犬の一部です。犬の一部を切り取らないで、犬に尻尾のある生涯を与えていきましょう。

尾歩山、来年もたくさん歩いて犬の尾につなげていきたいと思います。

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犬語セミナー:子犬のコミュニケーション力

犬語セミナークラスを開催しました。犬語セミナーは犬の行動を観察して分析するクラスです。犬のどのような行動に焦点をあてるのかは、ビデオの素材によっていろいろと変わってきます。ビデオもクラスや日常的に撮影した目的のないものなので、見るビデオによってセミナーの内容が変化していくのも面白さのひとつでもあります。

今回題材となったビデオは子犬と8才の成犬がはじめて会うという対面シーンのビデオでした。成犬と子犬の社会的行動の違いは、成犬は経験を積んで発達がなされてきているために個体の性質がある程度固定されているという行動の特徴があります。わかりやすくいうと1頭の犬が他の犬に対してみせる社会的なコミュニケーションはある程度予測がたつということです。散歩中に他の犬とすれ違ったりであったときに生じる行動にもパターンがあることがその表現にもなっています。全ての犬に吠えるとか、特定の犬には反応する、その反応する犬のタイプはこれこれでとか、他の犬をじっと見ているとか、そうした他の犬に対する行動は、成犬の場合にはある程度一定してきます。もちろんこの社会的行動には飼い主や飼育環境が大きく影響するため、飼い主が変わる、飼育の方法が変わるということにより変化はしてきます。ただ成長に応じた大きな変化は子犬は違うということです。

子犬期を永久歯が生える前の生後5~6ヶ月までとします。この時期の子犬を成犬に対して必ずしなければいけない行動というのがあります。これは自分の親犬でなくても、万が一親犬にはぐれて他の成犬に出会ったとしても子犬に備わっているひとつの能力であるともいえます。それは二つあります。ひとつめは、成犬が子犬の臭いを嗅いで正体を調べようとするときにじっとして動かないでいることです。子犬であるということを知られることで成犬の緊張を解くことができます。攻撃のできる永久歯を持たない子犬はとても無力な存在だからです。

ふたつめは、服従行動を示すということです。服従行動にも少し幅があります。この対面で有効な服従行動は自分が下であることを示し、相手の領域を侵さないということを伝えることだけです。先のじっとして臭いを嗅がせるという行動もこの意味を含みます。あとは顔を背けたり、体を低くしたり尾を低めに振ったりするというだけで十分です。そけい部の臭いを嗅がれる際に後ろ脚を上げる行動(バレリーナみたいになりますね)も成犬の行動を尊重する行動です。

これよりも積極的な服従行動になると臭いを嗅がれているときに腹部を見せるとか、口をなめようとする、軽くピョンピョン飛ぶといった行動は成犬が受け入れない場合があります。これらの行動に対して、子犬を受け入れる気のない成犬はこの子犬から離れたり、少し唸ったりして拒否行動を取るでしょう。これは、子犬として面倒をみよという要求行動です。成犬にもいろいろと器量があり子犬の世話を引き受けない犬も多いため、拒否行動が出る場合には子犬はこれを取り下げる必要も出てきます。今回のビデオに出てきた子犬は生後4.5ヶ月くらいになっていました。この取り下げに影響を与えているのは犬と飼い主の関係になるため、あまりにも早い月齢で受け入れ拒否の成犬をあわせることは子犬にとってよい影響とはなりませんが、生後2ヶ月から飼い主と暮らしていて生後4.5ヶ月になっていれば、十分に可能な年齢です。もちろん飼い主さんの飼い方はとても大切です。接し方、飼い方によってはすでに依存が始まる月齢です。

飼い主への依存が始まってしまうと犬に対するコミュニケーション力は育たないばかりか、大変後退した状態になります。犬を見て逃げる、おびえる、硬直するといった行動が出てしまうときには、子犬のコミュニケーション力はその環境の中では育てられておらず、飼い主との関係もかなり不安定です。このコミュニケーション力には性質のベースも大切です。大人しいお人形のように反応の低い犬を人が求めすぎる傾向があります。おそらく、反応が少なく飼いやすいということと容姿についてもぬいぐるみのようになってきているため「かわいい」と思ってしまうからでしょう。こうした犬たちは反応が少ない、つまりコミュニケーション力の未熟な犬であることも多いのです。

犬をみて「かわいい」と感じられるのは、犬が犬としてコミュニケーションを一生懸命に発揮しているその真剣な姿勢を見るときです。
表情やコミュニケーション力の低い犬がどのような世界で生きているのかをよく知る機会をもってみてください。

犬のコミュニケーション力は犬の社会的な力。犬の社会的な力は犬の財産です。
どんな動物も自分のもっている財産を奪われることは脅かされていることを意味しています。
人が幸せに暮らせるのは自分の身が安全で人としての財産(大切で価値のあるもの)を守り続けることができるからではないでしょうか。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 数年前の12月13日。今年はまだ一度も積雪していません。


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ラジオ番組「月下虫音」で分離不安の話をしたこと

ラブFMの番組「月下虫音(げっかちゅね)」に出演しました。聴いてくださったみなさんありがとうございます。

いつものように、DJの大田こぞうさんと取り留めもなくワイワイと盛り上がりました。
犬の話しになると、わたしよりも大田さんの方がずっと興奮度が高いんですよ。
打ち合わせしすぎるとそこで話が出つくからということで、テーマを「分離不安」にしようねということだけを決めておいて、今回はほとんど打ち合わせなしで本番にいどみました。

番組の中では、犬のわかりやすい分離不安行動のいくつかをご紹介しました。
簡単に述べると「飼い主が犬から離れると吠えて騒いだり、鼻をならしたり、落ち着きをなくしたりする」という状態では程度の差はあっても分離不安傾向があるということです。落ち着きをなくしている状態が、飼い主と離れている環境、室内飼育のお留守番という状況で起こりやすいため、留守中に吠えたり排泄の失敗をしたり、ものを壊したり家具をかじったりしている行動が分離不安としてよく取り上げられます。

留守中に安定しているかどうかは、留守中の部屋の乱れだけでなく、飼い主と再会したときの行動にあわられます。飼い主が離れると落ち着きをなくす分離不安行動は、飼い主が帰宅したときに興奮するという行動として表現されるのです。飼い主が帰宅したら戸口にまっていて、部屋に入るととびつき口をなめる、部屋を走り回る、興奮して走る、おもちゃをくわえてくるなどのテンションの高い行動をする場合には、飼い主との分離が不安定、つまり飼い主と犬の関係性には不安定ですね、というメッセージです。外出の際には騒ぐことがなくても、帰宅したときにこれらの行動が出るときには分離不安傾向はあると考えてください。

犬の行動はすべてにつながりを持っているため、飼い主と犬の関係性が不安定なことは、犬が他の犬や人と接するときの行動にも現れてしまいます。この不安定行動にはいくつも種類があり全てをあげることができませんが、いくつか例を挙げるとするとこんなものも入ります。
人に対してお腹を見せる。
人に対してとびつく。
人に対してマウンティングをする。
人の口をペロペロとなめる。
人の膝の上にのってきたり、体重をかけてよりかかってくる。
他の犬の声におびえる。
他の犬(相手に攻撃の要素がないのに)に吠えたり追い立てたりする。
散歩中に他の犬に近づいていこうとする。

こうした人や他の犬に対する社会的な行動にまで影響をしているのが、飼い主と犬の関係性です。

行動は全てつながっていきます。分離不安というくくりを設けることや診断を下すことに大きな価値があるとは思いませんが、「分離」という心理学の言葉が人と犬の関係性をよりわかりやすくしてくれるという意味では活用しています。犬のことを赤ちゃんと思っていませんか?という質問には、母経験のある飼い主さんは反応が高いです。子育ての経験のある母親なら一度もしくは数回は通った道なので赤ちゃんとの一体化した関係はすごくわかりやすいからです。赤ちゃんはみんな母と同一化しています。もともといっしょだったのですからね。そこからひとりの人として自律していくために最初に必要なことは母親との分離です。お母さんは自分とは違う存在、そして自分は自分なのです。

他の犬に極端におびえたり、拒否反応を示したり、走り回る興奮行動をしやすい犬の飼い主さんは「自分の犬は、自分のことを人だと思っているから犬を怖がるのだ」ということがあります。ですが冷静にみるとこれは逆ですね。犬だからこそ犬に対しては他の動物とは異なる反応を示してしまうのです。反応のあるときはまだ大丈夫です。犬はまだ自分が犬であることを忘れてしまってはいません。犬でなくなったときには目の輝きもうせてしまい、他の犬への反応もなくなってしまいます。他の犬がそばにいても、見えていないのではないかというほど視界に入っていないかのように振る舞います。犬の扉は固く閉まってしまったように。

犬をみておびえたり拒否反応をしたり興奮する犬は、犬である世界にいる犬たちです。お互いに「人」と「犬」として関係性を作っていくことで見えてくることがたくさんあります。人のことが好き、あの犬のことが好き、そんな小さな世界を一歩飛び出してみてください。好き嫌いは妄想の世界というコトバを聴いたことがあります。犬はファンタジーの世界の動物ではなくアニメのキャラクターでもないのですから、妄想の世界で見ていては変化の可能性のあるものにもフタをしてしまい変わっていくことすら許されなくなってしまいます。「うちの犬は先生のことが好きなんです。」といわれると、「いやいや違いますよ。」と思いますが、「うちの犬は先生といるときはいつもと違うんです。」といわれると、そのとおりだと感じることがあります。これは好き嫌いの世界ではないのです。

世界はひとりひとり自分たちの価値観で作られている。
見える人には見えるし、見えない人には見えない。

犬が犬である瞬間がなによりもすばらしいと感じると思う方、たくさんいると思います。
ぜひそんな時間を犬とともに過ごしてください。


グッドボーイハート七山へ向かうの道沿いにはお正月を迎える立派な門松が飾られています。
この季節、七山にはクリスマス的な色も雰囲気も一切ありません。
街中は明るく楽しくクリスマス一色。それはそれで個人の楽しみとしてはいいのだと思います。
山では受け継いてきたことを大切に守りぬいていく、そんな凛とした姿勢を感じます。
人と犬の関係は新しい文化ではなく、本当はすごく古い文化であると思うのです。

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